クレーマーに「申し訳ありません」は絶対NG…怒鳴る客を一発で黙らせた"元ブックオフ店員の切り返し"
「全面的な謝罪」は相手の怒りを増幅させるだけ
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悪質なクレーマーから身を守るにはどうすればいいのか。『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)を書いたクレーム研修講師の津田卓也さんは「全面的な謝罪は絶対にNGだ。クレーマーに企業として法的な責任を認めたことにされ、不利な立場に追い込まれるリスクがある。謝罪の対象は相手の感情に限定したほうがいい」という――。(第1回)
かつては役立たずだった「クレーム研修」
いまクレーム対応の現場で、企業や自治体が直面しているのは、もはや「接客マナーの改善」などという生やさしい問題ではありません。悪質なクレーマーやカスハラ(カスタマーハラスメント)による組織崩壊の危機です。
私がクレーム研修講師のキャリアをスタートさせた2008年頃は、研修内容が完全に現場と乖離していました。
当時はキャビンアテンダント(CA)出身の講師による「優雅なおもてなし論」や、警察官OBによる「細かすぎる法律論」が主流でした。CA出身者による講義は「いかにクレームを起こさないか」に主眼が置かれ、警察官OBによる講義は「いつ警察に通報するか」という内容が中心でした。
しかし、クレーム対応の現場が本当に求めているのは、「お客様を満足させる」ことではなく、「目の前のクレーマーに対していかに対応するか」という実践的な知識だったのです。現場で飛び交う金銭要求や暴言というカスハラには、当時の一般的なクレーム研修はまったく役に立ちませんでした。
このことをクレーム研修講師側がまったく理解していなかったからか、研修会社には「クレーム研修講師の講義内容が全然役に立たない。もっと実践的に講義ができる講師を派遣して欲しい」というクレームが寄せられていたそうです。
私は90年代にブックオフでクレーム対応をしていたため、企業が求めている実践的なクレーム研修に対応することができ、その後独立して現在にいたります。

























