「あんぱん」今田美桜さんには期待しかない…"ドヤ顔"が鼻についた「おむすび」橋本環奈さんとの決定的な差
Profile
橋本環奈さん主演の「おむすび」が完結し、今田美桜さん主演の「あんぱん」が始まった。“朝ドラ好き”で、コラムニストの矢部万紀子さんは「『おむすび』の放送がやっと終わった。どのエピソードも無理があり、見ていて共感できない展開ばかりだった」という――。
“ギャル魂”は朝ドラに向いていたが…
「おむすび」の視聴率が史上ワースト記録となったそうだ。その原因として「ヒロイン結(橋本環奈)のギャルという設定が共感をよばなかった」とする分析を多く見る。私はそうは思わない。ドラマ中で何度も語られた「他人の目を気にせず、自分の好きを貫く」というギャル魂は、朝ドラのヒロインに向いているとさえ思っている。
朝ドラを愛する者としてワースト視聴率を分析するなら、ヒロインにまったく葛藤がなかったことが最大の問題点だったと思う。結が何かする。最初は反発した人が、すぐに味方になる。そして最後はすべてうまくいく。「どんなエピソードも、結局は結の手柄」となっている。これでは共感をよべないどころか、結がだんだんドヤ顔に見えてきた。
「おむすび」最大の謎は、結が東日本大震災をパスしたことだ。そもそも「おむすび」は、2025年1月17日という「阪神淡路大震災30年」がオンエア中に巡ってくることから始まった企画だったはずだ。ヒロインは平成元(1989)年生まれとし、平成という災害多き時代を描く野望もあったろう。だとすれば、平成23(2011)年の東日本大震災が山場になってもおかしくない。
ところが結はその時、長女の花の出産直後で、栄養士として勤めている会社を育休中だった。「結が今すべきなのは、花を育てることだよ」とみんなが口にしていて、人としてはその通りだ。だけど、ドラマとしては出産をずらしてもよかったはずで、謎だった。制作陣もそう思ったからだろうか、被災地に行った同級生が結にお礼を言いにくる、というさらなる謎の展開になった。
理屈が無理筋だった
神戸の栄養専門学校時代の同級生・カスミン(平祐奈)だった。就職した東京の病院から「支援栄養士」として気仙沼に行く。その様子は、結に語る回想シーンとして描かれた。津波で入れ歯を失った老人が彼女の作ったおじやを食べ、「うめー、久しぶりにコメ食ったなや」と嘆息する場面では、「おむすび」ではレアもレアだが涙が出そうになった。
普通なら結がすべきことを同級生がする。でも、結につなげねばならぬ。ということで「お礼」になったのだろう。この無理筋の理屈は、結の阪神淡路大震災体験にもってきていた。幼い結は避難所暮らしをし、割愛するがその時の「苦い思い出」をカスミンたちに語っていた。そのことがすごく役立ったから、「結ちゃん、ありがとう」だとカスミンは言っていた。
被災地帰りで疲れているのに、わざわざ? こういう強引さでしれっと「結ってすごいね」にもっていく。「どんなエピソードも、結局は結の手柄」とはこういうことだ。しかも、ここから結の「葛藤のなさ」が爆発する。