そりゃ「野球離れ」が進むわけだわ…今季から「試合中の写真・動画の投稿禁止」を始めた日本プロ野球の時代錯誤
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日本野球機構(NPB)が今季より始めた「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」が物議をかもしている。ライターの広尾晃さんは「現代のプロスポーツにおける人気とは、球団が発信する情報とファンのSNS情報の総和だ。それをNPBは理解しているのか」という――。
試合中のプレーの動画はすべてNG
今年2月1日、NPB(一般社団法人日本野球機構)は「試合観戦契約約款」を一部改訂するとともに新たに「写真・動画の撮影及び配信に関する規程について」を発表した。これが大きな議論になっている。
規定の趣旨は、「主催者が有する権利及び法益を適正に保護」するためである。そのために、プレー中の選手の写真や動画をXやインスタグラム、YouTubeやブログなどへ投稿することが禁止されたのだ。
NPBによれば、試合中の写真、動画の撮影については許諾するが、これをボールインプレー中(試合中)は、配信(投稿)することは禁止。動画はもちろん、写真もNG。選手以外の観客やマスコットなどについても、試合中の投稿は禁じられている。
試合終了後に限り140秒以内の動画なら投稿OK。例えば、ヒーローインタビュー後の選手の姿や、スタンドの雰囲気を撮影して投稿するのは問題ない。ただし、試合中のプレーが映っている動画はどんなに短くてもNG。
試合中の撮影は、スマホやカメラなどは認めるが、三脚やパソコンを使用することは禁止。配信先は「家族や友人への共有」は許諾するが、広くSNSで公開することを禁じている。
この規定を順守しようと思えば、観客、ファンは自分で撮影した写真、動画を「クローズドのSNS」、例えばLINEなどを使い試合後にアップすることはできるが、X(旧Twitter)やインスタグラム、TikTokなどオープンなSNSにアップすることは、どのタイミングであれ、すべてアウトということになる。
この規定が、NPB球団の現場を混乱させている。