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【小児科医監修】予防接種のはしか(麻しん)・風しん(MRワクチン)で防げる病気と副反応について
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子どもに予防接種をするときに「接種した後にどんな副反応が出るか心配」「この予防接種、本当に必要?」と考えるママもいるのではないでしょうか。そこで医師の監修のもとはしか(麻しん)、風しん予防となるMRワクチンとは何か、MRワクチンで予防できる病気、予防接種は自費かどうか。追加接種の必要性、接種回数とタイミング、接種方法、接種を忘れたときの対応法、どんな副反応が出やすいかについて解説します。
MRワクチンで予防できる病気
MRワクチンは、はしか(麻しん)や風しんを予防するワクチンですが、なぜMRというのでしょうか。その理由と、はしか(麻しん)、風しんについての基礎知識を解説します。
ワクチンで予防できる病気とその原因
MRワクチンは、はしか(麻しん)と風しんのワクチンを混合したワクチンであり、単独のワクチンと同様の効果が期待できるワクチンです。MRワクチンのMRは、英単語で麻しんを表す「Measles」と、風しんを表す「Rubella」、それぞれの頭文字から名づけられています。
はしか(麻しん)は「麻しんウイルス」、風しんは「風しんウイルス」が原因の病気です。
感染経路
はしか(麻しん)は、咳やくしゃみなどで感染する飛沫感染、手や口に触れることで感染する接触感染、空気感染などで感染します。空気感染するため短時間のうちに人から人へと感染する、感染力が高いウィルス感染症です。
風しんは飛沫感染のため、本人が気づかないうちに他の人に感染してしまうことが多いようです。妊娠中に感染した場合は、胎盤を通じて赤ちゃんに感染する可能性があるといわれています。感染力は、はしか(麻しん)と比べて弱いと考えられています。
潜伏期間、症状
はしか(麻しん)の潜伏期間は1週間前後の場合が多く、発症すると風邪に似た症状が現れます。頬の内側の粘膜にはしか(麻しん)特有の白いボツボツができたり、全身に赤い発疹が現れ、やがて発疹が網目状につながることがあるようです。
合併症として、肺炎、中耳炎、脳炎などを引き起こす可能性があります。
風しんの潜伏期間は2~3週間の場合が多く、発症すると発熱が数日間続くことがあります。首や耳の後ろのリンパ節が腫れたり、顔や首などに赤色の発疹が見られることがありますが、発疹がはしか(麻しん)のように網目状につながることはないようです。
合併症としては、血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)や脳炎、関節炎を引き起こすことがあります。妊娠中のママが風しんに感染すると、おなかの赤ちゃんが白内障、難聴、心臓病などの先天性の病気を持って生まれてくる可能性が高くなるので注意が必要です。
はしか(麻しん)、風しんにかかったときは、すぐに病院を受診しましょう。但し、はしか(麻しん)については人への感染の可能性があるので、発疹に伴う熱が下がった後3日を経過するまでは外出を控える必要があります。
MRワクチンは自費?接種にかかる費用
接種にかかる費用は定期予防接種のため、決められた接種時期(1回目の接種時期は1歳以上2歳未満、2回目は小学校就学前の1年間)に受ける場合は無料(一部自費の場合あり)となります。
はしか(麻しん)、風しんどちらかの病気にかかったことがある場合でも、MRワクチンを受けることができます。
接種を忘れた、病気で受けられなかった場合は
接種時期を過ぎると任意接種になるため、自費となります。
万が一接種を受け忘れた場合、追加接種を受け忘れた場合、病気で受けられなかった場合も受けることができるようです。他の予防接種のタイミングもあるので、いつ頃接種したらいいかは、かかりつけ医に相談するとよいでしょう。
接種タイミング
接種時期は1回目は1歳以上2歳未満、2回目の追加接種は小学校就学前の1年間です。1歳になったらなるべく早めに接種を受けることが勧められています。自治体によって異なりますが、妊娠中の赤ちゃんへの感染を防ぐため、妊娠を望む(妊娠前の)女性とその女性の配偶者(同居するパートナー)にもワクチン接種の助成が出る場合もあります。
他のワクチンとの同時接種も可能です。どのワクチンと組み合わせたらいいかはかかりつけ医に相談してみてください。
接種方法と種類
MRワクチンは、症状が出ないように病原性を抑えて精製された生ワクチンです。接種方法は皮下注射です。
現在のMRワクチンは法律に基づいて実施される定期接種となっています。
ワクチンの必要性
MRワクチンを接種することによって、95%以上の人が、麻しんウイルスと風しんウイルスに対する免疫を獲得することができるといわれています。また、2回目の追加ワクチンを受けることで、より免疫を獲得できる(99%以上)といわれています。
ワクチンを接種したからといって100%感染しないというわけではありません。但し、ワクチンを接種しておくと自然感染した時と比べて重症化や合併症のリスクを軽減できるといわれています。
副反応について
病気を治すために使った薬による望まない作用のことを「副作用」といいますが、副作用と似たもので、体内に入ったワクチンが反応して起こる症状のうち、免疫をつけるという目的以外の反応を「副反応」といいます。
接種後に出る可能性のある副反応にはどんなものがあるのでしょうか。専門家曰く
“
MR混合ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)は、副反応で、発熱(37.5℃以上)や発疹が接種9日後頃(接種4~14日後)に現れることがあります。
出典: AskDoctors
これらの反応は1、2日で治まることが多いようです。反応がなかなか治まらなかったり、予防接種を受けて2週間以上経ってからほかの症状が見られるときは、病院を受診するとよいでしょう。
ごくまれに、接種後にリンパ節の腫れや熱性けいれん、もしくはアナフィラキシーショックなど強いアレルギー反応が起こることもあるようです。高熱が続いたり、ひどいせきや嘔吐、呼吸が荒いなどの症状が見られた場合は、速やかにかかりつけ医に連絡をしましょう。
予防接種をした後の過ごし方
接種後30分以内の副反応としてじんましんやアナフィラキシーショックなどのアレルギー反応を起こす可能性があるため、接種後30分は帰宅せず、医療機関内で様子を見ておくとよいでしょう。
接種後当日は、接種部位を清潔に保ち、あまりはげしい運動をしないように気をつけましょう。予防接種当日のお風呂はOKです。但し、接種部分をゴシゴシこするのは避けてください。
MRワクチンは生ワクチンなので、次の別の予防接種を受けるまでに4週(中27日)以上間隔をあける必要があります。
ワクチンはできるだけかかりつけ医で受けると良いでしょう。万一、副反応が起こったときに、連絡や対応がスムーズに行えるでしょう。また、病気などで予防接種のスケジュールを組み直す必要が出た場合も、状況を把握してもらいやすいため、相談しやすというメリットがあります。
予防接種を受けた後に、接種を担当した医師以外の医師や他科の医師に診てもらう場合は、必ずMRワクチンの予防接種を受けたことを伝えるようにしましょう。
MRワクチンの予防接種は接種時期と追加接種の有無の確認を
MRワクチンをはじめ、乳幼児期はたくさんのワクチンを接種する必要があります。かかりつけ医に相談しながら、予防接種スケジュールを立て、「接種漏れ」がないようにしてください。
最近は大人のはしか(麻しん)、風しんが流行傾向にあります。接種していない、抗体値が低いとわかったら、成人でもMRワクチンを接種すると良いでしょう。
監修:金髙太一(おひさまクリニック 院長)
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