そりゃマスコミの信頼度は落ちるわけだ…「権力の監視者」がPV稼ぎのために「炎上の共犯者」になっている実態
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なぜインターネット上には偽情報や誤情報が多く飛び交うのか。中央大学教授の岡嶋裕史さんは「人々にとって情報が真実である必要はなく、自分の欲望に合ったものを好む。刺激的な内容であるほどリポスト数・いいね数を稼ぐことができる。問題なのは、炎上を“延焼”させる共犯者が存在することだ」という――。(第3回) ※本稿は、岡嶋裕史『子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
「いいね」数を稼ぐのに真実である必要ない
Xでの拡散に真実は必要ありません。利用者は自分の欲望に合致した情報のみを摂取します。火種がなければ、あるように見せかける非実在的炎上を演出してもいいかもしれません。コミュニケーションの内容は現状においてどうでもよく、コミュニケーションをした事実に人は依存しています。
このゲームに熱狂する人は多いので、タイムラインは驚くべき速さで流れていきます。ポストの全文を読む人は多くはありません。そもそもヘッドラインさえも読んでいないかもしれません。この状況で真実はいらないのです。
ニュースサイトが本文とは逆の結論に読み取れる釣り見出し(クリックベイト)をつけてページビューを稼ぐように(「旧ジャニーズ、女性アイドルに手を出していた」→女性タレントが所属していたこともあった、が記事の内容)、間違いを助長するような刺激的な書き出しや、場合によっては純度100%の捏造でも、ページビュー、「いいね」、リポスト数を稼げます。
「社会に爪痕を残す」というやつです。アテンションエコノミー*のもとでは悪名でも価値がありますし、多様化した社会では、どんなことをしても一定数の擁護者を得ることができるでしょう。
※アテンションエコノミー:情報過多の状況において、人に注意を向けてもらうことの稀少性を表現した言葉
攻撃的な言葉であればあるほど良い
虚偽や誇張がばれても謝らずに(むしろ謝るとデジタルタトゥー*になって残ります)しばらくおとなしくしていれば、情報の洪水の中で多くの人にとっては忘却の彼方の出来事になります。これを許している状況をメディアリテラシーの低さと捉えることは簡単ですが、大衆が過去に従来型メディアの振る舞いを見てXで模倣した結果と考えることもできます。
※デジタルタトゥー:ネットに公開した書き込みや画像などが、スクショなどでタトゥーのように半永久的に残り、完全に削除するのが困難な状態
これらを発信・拡散する言葉は攻撃的であればあるほどよいでしょう。強い言葉、端的に言えば人を怒らせるような言葉ほどアテンションを得られます。無難な発言は「いいね」を呼びません。
ですから発信者にとって炎上を回避することは、原理的に不可能です。どんな事物も可燃物になり得ますし、一度着火すれば正義を燃料としてしばらく延焼し続けます。もちろん、利用者のほうも見ているだけでは溜飲が下がりません。そう、何かをしないと承認の実感は得られないのです。





























