バブル期に投資で大損した73歳FPが「トランプショックで狼狽売りして後悔している人に伝えたいこと」
たった4カ月で最高値更新の現実をどう受け止めるか
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2025年8月、アメリカのニューヨーク・ダウ平均株価は4万5000ドルを超える最高値となり、日経平均株価も4万円台が続く。FPの浦上登さんは「4月にはトランプ大統領による相互関税ショックで株価が暴落したが、すぐに回復し、わずか4カ月で暴落前を上回る値になった。投資においては今回のような暴落時に狼狽売りしないことが重要だ」という――。
自己流の株式投資で「痛い」失敗をした経験
私は会社員だった30代、バブルの絶頂の1987年に投資を始めて以来、リーマンショックまで約25年、完璧な自己流で株式投資を行っていたが、かなりの損を出し、実質的に投資を中断していた。その後、ファイナンシャル・プランナー(上位資格CFP)の資格を取得、投資を再開したのが2019年「つみたてNISA」による先進国インデックスファンドの買い付けだった。投資を積み立て方式に切り替えてからは、成果を出してきた。
そのような失敗だらけの私の投資歴ではあるが、その間に身に染みたのは「きちんとしたセオリー(戦術、理論)を持つこと。平常心を失った状態で売買をしてはいけない。感情は投資の敵」ということだ。
投資は買いも難しいが、それ以上に売りが難しい。
簡単に言えば、「相場が上がるともっと上がると思って買いたくなる。相場が下がるともっと下がると思って売りたくなる」ということだ。これは欲得にとらわれているからだ。「投資は儲かるもの」と思って投資をすると、上がって利益が出ても、もっと上がるので売るのは惜しいと思う、自分の願望と相場の動きを混同してしまい、自分の願望に従って株価が上下すると思い投資をしてしまうのだ。本来ならば、自分の願望通りに上がる相場などありはしないのに。
株価が落ちるとショックで手放してしまう
欲得にとらわれた結果が高値の時にさらに買い増す、安値の時に売ってしまうということだ。
後者は特に株価の暴落時には、「狼狽売り」という形で現れる。
私も投資開始直後の1987年のブラックマンデーによる急落で狼狽売りをしたことがある。
もうすでに40年近く前のことになる。当時株式市場は上昇傾向にあったが、金融工学の発達により、プログラム売買やデリバティブ取引が盛んになり、「売りが売りを呼ぶ」危険性があった。当時アメリカFRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き上げる可能性があるとの情報が引き金となり10月19日に米国市場で20%以上の株価暴落が起った。幸い、FRBが市場へ資金供給を絶やさなかったことにより、株価は一定の期間をおいて回復した。
その概要は図表1の比較チャート、図表2の表を見ていただけるとお分かりになると思う。