なぜメジャーリーガーには8月生まれが多いのか…単なる偶然では片付けられない「誕生月」という不都合な真実
成功の理由は「才能」ではない
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誕生月は人生にどのように関係するのか。北米で最も有名なジャーナリストの一人、マルコム・グラッドウェルさんは「スポーツでは年齢規定日のすぐ後に生まれた子ほど成功に近づくことが分かっている。これは勉強においても同様だ」という――。(第1回) ※本稿は、マルコム・グラッドウェル『Outliers 思考と思考がつながる』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
12月31日生まれと1月1日生まれの残酷な格差
カナダのアイスホッケー界は、年齢規定の基準日を1月1日と定めている。それはつまり、1月2日に10歳になる少年は、その年の終わりまで10歳にならない少年たちと一緒にプレーする可能性があるということだ。
そして、これくらいの年代の子どもにとっては、12カ月の違いがとても大きな意味を持つ。早く生まれた少年たちは、体格的にかなり有利になるということだ。
カナダは世界でもっともアイスホッケーに熱狂的な国だ。アイスホッケーをする子どもたちが「レップ」と呼ばれるジュニアオールスターに選ばれるには、9歳か10歳のころから才能を発揮しなければならない。
そしてもちろん、選抜の際に重視されるのは体格と動きのよさだ。早い月に生まれた子どもたちは、その点で他の子どもたちよりも優位に立てる。
次に、レップに選ばれた後のことを考えてみよう。選ばれた子どもたちは、高度な指導を受けることができる。一緒にプレーするのも優秀な選手ばかりだ。
レップに選ばれず、「ハウス」と呼ばれるリーグに残ったジュニア選手たちは、だいたい1シーズンあたり20試合に出場するが、レップの選手は50から75もの試合をこなす。練習量も2倍、いや、もしかしたら3倍かもしれない。

























