「1分ぐらい遅刻してもよくね?」舐めプな若手社員に社会学者が説いた「仕事のデキる人が時間を守るワケ」

「1分ぐらい遅刻してもよくね?」舐めプな若手社員に社会学者が説いた「仕事のデキる人が時間を守るワケ」

仕事のデキる人は、どこが違うのか。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「『遅刻しない』『元気よく挨拶』といった社会人としての常識は大切にしたほうがいい。こうした行為には、社会学的にも意味がある」という――。 ※本稿は、鈴木洋仁『社会人1年目の社会学』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

なぜ1分でも遅刻をすると怒られるのか

【若手社員】社会人になって思ったけどさ、会社に1分ぐらい遅れてもよくね? そのぶん1分遅く帰ればいいじゃん。なんでちょっとでも遅刻したらダメなの? これって変じゃね?

【鈴木洋仁】たしかに。労働時間という意味では、1分の遅刻は1分の残業と相殺すればいいよね。でも、本当にそうなのかな。時間を守るのは、社会人として「みんな」の一員になった証だからなんだよね。

アルバイトなら遅刻すると時給を引かれますが、正規雇用である以上は、ほとんどの職種で1日8時間の勤務を前提に給料が支払われています。終業時刻ピッタリに帰宅できる可能性はほとんどありませんから、1分遅れたら、その分を遅く帰れば、問題はないように見えます。

それなのに、1分遅れるどころか、始業時刻よりも前に出社しているのが当たり前、そんな職場がほとんどではないでしょうか。しかも、ちょっとでも遅れると周りから白い目で見られてしまうのは、なぜなのでしょう。

「時間を守ること」の本質的な意味

時間を守るのは礼儀であり、マナーだと言われます。

社会人としての常識とされてきました。

もちろん、相手や周りに対して失礼だから、迷惑をかけるから、時間を奪ってしまうから、そんな理由は、きわめて真っ当です。遅刻をする、ということは、あなたがひとりだけで仕事をしているのでない限りは、誰かを待たせます。仮に、その日の約束がないとしても、みんなで同じ時間から仕事を始める、それがルールです。

ここに、時間を守る意味が隠されています。

時間さえ守ればいい、のではなく、反対に、時間を守ることそのものが大切なのです。言い換えれば、みんなで時計を共有しているという意識が、とても重要です。

どういう意味でしょうか。

これを説明するために役立つのが評論家の吉本隆明が打ち出した「〈共同〉幻想」という概念です。吉本は社会学者ではありません。ただ、彼の見方は、ぼんやりとした何かをとらえる、という社会学の特徴とフィットします。この「〈共同〉幻想」という概念を乱暴に言えば、国も家族も、さらには、恋愛関係も、全部まぼろし、という考え方です。

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