「大学病院に駆け込む人」は特別料金が取られている…いつの間にか医療費が増えてしまう"3つのNG行動"
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医療費を抑えるにはどうすればいいか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「高額療養費制度や医療保険を活用する手があるが、適用されないケースがあり限界がある。まずは医療費が増えるような病院のかかり方をしないことが大事だ」という――。
「高額療養費」見直しは撤回されていない
引き上げ凍結に至る二転三転の状況が連日報道されたことで、地味な存在だった高額療養費に世間の注目が集まりました。ただし、見直し自体が撤回されたわけではなく、今後も議論は続いていきます。
少子高齢社会において国民医療費が右肩上がりとなっている中、何らかの負担増は避けられないと思われます。
そうなると注目されるのが、保険会社などが販売する医療保険です。しかし、最も困る事態に遭遇したとき、医療保険からの給付が受けられないケースがあることをご存じでしょうか。それだけでなく、高額療養費の対象にならない医療費が増えている実態もあるのです。
毎月ギリギリ届かないケースがつらい
高額療養費とは、1カ月あたりの医療費がどんなに高額になっても、所得区分に応じた一定の金額(自己負担上限額)までの支払いで済むという制度です。そして、高額療養費の適用になる月が12カ月以内に3回以上あった場合、4回目からは上限額が下がります。これを「多数回該当」といいます。
たとえば、70歳未満で所得区分一般のケースだと、自己負担上限額は8万100円+1%(※)ですが、多数回該当が適用になると上限額は4万4400円に下がるのです。
しかし、高額療養費には限界があることを知っておく必要があります。
高額療養費の計算は暦月単位で行います。高額の医療費負担が長期にわたって継続したとしても、1カ月単位で高額療養費に届かないと、いつまでも多数回該当は適用になりません。
たとえば、ある月の窓口負担が8万円の場合、ギリギリで高額療養費には該当しません(所得区分一般・70歳未満)。それが1年間続くと96万円にも上ります。もし、高額療養費の多数回該当が適用になっていれば、1年間の自己負担額は53万2800円ですから、その差は非常に大きいものとなります。
入院や手術を伴う場合、高額療養費が適用になることがほとんどですが、ギリギリで高額療養費に該当しない月が継続するのは、外来で高額の薬剤を服用するケースだと思われます。
※自己負担上限額=8万100円+(医療費-26万7000円)×1%(窓口負担が8万100円を超えると、超えた部分の医療費は3割ではなく1%)