外国人に仕事を奪われたわけでも治安が悪化したわけでもないのに…「日本人ファースト」がウケた深刻な理由

外国人に仕事を奪われたわけでも治安が悪化したわけでもないのに…「日本人ファースト」がウケた深刻な理由

参政党神谷代表がドイツ右派と会談も日本と状況が違いすぎる

参政党は先の参院選を経て国会議員18人を擁する政党となった。ジャーナリストの柴田優呼さんは「神谷宗幣代表は8月5日にドイツの極右政党代表と会談したが、移民由来の居住者が24%のドイツと、在留外国人が3%の日本では事情が違いすぎる。日本人ファーストという言葉が響いた背後には、もっと深刻な日本社会の問題があったのではないか」という――。

神谷代表がドイツの極右政党代表と会談

参院選で、国民民主党に続く野党第2位の比例票を得て躍進した参政党。「日本人ファースト」の方針を声高に訴え、支持者の心をつかんだ。排外感情を煽るという批判も出て、神谷宗幣そうへい代表は「選挙の間のキャッチコピーだ」とトーンダウンしていたが、参院予算委員会で初めて質問を行った8月5日、移民排斥を訴えるドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)のティノ・クルパラ共同党首と会談。「移民が増えすぎた町を見てほしい」というクルパラ氏の誘いに応じて、9月にドイツなどヨーロッパの訪問を検討していることを明らかにした。


ただ、移民大国ドイツの事情は、日本と大きく違うことには注意が必要だ。国際移住機関(IOM)が発表した2024年版世界移住報告書によると、ドイツはアメリカに次ぐ世界2位の国際移住先となっている国で、人口に占める国際移住者の割合は19%に上る。これに対して日本はわずか2%にすぎない。

またドイツ連邦統計局によると、2022年の時点で既に、ドイツ住民の24.3%には移民の背景がある。歴史的にも、1950年代には地中海沿岸から大量の外国人労働者を、また冷戦後には旧東側ブロックから、2015年の難民危機では中東・アフリカから、2022年にはウクライナから、多くの難民や流入者を受け入れてきた。

移民大国のドイツと日本は違いすぎる

一方日本は、難民をなかなか受け入れないことで国際的にも知られている。出入国在留管理庁の2024年末の統計では在留外国人は約377万人で、ここでもやはり人口の3%程度だった。

このようにざっと見ただけでも、移民のスケール、移民構成の複雑さ、歴史的経緯、地理的位置などの面でドイツと日本は大きく違っていて、簡単な比較は困難だ。さらにドイツでは旧東独と旧西独間で今も乖離かいりがあり、日本のように平準的な国柄ではない。クルパラ氏も、右翼化が進み、移民に厳しい傾向のある旧東独地域の出身だ。

そうした点を十分認識し、あたかも日本がドイツに近づいているような錯覚を持たず、安易に排外主義や国内分断の火種を作らないように、慎重に考えていく必要がある。

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2025.08.29

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