こちらの記事も読まれています
出産手当金を退職後に申請。健康保険での手続きと夫の扶養や国保などもらえない条件
退職後、健康保険から出産手当金がいくらもらえるかや、夫の扶養になったり国保に入ったるするともらえない場合もあるのか気になる方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、一年未満の場合はもらえないといった出産手当金の支給条件や、対象期間がいつからかや申請書の書き方について解説します。
出産手当金は退職するともらえない?
働いている女性のなかには、妊娠を機に会社を退職する場合があるようです。ママのなかには、産休中に受け取れる給付金である出産手当金について、退職する場合にはもらえないのかや退職後にどのような手続きが必要になるかが気になるという声もあるようです。実際に、出産手当金の条件や手続方法について調べてみました。
出産手当金とは
そもそも出産手当金とはどのような制度なのでしょうか。出産手当金を受け取るための条件や、いつからいくら支給されるのかについて調べてみました。
受給のための条件
出産手当金は、出産前後に安心して休養ができるように生活を保障する制度として設けられているようです。
“
被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときは、出産手当金が支給されます。
出典: 出産に関する給付 / 全国健康保険協会
出産手当金を受給するためには、出産で会社を休む期間に給料が発生していないことが条件となるそうです。そのため有給などで給与の一部を受け取っている期間に対しては、出産手当金はもらえないと把握しておくとよいかもしれません。また、退職後の期間に出産手当金を申請できるかについては以下のように記されています。
“
1.被保険者の資格を喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。 2.資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金はお支払いできません。
出典: 出産手当金について / 全国健康保険協会
出産手当金が支払われる健康保険の被保険者期間の対象が退職日の前日であることから、退職日に出勤すると、出産手当金がもらえない場合があるようです。また、会社での健康保険の加入期間が一年未満の場合にも、もらえない可能性があるそうです。退職日や健康保険にいつから入っているかについて、わからない点については早めに勤務先の担当者に確認しておくとよいかもしれません。
対象期間はいつから?
産休中に受け取れる出産手当金は、いつからいつまでの期間を対象として支給されるのでしょうか。
“
出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲
出典: 出産で会社を休んだとき / 全国健康保険協会
双子など多胎妊娠の場合を除いて、産休の期間は産前産後をあわせて98日間と定められているそうです。出産日の当日は産前に含まれ、出産が予定日よりも遅れた場合には、遅くなった分の日数も支給の対象となるようです。申請書の提出期限については休業した日から2年以内とされていますが、忘れないよう早めに手続きできるとよいかもしれません。
いくら支給されるか
実際に支給される金額がいくらなのかを、どのように計算したらよいのでしょう。全国健康保険協会のホームページで紹介されている計算式をもとに見ていきましょう。
“
【支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
出典: 出産手当金について / 全国健康保険協会
上の計算式で出た1日あたり金額が、対象となる日数に応じて支給されるようです。標準報酬月額の平均が18万円だった場合、18万円÷30日×2/3で計算してみると、1日あたりに支給される金額は約4000円となるようです。
出産手当金の手続きについて
出産手当金の手続きの流れについて見ていきましょう。
申請に必要な書類
・健康保険出産手当金支給申請書
・医師または助産師の意見書などの添付書類
手続きについては「健康保険出産手当金支給申請書」を提出する必要があり、医師または助産師の意見書などを添付書類として用意することが必要となるようです。提出する前には、事業主の証明をもらう欄や医師や助産師の意見欄に記入漏れがないかの確認も忘れず行えるとよいかもしれません。
申請書の書き方
全国健康保険協会のホームページでは、「健康保険出産手当金支給申請書」の書き方の例についても紹介されています。申請書の1ページ目には、保険証に記載されている記号や番号を書く欄があり、振込先として指定する金融機関名と口座番号を記入する必要があるようです。
申請書の2ページ目には、出産前の申請を出産後かを書く欄があり、出産後に申請をするときには出産日と出産予定日の両方を記入するとよいようです。
提出方法
申請書には医師から出産日の記入などをしてもらうため産後の申請が一般的なようですが、本人が希望する場合は産前と産後の2回にわけて手続きを行うこともできるそうです。
“
医師または助産師の証明欄は1回目の申請が出産後であり、証明によって出産日等が確認できたときは、2回目以降の申請書への証明は省略可能
出典: 出産手当金について / 全国健康保険協会
申請書は、加入している健康保険の窓口へ提出するか郵送も可能だそうです。基本的に勤務先が行うようなので、必要な書類や提出期限については担当者に確認しておくとよいかもしれません。
退職後の健康保険について
出産を機に退職を考える方のなかには、退職後に加入する保険の手続きや出産手当金との関わりについて気になる方もいるかもしれません。退職後の健康保険制度は、健康保険の任意継続と夫の扶養に入る、国保への加入の3つから選べるようですがそれぞれどのような特徴があるのでしょう。
健康保険任意継続の申請をする
会社で任意継続被保険者の手続きを行うと、退職後も在職中と同じ保険給付が受けられる場合があるようです。
“
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格を喪失した際に現に受けていた傷病手当金及び出産手当金を引き続き受けることができます
出典: 資格喪失後の保険給付 / 全国健康保険
資格を喪失する日の前日とは退職日当日のことを指しており、それまでに出産手当金の支給が始まっている場合は退職後も続けて受け取ることができるようです。任意継続被保険者となるには、退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があることや、退職日の翌日から20日以内に申請することが条件とされているそうです。
夫の扶養に入る
退職して収入が一時的になくなる場合、夫の扶養に入ることで健康保険の給付を受けようと考える方もいるかもしれません。しかし、出産手当金は本人が加入している健康保険から支給されるため、退職後すぐに夫の扶養に入るとお金がもらえない可能性もあるそうです。
夫の扶養に入った場合は毎月納める保険料がいくらになるのかを、任意継続した場合や国保に加入した場合と比較してみると、自分にあった保険の選択肢を検討しやすいかもしれません。夫の扶養として健康保険に加入する手続きについては、配偶者の勤務先を通して相談してみましょう。
国保に加入する
退職後に国保へ加入したい場合は、住んでいる自治体の国民健康保険の係に相談してみましょう。国保の加入の際に、以前加入していた健康保険の資格喪失証明などが必要な場合は、近くにある年金事務所で発行ができるとのことなので日本年金機構のホームページとあわせて確認してみてはいかがでしょうか。
また、出産手当金は加入している健康保険組合に申請するため、退職後に国保への加入をした場合はもらえない可能性もあるそうです。しかし、出産に関して支給される出産育児一時金については、夫の扶養や国保に加入している方も申請できるようです。
退職後の出産手当金の支給条件を確認しよう
出産手当金は退職後も支給されるようですが、勤務先での健康保険の加入期間が一年未満であるなどの条件によってはもらえない可能性もあるようです。出産で退職する前に、健康保険を任意継続するか、夫の扶養になるか国保に加入するかについて考えておくことも大切になるかもしれません。
手続きを行う際には、いつからいくらもらえるかの確認だけでなく、申請書の書き方や提出期限などを正しく把握して、漏れのないようにできるとよいですね。
※記事内で使用している参照内容は、2018年10月11日時点で作成した記事になります。