大阪では"名門高の定員割れ"や"貧相な給食"に悲鳴…「無償化は特効薬にならない」各地の施策が示す現実
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昨日成立した2025年度予算に、高校授業料の無償化が盛り込まれた。コラムニストの河崎環さんは「公立校の給食無償化や私立高校の授業料無償化など、教育関連費の無償化トレンドが国レベルでも地方レベルでも急激に広がった。無償化によって子育て層の経済負担が軽くなることには大賛成だが、果たして無償化が子育て関連の社会問題をすべて解決する特効薬かというと疑問だ」という――。
授業料を無償化した都立大に志願者は殺到しなかった
3月下旬。大学入試の季節も終わり、おおよその結果が出揃ったところに、聞き捨てならない話を耳にした。
「東京都の高校授業料無償化の延長で学費が無償となった都立大で、教員たちは『さぞかし志願者が殺到し、倍率も爆増するのだろう』と今冬の入試に身構えていたのですが、無償化の認知不足や立地、専攻マッチングの問題もあってか、全体の志願者の伸びは例年の1.2倍強程度で、爆発的な人気とはならなかったんです」
えっ。無償で大学へ通えると聞いたら、そりゃ志願者殺到に違いなかろうと思うのが人情というものだが、学生たちはそうは判断しなかった、ということなのだ。もちろん無償化初年度ということで、倍率急増を警戒し敬遠したということも十分に考えられる。
だが「ワンチャン」的な腕試しでも志願しなかったというのは、そもそも受験する子どもの絶対数が圧倒的に少ない時代ならではなのかもしれない。
そうなのだ、現代の大学受験は、40代や50代以上が経験した受験戦争のような「落とすための試験」だらけのラットレースには、もうならない。つまりそれだけ「子どもがいない」のだ。
全国で広がる“無償化”の波
いま日本で議論される社会問題が、少なからず急激な少子化による社会変容の影響した結果であることは言うまでもない。そして出生率の低下や少子化の原因の一つとして「子育てコストへの心理的抵抗が大きな障壁となっている」は定説である。
これを受けて、公立校の給食無償化や私立高校の授業料無償化など、教育関連費の無償化トレンドが国レベルでも地方レベルでも急激に広がった。これらは現役子育て中の家庭から大いに歓迎され、特に東京都でいち早く教育関連費の無償化を進めた小池百合子知事などは磐石の支持を得ており、それは昨夏以降の選挙結果で火を見るより明らかだ。
しかし一方で、それは東京都のような北欧一国の予算規模に相当する巨大なメトロポリタンであるがゆえに可能な施策であり、地方とは条件が違うとの指摘もある。財政基盤が比較的弱い自治体では理想と現実のギャップを埋めるための痛み、副作用も生じている。