なぜ医者志望の秀才は声楽の道に進んだのか…「オペラ界の大谷翔平」が女子最難関校・桜蔭に入って気づいたこと
ミラノ・スカラ座でヒロインを務めた脇園彩さんの偉業
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今年9月、オペラ歌手の脇園彩さん(37)は世界の歌劇場の最高峰、ミラノ・スカラ座でヒロインを務めた。その偉業から「オペラ界の大谷翔平」とも称される彼女は、学生時代は医者志望だったという。なぜオペラの道に進んだのか。評論家の香原斗志さんが聞いた――。
世界最高峰の劇場でヒロインを務めた30代女性
日本から海外に留学する人の数は、2004年をピークに減少し、いまでは韓国の4分の1にすぎない。しかも異常な円安により、残念な状況に拍車がかかっている。長引けば、経験や見識も含めた日本人の力が世界のなかで相対的に低下し、ひいては経済力を中心とした国力のさらなる停滞につながるだろう。
そんな厳しい状況にあるだけに、野球の大谷翔平選手の活躍には一縷の望みを抱いてしまう。欧州リーグで活躍するサッカー選手たちに対してもそうだ。日本人はフィジカル面で欧米の選手に太刀打ちできないと、かつては考えられていた。しかし、大谷をはじめとする選手たちは、日本人も能力の磨き方次第で欧米の選手に伍して活躍でき、トップクラスの結果を出すことも可能なのだと示してくれた。
現在、日本人が彼らから元気をもらっているのは間違いない。さらに進み、彼らがロールモデルになって、多くの若者が自分の力を磨き、その力を世界で試すために海外に羽ばたくようになってくれないか、と願わざるをえない。
不幸中の幸いというべきか、ロールモデルになりうる日本人が海外で活躍している分野は、スポーツだけではない。そこで、ぜひ知ってほしい人材がいる。オペラ歌手(メゾ・ソプラノ)の脇園彩さん(37)。オペラ発祥の国イタリア在住の彼女はこの9月、オペラの殿堂であり、世界の歌劇場の最高峰でもあるミラノ・スカラ座で、栄えあるヒロインを務めたのである。


























