体質でも年齢のせいでもない…脳神経外科医が警告「疲労をため込む人」に共通する"危険な人付き合い"
休んだのに休んだ気がしないのは「脳疲労」のせい
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休んでも疲れが取れないのはなぜか。脳神経外科医の菅原道仁さんは「体の疲れだけでなく、脳の疲れが影響している恐れがある。脳を疲れにくい状態にするために意識して作ってほしい時間がある」という――。(第1回) ※本稿は、菅原道仁『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(アスコム)の一部を再編集したものです。
“体の疲れ”は体質や食事などに原因がある
「タフな人」という表現が使われることがあります。精神的にも、肉体的にも、です。
これは見方を変えると、「疲れにくい人」と解釈することもできます。タフであれば、疲労を感じるまでの時間が、タフといわれない人に比べて長くなるのが自然だからです。そして当然のことながら、その反対に「疲れやすい人」も存在します。
皆さんのなかで、「自分はタフで疲れにくい」と思っている人は、まずいないでしょう。タフではないと思っているから、疲れやすいから、上手に休息をとりたいから、本書や本稿にヒントや救いを求めているはずです。
疲れやすい人と疲れにくい人、両者の違いはどこにあるのでしょうか。体の疲れの場合、持って生まれた体質、食事を中心とする生活習慣、運動習慣、慢性疾患の有無などが違いに影響してきます。丈夫な体に生まれ、バランスのとれた食事をとりながら規則正しい生活を送り、適度に運動をして、持病もいっさいない人は、その真逆の人に比べ、はるかに疲れにくいです。
脳の疲れは「正しく使えているか否か」で変わる
脳の疲れの場合は、体質などが原因で違いが生じることはそれほどありません。脳が疲れやすい人と疲れにくい人を分かつポイントは、「脳を正しく使えているか否か」にあります。
詳しくは後述するように、脳を正しく使えていれば、脳に休息を与えることができるからです。脳疲労がたまりにくい状態、すなわち疲れにくい状態――そういってもいいでしょう。
脳を正しく使うとは、「脳が活性化した状態になりっぱなしならないために、メリハリをつけるように働きかける」ことです。前項で説明したように、脳は生命維持のために24時間働き続けているので、意識的にスイッチのオンオフを切り替えることはできません。
しかし、思考の仕方や生活習慣などに工夫を凝らすことにより、脳への負担を和らげ、頭の中をからっぽにする時間を多くつくることならできます。そこに意識を向ければ向けるだけ、脳疲労の蓄積を防ぐことができるのです。
まず、大前提として推奨しておきたいことがあります。それは頭の中をなるべく無意識にして、ぼーっとする時間をつくることです。
私たちが意識的に脳を使おうとすると、脳の特定の部位だけが活性化し、脳のエネルギーもそこに集中することになりますが、それは効率のいい脳の使い方、正しい脳の使い方とはいえません。一方、ぼーっとしているときは、寝ているときと同様に、脳全体が無意識のうちに活発に働きます。じつはこのとき、アイデアやひらめきが生まれやすいといわれているのです。