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【小児科医監修】四種混合の予防接種(DPT-IPV)で予防できる病気
接種回数と副作用(副反応)について
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赤ちゃんが生後3カ月を迎えると接種ができる四種混合(DPT-IPV)ワクチンとは、具体的にどのような病気を予防できるのでしょうか。四種混合ワクチンで予防できる病気について、ワクチンの値段、接種のタイミング、同時接種や副作用(副反応)について説明します。また、四種混合の追加接種ワクチン、DT2期についても解説します。
四種混合とはどんな病気を予防するワクチン?
四種混合(DPT-IPV)ワクチンは、「ジフテリア」「百日せき」「破傷風」「ポリオ」を予防するワクチンです。2012年11月1日に導入され、定期接種となっています。
「ジフテリア」「百日せき」「破傷風」「ポリオ」それぞれがどのような病気なのか解説します。
ジフテリア
ジフテリアは、ジフテリア菌によって感染する病気で、潜伏期間は、2~5日程度です。ジフテリア患者や、感染しているけれど症状があらわれていない人の咳などから感染します。
ジフテリアに、かかると発熱や嘔吐、咳などの症状に始まり、首が大きく腫れるのが特徴です。扁桃や気道に炎症を起こして膿で膜を作ることで呼吸困難になったり、窒息することもあります。
百日せき
百日せきは、百日咳菌による感染症で、季節に関係なく1年を通じて発生します。感染源は感染者の咳やくしゃみなどに含まれる細菌で飛沫感染し、潜伏期間は、7~10日程度です。
初めは風邪のような症状が現れ、咳の症状がどんどん強くなったあと、短い咳が連続して起こり、痰も出ます。激しい咳は、徐々におさまりますが、連続する咳がおさまったあとに突発性の咳が見られます。咳き込み嘔吐することも多いようです。
破傷風
破傷風は、傷口から破傷風菌が体内に入ることで感染します。破傷風菌は、土や動物のフンの中など、身近なあらゆるところに潜伏していますが、特に、動物のフンで汚染された土壌から感染する可能性があります。
感染しても、ほとんどのケースでは3日~3週間は症状が出ません。破傷風菌に感染すると、口があけにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状が現れます。体のしびれ、痛みが身体全身に広がり、体が弓のように反って、呼吸困難になることもあります。
ポリオ
ポリオウイルスによって、人にのみ感染する病気です。
ポリオの感染経路は、経口感染、接触感染でうつります。ポリオウイルスが口の中入ると、腸の中で菌が増え、その菌が便から排出されます。便からウイルスが排出されるため、5歳以下の子どもが感染しやすい傾向にあります。
ポリオウイルスの潜伏期間は、3~21日程度です。ポリオ感染者のほとんどは症状が出ないことが多いですが、なかには、発熱、頭痛、のどの痛み、嘔吐、倦怠感、下肢の痛み、首が硬直するなどの症状があらわれる場合もあります。現在は予防接種の普及とともに患者数は減っていますが、小児マヒを引き起こす可能性もある病気です。
四種混合ワクチンの接種とは
四種混合ワクチンを受けるタイミングや、接種と接種の間はどのくらい間隔をあけるべきか、同時接種が可能かなどもあわせて解説します。
ワクチンの種類と接種方法
四種混合(DPT-IPV)ワクチンは、不活化ワクチンで、皮下注射で接種します。
値段
四種混合ワクチンは、2012年11月1日より定期接種になりました。
四種混合ワクチンの予防接種は現在、対象年齢などの条件を満たしている赤ちゃんは自己負担なしで受けられます。住んでいる市町村によって条件に違いがあることがあるため、それぞれお住まいの地域の役所や、ホームページなどで詳しい条件を確認するとよいでしょう。
途中で受け忘れや、受け残しがあったりして対象年齢が過ぎてしまった場合は、有料になります。接種する回数と時期を確認し、計画的に予防接種を受けることが大切です。
接種のタイミング
四種混合(DPT-IPV)ワクチンの接種回数は、合計4回で、1回目の接種は、生後3ヶ月から可能です。
一般的には、3~8週間隔で3回接種し、3回目の接種から1年から1年半後(少なくとも6か月は空ける)の間に4回目を接種します。
同時接種は可能?
赤ちゃん期に接種が定められているワクチンの種類が多いため、行政から届く予防接種のお知らせなどでは同時接種が推奨されてることが多いでしょう。早期に必要な免疫をつけて、赤ちゃんや子どもを病気から守るためにも同時接種は有効です。
四種混合ワクチンは、接種時期が重なっているヒブ、小児肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎ワクチンとの同時接種がおすすめです。同時接種の副反応(副作用)が気になるときには、組み合わせについてかかりつけ医に相談するとよいでしょう。
DT2期とは
DT2期ワクチンとは、2種混合ワクチンで、ジフテリアと破傷風を予防するワクチンです。ワクチンの接種により、ジフテリアと破傷風の抗体ができて、病気の予防になり、万が一かかっても症状が軽くすむことが多いため、接種が推奨されています。
DT2期ワクチンは、11歳~13歳の間に1回接種します。
四種混合ワクチンの副作用(副反応)
副作用は、病気を治すために使用した薬によって起こる作用をいいます。一方、副作用と間違えられやすい副反応とは、ワクチンなどによって起こる反応のことで、予防接種について述べるときは副反応が正解です。
四種混合ワクチンの副反応にはどのような症状があるのでしょうか。
主な副反応
四種混合(DPT-IPV)ワクチンを接種した場所が赤く腫れたり、しこりになる副反応がでることがあります。予防接種の回数を重ねるごとに腫れることが多くなるようです。
副反応は数日でおさまることが多いですが、腫れたり、しこり部分が気になるときには、濡れたタオルで冷やして様子をみてもよいでしょう。ほかに、四種混合ワクチンの副反応として咳や発疹、食欲がなくなる、嘔吐などが報告されています。
こんな症状がでたら病院へ
四種混合ワクチンの副反応で、まれに腕全体が腫れることがあります。また、予防接種の当日、または翌日に発熱することがありますが、ほとんどはすぐに下がります。
腕全体の腫れが痛そうだったり熱が2日以上続く場合は、ほかの病気に感染している可能性があるのでかかりつけ医を受診しましょう。
予防接種をした後の過ごし方
予防接種は身体に免疫反応を引き起こします。予防接種後は基本的にはいつも通りの生活で大丈夫ですが、下記のようなことを意識しておくとよいでしょう。
安静にする
予防接種をした直後は、身体を使った遊びや外遊びはなるべく控えるようにしましょう。室内で、絵本を読んだり、パズルやブロック遊びなどにし、安静に過ごす方が安心です。
病院で様子をみる
予防接種後、気になる症状が出たときにすぐに病院でみてもらえるように予防接種を受けた医療機関の近くにいる方がよいかもしれません。予防接種後30分程度は、アナフィラキシーショックなどの症状を起こさないか、病院で待つよう指示される場合もあります。
お風呂について
予防接種後にお風呂に入るのは問題ありませんが、注射を打った箇所をこすったり、もんだり、ゴシゴシ洗うことはやめましょう。
予防接種の時期を把握してしっかり受けよう
四種混合(DPT-IPV)ワクチンは、受ける期間や回数が決まっている定期接種です。同時期に接種しなくてはならない定期接種がたくさんあるため、同時接種やスケジュールについてかかりつけ医に相談するとよいでしょう。
DT2期ワクチンは、ジフテリアと破傷風を予防するワクチンで、四種混合の追加接種として期間をあけて接種します。小学校高学年でDT2期ワクチンを忘れずに接種するようにしましょう。
ジフテリアや百日せき、破傷風、ポリオは、小さな赤ちゃんがかかると重症化する場合もあります。予防接種の副反応(副作用)が気になるママもいるかもしれませんが、予防接種を受けておくと病気の予防になり、万が一病気に感染しても最悪のケースには至らない可能性が高いです。
病気から赤ちゃんや子どもを守るために予防接種をしっかりと受けることが大切です。