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ロタウイルスワクチンが定期接種に。無料化の対象や接種時期について
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医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
毎年、春が近づくと乳幼児を中心に流行するロタウイルス。任意接種を受けるべきか迷うこともあるかもしれません。今回は、ロタウイルスワクチンの定期接種化、流行傾向、主な症状、ワクチンの効果、予防接種後の副反応について詳しく解説します。
今年10月からロタウイルスワクチンが定期接種に
今までは任意接種だったロタウイルスワクチン。医療機関によっては費用が3万円前後かかることもありましたが、今年の10月から無料化になりました。
そもそも、ロタウイルスとはどんな病気なのでしょうか。定期接種の対象とあわせてご紹介します。
乳幼児の急性胃腸炎を引き起こすウイルス
ロタウイルスは、例年3月~5月頃にかけて乳幼児を中心に流行する、急性の胃腸炎です。非常に感染力が強く、ウイルスの数が10~100個程度でも体内に入れば感染するため、ほぼすべての子どもが5歳までには感染するといわれています。
特に初感染の場合、症状が強く出るため、脱水症状で点滴や入院が必要となるケースもあります。脱水症状がさらに強くなると、急性腎炎やショックを引き起こしたり、脳炎・脳症になったりすることもあり、稀ですが死亡例も報告されています。世界的に5歳未満の胃腸炎での入院で最も頻度が高い感染症のひとつです。
小児では一般的に乳幼児以降の感染を多く認めます。(おそらく母体由来の免疫により新生児では不顕性感染が多いです)
感染を繰り返す毎に症状が軽くなっていくと考えられているので、大人が感染した場合は、ほとんど症状が出ないことが多く、乳幼児が感染すると、2~4日の潜伏期間後、発熱、吐き気、頻繁な水のような下痢といった症状を引き起こすので、脱水症状に注意しましょう。
感染力が強く、手洗いなども大切ですが、完全に伝染を抑えることができません。ウイルスなので根本的な治療がないので、ワクチンによる予防が大切です。
厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」によると、ロタウイルスは、出席停止対象となる感染症には該当しませんが、保育所内での感染を防ぐために症状が回復するまでは登園を避けることが望ましいと記しています。
定期接種対象は8月1日以降生まれ
厚生労働省によると、2020年10月からロタウイルスワクチンの定期接種化が始まりました。それに伴い、今後は接種費用の全額または一部を、行政が負担することになります。
ただし、定期接種の対象となるのは、2020年8月1日以降に出生した場合のみという条件があります。それ以前に生まれた子どもに関しては、任意接種のまま費用は自己負担(自治体により一部助成あり)となるので注意しましょう。
生後6週からロタウイルスワクチン、生後2カ月になった当日から、B型肝炎、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンの接種が可能となり、その時期に合わせて、各自治体から予防接種の通知や接種券が手元に届きます。
また、通知が遅れる場合や小児科でのワクチン予約が混み合う場合もあるため、早めに予防接種を受けるかかりつけの小児科医を探しておきましょう。
ロタウイルスワクチンの効果と接種期限
ロタウイルスワクチンにはどのくらいの効果があるのでしょうか。効果や接種期限について、厚生労働省の資料をもとにご紹介します。
ワクチン接種で約70~90%の予防効果
ロタウイルスワクチンは、現在の日本では唯一注射ではない、経口ワクチンとよばれる予防接種。厚生労働省の調査では、ワクチン接種により、ロタウイルス入院患者を約70~90%減らすことができたという結果も出ています。
ヨーロッパやアジアの高所得国で行われた調査では、接種後3歳に達するまで十分なワクチンの重症化予防効果が持続するという結果も報告されています。
ロタウイルスワクチンの種類
ロタウイルスワクチンには、「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類があります。
どちらのワクチンを選んでも効果に大きく変わりはありませんが、「ロタテック」は軽微な胃腸炎症状も予防するとされています。
また、ロタウイルスワクチンは、わずかな量でも効果があるので、ワクチンを飲んだ後に吐いてしまっても飲み直しは不要とされています。
ロタウイルスワクチンの接種は、生後6週(推奨8週)から開始できますが、1回目の接種を生後14週5日までに受けるようにしましょう。初回接種が15週超えると合併症の腸重積の発症リスクが上昇するといわれています。
1回では十分な効果が得られないため、「ロタリックス」は24週までに2回、「ロタテック」は32週までに3回接種する必要があります。過ぎてしまうと接種することはできないため、注意しましょう。
また、ロタリックスを1回だけ飲み、途中からロタテックに変更といったことは推奨されていません。
転居に伴う接種する医療機関の変更の場合、おいてあるものが片方しかなかったなどの「仕方ない理由」での変更は認められることもあります。(各自治体の保健所に確認して下さい)
予防接種後の注意点
ロタウイルスの予防接種を受ける際は、授乳のタイミングを気をつける必要があります。なぜなら、経口タイプのワクチンなので、接種の前後に授乳してしまうと、赤ちゃんがゲップをした際に吐き出す可能性があるからです。
ですから、接種の前後30分の授乳は控えましょう。万が一、吐き出してしまった場合、少量でも飲めていれば問題ありません。再投与には費用がかかりますので注意が必要です。
もうひとつ注意したいのが、接種後の子どもの症状。ロタウイルスの予防接種は、体内にあえてウイルスを入れて腸管内で免疫をつくるため、実際に感染した時と似た症状が出る場合があります。
重症化することはほぼなく、数日で治まることがほとんどですが、心配な場合はかかりつけ医に相談しましょう。
ほかにも、合併症として稀に、腸重積症とよばれる腸の一部が腸管の中に入り込んでしまう症状が出ることも。
接種後1週間以内に多く認められるので、泣く・不機嫌を繰り返す、嘔吐を繰り返す、ぐったりして顔色が悪くなる、血便が出るといった症状があった場合は、血便のついたオムツなどを持参し、すぐに小児科を受診しましょう。
普段の生活習慣でも予防を心がけて
今年10月から定期接種化となったロタウイルスの予防接種は、子どもの出生が2020年8月1日以降に生まれた子どもが対象です。
対象でない場合でも、保護者の希望によって任意接種を受けることができます。
ロタウイルスのワクチンは生後6週をすぎれば接種可能ですが、接種期限や接種回数に決まりがあるため、スケジュールを確認しておきましょう。
ワクチンを打ったとしてもロタウイルスを完全に予防することは困難です。感染を防ぐために、予防接種を受ける以外にも、日頃から排泄・嘔吐物の適切な処理、手洗いを徹底しましょう。
監修:保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)
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保科しほ
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。