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服装や異常があったときの対応について
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上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医
上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。
1カ月健診は、赤ちゃんが生まれて退院後初めての健診となるので、どのようなことをするのか不安に思うママもいるでしょう。1カ月健診の目的と内容、チェックするポイントについて解説します。また、健診時の服装や異常が見られたときの対応法についてもご紹介します。
1カ月健診の目的
赤ちゃんが産まれて約1カ月頃に行われる健康診断が1カ月健診です。
生後1カ月たった赤ちゃんの成長や様子をみたり、産後のママの体調の経過を見るために行われ、1カ月健診は、赤ちゃんとママ両方の健康診断をします。
出産を終えて、退院するときに1カ月健診の日程を決めることがほとんどです。ママと赤ちゃんがいっしょに健診する場合と、赤ちゃんの健診日とママの健診日を分けて行うことがあり、病院によって違いがあります。
1カ月健診の内容
1カ月健診では以下のようなことを調べます。
身長・体重測定
1カ月で赤ちゃんの身長と体重がどのくらい成長したかを測定します。
体重の増加目安は600gから1㎏程度で、身長は8から9㎝程度伸びるのが一般的です。
体重の増加は、赤ちゃんが母乳やミルクで十分に栄養を摂れているかの基準にもなり、1カ月健診で特に重要とされています。
身長や体重の成長の目安は、男の子と女の子で多少の違いがあります。赤ちゃんの成長は個人差が大きいので、上記の範囲内でなくても心配しすぎないようにしましょう。
身体のチェック
1カ月健診では、身体全体のチェックもします。
聴診器を使って、呼吸器の異常や心雑音がないか聴診したり、脳の成長をみるために頭囲、筋肉や脂肪がついているかをみるために胸囲を測定します。
ほかにも、股関節の開き具合や膝の高さの確認をして、股関節脱臼などの異常がないかや、お腹の触診をして、肝臓や脾臓(ひぞう)にしこりや腫れがないかをみます。
全身の皮膚を視診、触診し、湿疹やあざ、けがなどをしていないか皮膚のチェックも行います。
追視ができたり、光を感じられているか目の診察と性器の確認も行います。
男の子の場合は、精巣を包む陰嚢(いんのう)をチェックして、陰嚢のなかに精巣が入っていない状態の「停留精巣」や陰嚢の周りに水が溜まり、陰嚢が腫れて見える「陰嚢水腫」がないかをみます。女の子の場合は、外陰部にかぶれがないかを確認するなど身体全身をチェックします。
反射の確認
赤ちゃんには、生まれつき持っている原始反射があります。原始反射は中枢神経がきちんと機能しているかの判断にもなります。
原始反射には以下の4つがあります。
- 動きや音に反応して手足を動かす「モロー反射」
- 口元を触ると、口をパクパクして吸いつくような動作をする「吸てつ反射」
- 足の指や手のひらを刺激したときに指をぎゅっと曲げて握る「把握反射」
- 赤ちゃんの身体を支えて足を床につけると歩いているように足を交互に出す動きをする「原始歩行」
この4つの反射が正常にみられるかを確認します。
ビタミンK2シロップを飲ませる
新生児にとってビタミンK2は欠かせない栄養素です。新生児にビタミンK2が不足すると、血液が外に出たときに血液を固まらせる因子が減少し、出血しやすい状態になったり、消化管の出血で血を吐いたり、血便がでる新生児メレナや突発性乳児ビタミンK欠乏症出血症になる可能性があります。
これらの病気を防ぐために赤ちゃんにビタミンK2シロップを飲ませます。
問診
上記の検査に加えて、ミルクの回数やミルクの量、ウンチの色や生活リズムなどを聞かれることが多いです。
気になることがあるときには小さなことでも医師や看護師さんに聞いてみるとよいでしょう。
1カ月健診のチェック項目
1カ月健診のときに赤ちゃんのどのようなところをポイントにみているのでしょうか。
首のしこり
首の周りを触診し、しこりやリンパ節が腫れていないかを確認します。斜頸がある場合、頸部にしこりがあることがあります。
大泉門
頭のてっぺんにある大泉門は赤ちゃんのときには開いた状態で、成長とともに閉じていきます。
大泉門の膨らみ具合をみて異常がないか調べ、開き具合で病気が分かることもあります。
へそ
1カ月健診では、へその緒がとれたあとの乾燥具合やへその出っ張りがないかをチェックします。
へその緒のあとが、ジュクジュクしていたり出血があるときには、処置をして家でのケア方法を伝えられます。へその出っ張りがあった場合、臍ヘルニアの場合もあるので、よく診察してもらいましょう。
首の上がり具合
赤ちゃんをうつ伏せにして頭がどのくらい上がるかも確認します。
両手をもって身体を起したり、抱っこをしたときに身体の力が適度に抜けているか筋肉の緊張具合もみます。
健診時の服装の注意点
健診時は洋服を脱ぐので、赤ちゃんが脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。
肌着にカバーオールなど家にいるときと同じ服装だと慣れていて脱ぎ着しやすくてよいでしょう。おむつやガーゼなども持参しましょう。
春や秋には長袖の肌着、夏場は半袖の肌着、冬はベストやおくるみをプラスするなど季節に合わせて、調整してください。
診察直前に授乳をすると、お腹の診察で吐いてしまうこともあるので、直前の授乳は避けてください。ただ、診察後などで授乳する場合もあるので、授乳ケープやミルクなどの準備もしていきましょう。
異常があったときの対応
1カ月健診で異常があると診断されるととても心配になりますよね。
しかし1カ月健診のときの異常は、赤ちゃんの成長とともに自然に治ったり、症状が自然消滅することもあるので、経過をみたり、定期検診で様子をみることになることも少なくありません。
気になることは医師に聞き、医師の判断に従うようにしましょう。
赤ちゃんとママの健康状態を把握できる1カ月健診は必ず受けよう
1カ月健診は、さまざまな検査項目がありますが、どれも赤ちゃんの成長と健康状態をみるために重要な検査です。赤ちゃんが普段着慣れている脱ぎ着しやすい服装で行くことをおすすめします。
1カ月健診で異常が見られてもすぐに病気と診断されるわけではなく、自然治癒することも多く、定期検診で様子をみていく場合もあります。
心配なことや気になることがあれば医師に相談することもできる、1カ月健診は必ず受けるようにしましょう。
赤ちゃんが生まれて初めての健診は、どのようなことをするのか不安になるママも多いかもしれませんが、心配しすぎずに病院の指示に従って行いましょう。
監修:千葉智子(上高田ちば整形外科・小児科)
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千葉智子
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。