小学校を越境入学したいとき。小学校入学時や在学中に越境する方法やそれぞれの理由など

小学校を越境入学したいとき。小学校入学時や在学中に越境する方法やそれぞれの理由など

越境入学・区域外就学とは?小学校入学で越境したいなら

2019.09.05

「指定されている学区ではなく、隣の学区の方が通いやすい」「幼稚園の友だちがほとんど隣の学区の小学校に通う」など、定められている学区ではない学区の公立小学校への越境入学・区域外就学を検討している保護者もいるのではないでしょうか。越境入学・区域外就学とはどのようなものか、越境入学・区域外就学を検討する際のポイントを交えて紹介します。

越境入学・区域外就学とは

公立小学校へ入学する際、各市区町村の教育委員会によって設定された通学区域により、どの小学校に入学するかがあらかじめ定められています。しかし、さまざまな理由から、通学区域外の小学校への越境入学・区域外就学を希望する保護者も少なくないようです。


越境入学・区域外就学は、現在住んでいる学区外に指定校を変更し、希望校へ通うことを意味します。といっても公立小学校に通う場合は自由に希望校を変更して越境入学・区域外就学ができるわけではありません。


どんな理由で越境入学・区域外就学を希望する家庭があるのか、またどのように指定校変更を行い、通学区域外の公立小学校へ通うことができるのか、越境可となるケースはどんな理由なのかなど、詳しく見ていきましょう。


越境入学・区域外就学を検討するときの理由

越境入学・区域外就学を検討する理由は、保護者によってさまざまです。障がいのある子どもの場合、特別支援学級のある学校を希望する場合があります。また、通学距離が遠かったり、学校環境に不安を感じたりして、指定校以外の学校を希望するケースも考えられます。

その他にも、学童保育の利用や、親族宅への預け入れなど、家庭の事情によって越境入学・区域外就学を検討するケースがあります。


  • 障がいにより特別支援学級のある小学校へ通学するとき
  • 過疎地の小学校で、統廃合を防ぐために通学するとき
  • 学校が災害等で、別の小学校を借りて授業をするとき
  • 対人関係により避難の必要があるとき

その他の理由により越境入学を認める自治体もあるようです。


近い将来の転校

ランドセル
iStock.com/taka4332

「隣の区に家を建てることになり、学区外の越境入学の手続きを進めています。問い合わせたところ転入予定日が1年以内であれば越境可とのことでした。希望校の学校説明会にも参加し、子どもも楽しみにしています」(30代ママ)


学区外に住んでいるけれど近い将来、学区内へ転入する予定があるときは越境入学・区域外就学が認められるケースがあるようです。「近い将来」がどれくらい先のことを指すかについては自治体によるそうですが、おおむね1年以内とする自治体もあるようです。


卒業前の転校

「学区外に転居しましたが、卒業までの期間が短かったため、今の学区の公立小学校に通わせ続けることにしました。学区外通学許可申請書を提出し、証明書などを揃えるのが大変でしたが、手続きはスムーズに進みました」(40代パパ)

小学校卒業前に転校することが決まったけれど、卒業までの日数が短いときは、転校前の学区へ通い続ける越境通学が認められることもあるようです。「卒業までの日数」については小学校6年生の間、とする自治体もあるそうです。


実家・親族へ預けるとき

「両親が住んでいる通学区域の小学校に子どもを預けたいと考えています。自治体に相談したところ、申請理由を詳しく説明すれば、区域外就学が認められる可能性があるとのことでした」(20代ママ)

このケースは共働き世帯で保護者が家庭に不在かつ、実家や親族に子どもを預かってもらうことが頻発することが証明できる場合に適用されるようです。

始業前に実家などへ預ける場合、放課後実家に預ける場合は、預け先の学区に越境入学・区域外就学ができる場合があるようです。


学童保育に通うため

「住んでいる地域の公立小学校には学童保育がないため、希望校の学童保育を利用したいと考えています。問い合わせたところ、指定校変更が可能とのことでした」(30代ママ)

学童保育がない小学校から、学童保育のある小学校へ越境入学・区域外就学することができるケースもあるようです。民間の学童施設であっても、学童施設へ入学することが決まっていれば、越境入学・区域外就学が認められる自治体もあるそうです。

子ども・保護者への高い負荷

「子どもが学校になじめず、通学するのが困難な状況です。教育委員会に相談し、指定校変更して希望校への越境入学を申請したいと考えています」(20代ママ)


学区内の小学校に通うことが子どもまたは保護者にとって負荷が高いと客観的に判断されれば、個別に越境入学・区域外就学を認められることもあるようです。

越境入学・区域外就学を自治体に認められるのはケースによってさまざまです。ただし「通学距離が近いから」といった理由のみでは認められない場合が多いようです。

越境入学・区域外就学を検討するときは自治体に確認するとよいでしょう。

越境入学・区域外就学を希望するときの手続き方法

教室
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越境入学・区域外就学を希望するとき、どのような手続きが必要なのでしょう。

越境入学・区域外就学を希望する場合、学区外通学許可申請書を提出する必要があります。申請に必要な書類は、自治体によって異なりますが、一般的には、住民票や戸籍謄本、希望校の校長先生の意見書などが求められます。

指定校変更の申請理由を具体的に記載し、その自治体の教育委員会に提出しましょう。教育委員会ごとに指定校変更許可基準が定められており、その基準に沿って指定校変更の申請が受け入れられて越境可となるかが決まります。

まずは、申請書など必要書類を揃えます。申請書が小学校に置いてある場合もあるようです。必要書類は越境入学・区域外就学を希望する理由により異なるため、自治体に確認しましょう。書類が揃ったら希望先の小学校を所管する自治体に必要書類を提出します。

越境入学・区域外就学をする理由によっては、希望先の公立小学校の校長先生と面談し、校長先生の許可が必要な場合もあるようです。

また、転校を伴う指定学校変更の場合は、通っている小学校に越境通学を希望する旨を連絡します。別途、転校の手続きも必要になります。

越境入学・区域外就学を希望するとき、指定学校変更のみで住民票を学区外の住所に移動する必要はありません。子どもの住民票のみ実家や親族の家に移動する、自宅ではない場所に家を借り住民票を移動するといった方法はトラブルになる可能性があります。現在の住所で自治体に申請をしましょう。

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越境入学・区域外就学するときのポイント

越境入学・区域外就学をする際に考えるとよいポイントはどのようなことがあるでしょう。


通学距離・経路の確認

「希望校までの通学経路を事前に確認し、安全に通学できるか確認しました。通学距離も考慮し、無理のない範囲でできる指定学校変更を決断しました」(30代パパ)


学区は元々、子どもが徒歩で安全に通えるよう配慮され自治体によって定められている場合がほとんどです。通学経路図などをしっかり把握して子どもといっしょに確認する必要もあるでしょう。


越境入学・区域外就学をすることにより、子どもが危険な道を通ることがないか、徒歩で無理なく通える距離か確認しましょう。公共交通機関を利用する場合も、同様に確認しましょう。


交友関係

「子どもの友達がほとんど希望校に通っているため、一緒に通わせたいと考えています。新しい環境にも慣れてもらえるよう、事前に学校見学に行き、子どもにも説明しました」(20代ママ)


「通っていた幼稚園・保育園の友だちが学区外の小学校に通うため越境入学・区域外就学をしたい」と思うママもいるかもしれません。子どもも幼稚園・保育園の友だちと離れたくないということもあるでしょう。


指定学校変更して越境入学・区域外就学をして学区外の小学校に通う場合は、近所の同い年の子どもたちとの接点が作りにくくなるかもしれません。指定学校変更に踏み切る場合は、変更理由もしっかりかためたうえで、近所の行事にも積極的に参加して地域コミュニティとの繋がりを作れるとよいかもしれません。


小学校の校風

「希望校の学校説明会に参加し、校風や教育方針について詳しく説明を受けました。子どもの性格や将来を考え、この学校ならよい成長が期待できると感じました」(30代ママ)


学区外の小学校へ越境入学・区域外就学を検討する場合は、小学校の校風が子どもに合うか確認するとよいでしょう。希望する学校に先輩ママがいれば、小学校の雰囲気を教えてもらうことも一つの方法かもしれません。


越境入学・区域外就学のメリットとデメリット

越境入学・区域外就学には、メリットとデメリットの両面があります。指定校変更許可基準をクリアしても大変だったという声も、学区外通学してよかったという声もあります。両方について見ていきましょう。


メリット

「隣の学区の公立小学校が、都のモデル校として指定されていて新しい設備や教育環境を取り入れていたので、その学区への転居を前提に入学時に越境しました。いじめもなく先生もよい方ばかりで満足しています」(30代ママ)


希望する学校に通えるなど、子どもの個性や希望に合わせた教育を受けさせたいという保護者にとって、希望校に通わせることができるのは大きなメリットです。幼稚園や保育園の友だちと同じ学校に通わせたいという保護者もいるでしょう。

デメリット

「あちこちに電話したり証明書や書類を提出したり、希望校に出向いて変更理由を説明して説明を受けたりと大変でした。また学童保育への申請もあったのでよけいに手間がかかりました」(30代ママ)


手続きの煩雑さが最も大きなデメリットと感じる保護者は多いようです。申請手続きには時間がかかる場合があり、学区外通学許可申請書などの証明書や申請理由などを作成する必要があり、保護者にとって負担となる可能性があります。


また、通学距離が長くなる場合があり、子どもの負担が増える可能性があります。通学経路図を作成して小学校入学時に提出する必要もあります。


越境入学・区域外就学の可否は自治体によってさまざま

絵を描く子供達
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越境入学・区域外就学を検討されている方は、まず、居住自治体の教育委員会に学区外通学許可申請書を提出する必要があります。越境入学・区域外就学が可能かどうかは、自治体の指定校変更許可基準や、申請理由によって異なります。

申請理由としては、転居の予定がある、やむをえない家庭や本人の事情がある、といった理由が挙げられますが、いずれも詳しく理由を提示する必要があるようです。申請理由の妥当性や、通学経路の安全性を審査し、越境可かどうかが判断されるようです。

越境入学・区域外就学は、子どもの将来を大きく左右する重要な決断です。指定学校変更をして、希望校に通わせたいと考える場合は、通学経路図や証明書の作成、申請理由や通学区域空の変更理由など提出しなくてはならない書類などもあることで、保護者の負担も大きいでしょう。まずはその自治体の教育委員会に変更理由を伝えて相談してみるのもよいかもしれませんね。


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