【産婦人科医監修】妊娠中に風邪を引いたときの正しい薬の服用

【産婦人科医監修】妊娠中に風邪を引いたときの正しい薬の服用

胎児への影響や正しい対処法

2019.01.28

妊娠中に風邪を引いたら市販の風邪薬で治してもよいのでしょうか。病院に行くとほかの感染症にかかるかもしれないと心配に思うママもいるかもしれません。妊娠中に風邪を引いたときの薬の服用についてと、正しい対処法について解説します。また、病院を受診する症状についてもご紹介します。

妊娠中は風邪を引きやすい?

妊娠中は身体にさまざまな変化が起こり免疫力が低下しているため、普段より風邪にかかりやすい感じる妊婦さんは多いようです。

つわりなどの症状でつらいときに風邪の症状が加わると体調がよりつらく感じるかもしれません。

妊娠中に少しの熱や風邪っぽい症状で、病院に行くことでほかの病気をもらうかもしれないと心配になり、症状が軽いと市販の薬で対処しようかと考える人もいるでしょう。

妊娠時の風邪にはどのように対応したらよいのかについて解説します。

妊娠中に風邪薬は飲める?

風邪薬
iStock.com/WildLivingArts

妊娠中に市販の風邪薬は飲めるのか気になる妊婦さんは少なくないかもしれません。

妊娠に気づいていない妊娠超初期の時期に、市販の風邪薬を1週間くらい使用していてもお腹のなかの赤ちゃんにほとんど影響はないといわれています。

妊娠4週から7週目は、赤ちゃんの心臓や中枢神経、消化器などが形成される期間になるため薬の服用には注意が必要です。自己判断で薬を飲むのはやめましょう。

妊娠26週目以降から出産するまでは、薬が胎児に影響するリスクは減りますが、薬に含まれる成分の一部には注意が必要なものもあるため、勝手に飲まずに医師の指示で服用することが大事です。

薬が赤ちゃんに与える影響

妊娠中に自己判断で薬を飲むと、赤ちゃんの発育や発達機能に影響が出る可能性があります。

薬の影響は、妊娠初期よりも妊娠後期から出産に近いほど出やすいといわれています。

しかし妊娠初期ならば大丈夫と思わず、妊娠中は全期間を通して自己判断での薬の服用はやめましょう。

風邪の症状がつらくて我慢できないときには病院で相談すると、妊婦さんでも服用できる薬を処方してもらえる場合もあります。産婦人科で相談して医師の判断に従うことが重要です。

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妊娠時に風邪を引いたときの対処法

妊娠時に風邪を引いたときは以下のように対応しましょう。


消化のよい食事

消化のよいおかゆ
iStock.com/szefei

風邪をひくと食欲が低下します。つわりで食べられないときには、無理して食事をしようとしなくてよいですが、消化がよく食べられるものを食べるようにしましょう。

風邪の症状を回復させるためには、ビタミンが豊富な野菜や果物がおすすめです。


水分補給

妊娠中は、お腹の赤ちゃんに栄養を送るために大量の水分が必要になります。

普通にしていても多くの水分が必要なときに、風邪を引いて発熱すると、熱や汗で脱水状態になりやすくなるので注意が必要です。

こまめな水分補給で脱水症状を防ぎましょう。

つわりで水分補給ができないときには医師に相談してください。


安静にする

風邪を引いたときは安静にすることが大事です。仕事や家事をいつも通りに頑張りすぎてしまうと、疲れが溜まり、風邪の症状が悪化したり、治りが遅くなります。

外出はなるべく避けて、睡眠を十分にとってゆっくり休みましょう。


身体を温める

体温が下がると免疫力が低下するといわれています。

部屋の温度を調整し、上着を普段より1枚多く着たり、冷たい飲み物ではなく温かい飲み物で身体を温めるのもよいでしょう。

病院を受診する目安

  • 38℃以上の高熱
  • 咳が続く
  • 症状が悪化していく

症状がなかなか治らないときや咳が続くとお腹に圧力がかかります。正しい治療をしないと、二次感染になる可能性もあるので上記のような症状がみられるときには早めに受診することが大切です。

病院でほかの感染症にかからないためにも、必ずマスクを着用していくようにしましょう。

病院から帰ってきたときの手洗い、うがいも忘れずに行ってください。

妊娠中の風邪は何科を受診する?

風邪の症状がひどいときにそのまま病院に行ってしまうと健診で来ている妊婦さんに風邪をうつしてしまう可能性があります。

症状がひどいときには、まず産婦人科に電話をして症状を伝えるようにしましょう。

症状によって診察は内科での受診になるかもしれませんが、内科で処方された薬を妊娠時に飲んでもよいのか心配なときは、服用前に産婦人科で相談するとよいです。

妊娠中の薬の服用は自己判断しないことが大事

休息中の妊婦さん
iStock.com/dolgachov

妊娠中は免疫力が下がるため、ちょっとしたきっかけで風邪を引く妊婦さんは多いようです。

症状が軽いと、病院に行ってほかの病気へ感染することが心配だったり、お腹が大きくなると病院に行くことが大変で市販の風邪薬で治したいと考える妊婦さんもいるでしょう。

しかし、妊娠中の市販薬服用は薬の成分によってはお腹のなかの赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるため、おすすめできません。

風邪っぽい症状がみられたら、身体を温めて安静にし、こまめな水分補給と消化のよい食事で正しい風邪対策が重要です。

症状がひどいときには、病院に電話をして先生の指示に従い、どうしてもつらいときには妊婦さんでも使用できる薬を処方してもらいましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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