「ブラタモリ」も「笑っていいとも!」もすべてここから始まった…タモリが幼少期にたった一人で見続けた景色
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今年4月から「ブラタモリ」の新シーズンがNHKで放送される。今年80歳を迎えるタモリは、なぜこれほどまでに愛され続けるのか。社会学者の太田省一さんは「博識さはもちろん、類まれな観察眼が大きな魅力だろう。その能力は彼の幼少期にあった」という――。
第60回ギャラクシー賞で、放送批評懇談会60周年記念賞を受賞したタモリさん=2023年5月31日、東京都渋谷区
「ブラタモリ」が長寿番組になったワケ
待望の『ブラタモリ』(NHK)新シーズンが今月からスタートする。いったん終了した長寿番組がレギュラーとして復活するのは異例のこと。しかもタモリは今年8月で80歳を迎える。タレントとしての息の長さはいまさらながら驚異的だ。
なぜ『ブラタモリ』、そしてタモリはこれほど求められ続けるのか? この機会に改めて考えてみたい。
いまさら番組の説明は不要だろう。タモリがNHKの女性アナウンサーとともに街や観光地などさまざまな土地を訪れ、専門家の案内で歩きながらその場所にまつわる秘密を解き明かしていく。タモリによる街ブラ番組。だから「ブラタモリ」というわけである。
番組が始まったのは、2008年のこと。このときはお試しの単発番組だったが好評を受けて2009年10月からレギュラー化した。その後休止期間などを挟みながら、2024年3月まで続きいったん終了。だが惜しむファンの声は多く、スペシャル版の放送を経て今回のレギュラー版再開となった。
『ブラタモリ』と言えば、まず思い浮かぶのがタモリの博識ぶりだろう。専門家が出す難問にいとも簡単に正解してしまう。スタッフや出演者は「当てちゃった!」と驚き、専門家も思わず「参りました」となる。