2022年度より児童手当の現況届が原則提出不要に。提出が必要な場合と書き方は?

2022年度より児童手当の現況届が原則提出不要に。提出が必要な場合と書き方は?

児童手当の制度改正と現況届について解説

2018.12.12

児童手当の受給を受けるには、これまで現況届という書類を毎年提出する必要がありましたが、2021(令和3)年に行われた法改正により、2022(令和4)年度以降の現況届の提出は原則不要となりました。ただし、一定の要件に当てはまる場合、これまでと同様現況届の提出が必要となります。今回の記事では、変更後の児童手当の制度や現況届が必要な場合、現況届の書き方などについてご紹介します。

児童手当現況届は原則提出不要に

児童手当は基本的に子どもを養育している人にお金が支給される制度となっています。夫婦共働きの場合、所得の多い方へ支払われている場合が多いようです。児童手当は所得制限などで支給額が変わります。これまでは、所得の確認のため年に1回現況届を提出することが法令によって義務付けられていました。

2021(令和3)年に児童手当法施行規則が改正され、2022(令和4)年度以降の児童手当現況届は原則提出が不要となりました。ただし、一定の要件に当てはまる場合は、現況届の提出が必要となります。

これまで毎年提出が義務付けられていた現況届の提出が原則不要となった背景として、マイナンバーカードなどで行政が一定の情報を確認できるようになったことなどがあげられます。


現況届の提出が必要な場合とは?

以下のいずれのケースに当てはまる場合、引き続き現況届を提出する必要があります。

  • 離婚協議中で配偶者と別居している場合
  • 配偶者からのDVなどにより、住民票の住所地と異なる自治体で受給している場合
  • 子どもが無戸籍の場合  など

当てはまるかどうか確認したい場合は、お住まいの市区町村の子育て支援課などに問い合わせてみましょう。

なお、現況届の提出は、電子申請が可能なようです。平日に役所に行く時間が取れないなどの場合は、電子申請も検討してみるといいかもしれませんね。

児童手当制度について

オフィス
iStock.com/imaginima

児童手当はいくら受給できるのか、子どもが生まれた場合や引っ越しをした場合など、児童手当の制度全般についてご紹介します。


児童手当の支給額

支給額は、子どもの年齢によって異なります。

年齢

手当額(子ども1人あたりの月額)

3歳未満

一律15,000円

3歳以上小学校修了前

10,000円
(第3子以降は15,000円)

中学生

一律10,000円

子どもを養育している人の所得が、所得制限限度額以上、または所得上限限度額未満の場合は、特例給付として月額一律5,000円が支給されます。所得制限限度額、所得上限限度額については、以下で詳しくご紹介します。


所得制限限度額・所得上限限度額とは?

上記の「所得制限限度額」と「所得上限限度額」は、児童手当の支給が受けられるのか、特例給付のみになるのかを判断する収入額の目安の金額をいいます。

所得制限限度額以上の場合、月額一律5,000円が特例給付として支給されます。一方、所得上限限度額は、収入額が上限限度額以上の場合、児童手当も特例給付も支給を受けることができなくなります。

所得制限限度額と所得上限限度額は、いずれも扶養親族等の人数によって収入額が異なります。なお、扶養親族等とは、同一生計配偶者、扶養親族、児童のことをいいます。

気になる場合は、市区町村やこども家庭庁のホームページなどで金額を確認してみましょう。


児童手当の支給時期

原則、年に3回(6月、10月、12月)支給されます。それぞれの前月分までの児童手当が支給されます。例えば、6月の支給日には、2~5月の4カ月分が支給されます。


子どもが生まれた場合・引っ越しした場合

子どもが生まれたり、他の自治体に引っ越しをした場合には、現住所の自治体に「認定請求書」を提出することが必要となります。認定請求書の提出にあたっては、健康保険証や請求者の口座番号がわかる書類などが必要となることもあるようです。どのような書類が必要なのかは、お住まいの市区町村のホームページを調べたり、市区町村役場の子育て支援課などに問い合わせをしてみましょう。

現況届の提出が必要な場合に当てはまるとき

離婚協議中など現況届の提出が必要な場合に当てはまるとき、どのように現況届を記入して提出したらよいのでしょうか?

市区町村によって異なりますが、毎年6月頃に現況届の書類が郵送で届き、6月中に提出期限が設けられていることが多いようです。期限内に提出できない場合、児童手当の受給権が失われてしまう可能性がありますので、期限を確認して書類を準備するようにしましょう。

児童手当現況届の書き方【受給者の欄】

現況届は各自治体で用意されるため、内容はほとんど変わらずとも書式は全国共通ではありません。書き方や記入例について、項目ごとにご紹介します。

受給者の欄には実際に児童手当を受け取っている人の情報を記入します。例えば夫の方が所得が高い場合、夫の氏名、住所、性別、生年月日、配偶者の有無などの基本情報を書きましょう。世帯主が受給者とは限りませんので、注意が必要です。

離婚協議中の場合は、子どもと同居している親に児童手当が支給されます。自治体によって、同居優先の申立書や離婚協議中であることを証明する書類が必要になるようです。市区町村のホームページなどで確認してみましょう。


加入保険について

受給者が会社員なら「厚生年金保険」、自営業なら「国民年金」に入っている場合が多いようです。改めて確認できると安心でしょう。


職業について

自治体の現況届によって異なりますが、職業欄を「被用者・公務員・被用者等ではない者」の3つから選ぶようになっていたり、「会社員・自営業・公務員・無職/その他」などとしている場合もあるようです。職業欄は加入年金で判断している自治体もあります。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、厚生年金などに加入している会社員は「被用者」となるようです。


所得の状況について

現況届によっては「所得の状況」という欄が設けられていようです。所得額とは会社員の場合、源泉徴収票の給与所得控除後の金額を意味するようですが、手元に源泉徴収票がないときもありますよね。自治体によっては記入欄はあっても「記入不要」と記入例に書いてある場合もあるようです。書き方がわからない場合、事前に市役所などへ問い合わせたほうがよいかもしれませんね。

児童手当現況届の書き方【配偶者の欄】

配偶者についても書き方は基本的に変わらないようです。単身赴任などで受給者と住所が異なる場合は、記入できるとよいでしょう。職業が会社員ではなくパートやアルバイトなら「無職・その他」となったり、受給者の扶養親族となっているなら「被用者等ではない者」となる場合もあるようです。

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児童手当現況届の書き方【児童の欄】

書類を書く手
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児童手当は子どもが中学卒業まで対象となる制度ですが、児童の欄には18歳に達して最初の3月31日までの間にあたる子どもの情報を記入します。子どもの人数を把握するにあたって、高校3年生までの子どもについても忘れず記入できるとよいでしょう。

新たに子どもが生まれた場合は、現況届ではなく上記の認定請求書、請求者の口座に関する添付書類などが必要となります。児童手当受給のため、忘れずに手続きを行いましょう。

現況届提出の際の必要書類や添付書類

現況届とあわせて提出する必要書類は各自治体や受給者の状況によって異なるようです。いくつか具体例を見てみましょう。

  • 受給者が公務員である場合:健康保険証のコピー
  • 子どもと同居している親が受給者になる場合:同居優先の申立書
  • 別居中の児童を養育している場合:養育・別居監護申立書

法改正後の現況届の添付書類については、受給者の状況によって異なることが多いようです。不安なことや不明点は、市区町村の子育て支援課などへ事前に確認してみましょう。

現況届を出し忘れて遅れた場合

現況届が自宅に届いたら提出期限内に出したいところですが、忙しいなどの理由で出し忘れてしまうときもあるかもしれません。現況届の提出が遅れた場合はどうなるのでしょう。


児童手当が一時差し止めになる

各自治体によって提出期限は異なるようですが、期限内に提出しないと一時的に支給差し止めとなる場合が多いようです。もし現況届をなくしてしまっていたら、早めに市役所などへ連絡できるとよいかもしれませんね。


未提出のまま2年すぎると受給資格が消滅

現況届が未提出のまま2年たってしまうと、受給資格はなくなる場合があるようです。子育て支援の制度を利用できるよう、出し忘れには注意できるとよさそうですね。

児童手当に関するその他の手続き

現況届や認定請求書以外にも、児童手当に関する手続き書類はさまざまなものがあります。例えば、離婚などによって児童を養育しなくなったときは、「受給事由消滅届」が必要となります。また、離婚を踏まえて別居しているなど児童手当の受給者を変更する場合は、「受給者変更届」が必要となるようです。

離婚をした場合には、別途児童扶養手当などの手続きも必要になるため、市区町村のホームページなどで確認してみましょう。

家族の状況が変わったり、夫婦で収入額が高い方が変わった場合などは、必要な手続きがあるかどうか確認してみた方がいいかもしれません。

出典:「児童手当リーフレット」/横浜市

児童手当の現況届をスムーズに

赤ちゃんを抱くママ
iStock.com/Milatas

今回の記事では、変更後の児童手当の制度や現況届が必要な場合、現況届の書き方などについてご紹介しました。

2021(令和3)年に行われた法改正により、2022(令和4)年度の現況届の提出は原則不要となっていますが、もし、引き続き現況届が必要な場合は時間に余裕をもって準備できるとよいでしょう。書き方の記入例は各自治体のホームページなどで紹介している場合もあるようです。所得の状況や必要書類など、不明な部分は問い合わせるなどして明確にできると安心ですね。

現況届を出し忘れて遅れた場合でも、なるべく早く対応できるとよいでしょう。自分たちにあった方法で児童手当を利用していけるとよいですね。


※記事内で使用している参照内容は、2024年7月22日時点で作成した記事になります。

出典:「児童手当法施行規則(昭和四十六年厚生省令第三十三号)第四条」/厚生労働省
出典:「児童手当制度のご案内」/こども家庭庁

2018.12.12

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