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【小児科医監修】日本脳炎の予防接種。接種時期や回数、副反応について
受け忘れてしまった時の対処法も解説
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日本脳炎は定期接種の予防接種です。日本脳炎の感染経路や潜伏期間、症状をご紹介します。日本脳炎ワクチンは1期と2期で間隔があいてしまうため、受け忘れがないようにスケジュールを把握することが重要です。予防接種のタイミングや発熱などの対処法、副反応についても解説します。
日本脳炎とは
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染した「コガタアカイエカ」という蚊に刺されてうつる感染症です。日本脳炎の感染経路や潜伏期間、症状について解説します。
感染経路
日本脳炎は、人から人へ感染することはなく蚊を介します。ウイルスに感染した豚などの動物の血液を蚊が吸い、その蚊が人を刺したときに感染します。
そのため、養豚場など豚が身近にいるところで感染のリスクが高くなるといわれています。
潜伏期間
日本脳炎の潜伏期間は、6~16日間程度です。
症状
日本脳炎の主な症状は、
・発熱
・頭痛
・嘔吐
ですが、感染者が小児の場合、腹痛や下痢を伴うことがあります。
日本脳炎の症状は重症化すると、意識障害やけいれん、めまいなどが起こる場合もあり、知的障がいや運動障がいなどの後遺症が残ることもあります。
日本脳炎は小児期の予防接種を漏れなく受け的いれば、大人になっても感染を予防できる病気です。
ワクチンの必要性
日本脳炎は、ウイルスに感染しても症状があらわれないことがほとんどです。日本脳炎を発症する割合は100~1000人に1人程度です。そのため我が子の日本脳炎の予防接種を受けない選択をする保護者もいるようです。
しかし日本脳炎を発症すると、深刻な症状を引き起こすことも考えられます。ウィルスに対する薬もありませんので、特別な治療もできません。
ワクチンを打っておくと、大人になっても有効な免疫ができ、また日本脳炎に感染した場合でも重症化を防げるため、ワクチンの接種は有効と考えられています。
日本脳炎ワクチンの接種について
日本脳炎は、感染力が強く、予防の必要性が高いため一定の年齢になったら予防接種を受けるように決められた定期接種です。
日本脳炎ワクチンを受けるタイミングや、同時接種ができるかなどをご紹介します。
料金
日本脳炎の予防接種は、生後6か月以上の子どもは自己負担なしで接種できます。後述のように詳しい条件については、各自治体によって違いがあるので、それぞれお住まいの地域の役所のホームページなどで確認しましょう。
また、日本脳炎は平成17~21年に接種の勧奨から外れたことがあり、その対応として、平成7~18年度に生まれた方を中心に無料で追加接種を受けられる可能性があります。詳細は各自治体もしくは小児科などでご確認ください。
体調不良やほかの理由があって、期間中に予防接種を受けてない子どもに対して、日本脳炎の予防接種の費用の一部が助成されることもあります。地域によって金額にばらつきがあるため、対処の詳細については各自治体に確認しましょう。
接種のタイミング
日本脳炎の予防接種は、生後6ヶ月から90ヶ月未満の1期に3回、9歳以上13歳未満の2期に1回接種できます。ただし、助成を受けられる定期接種の問診表が自治体から届けられるのは、対象となる子どもが3歳を迎えるころなので、推奨接種年齢は3歳以降ということになります。
接種回数は合計4回で、標準的には3歳で2回接種します。初回から2回目は6~28日の間隔をあけます。2回目の接種から1年程度の間隔をあけて4歳で1回接種します。さらに、間があきますが、2期として9歳から12歳で4回目を接種するのが一般的です。
1期から2期まで間隔があいてしまうため、本来の2期の接種期間に受け忘れてしまったときには、受け忘れに気づいた時点で接種をしましょう。年齢によっては助成が受けられない可能性もあります。
ワクチンの種類、接種方法
日本脳炎は、不活化ワクチンを使用し、皮下注射で接種します。
同時接種は可能?
予防接種の規定に従った期間の範囲内に、赤ちゃんの調子のよいときを見計らって何度も病院に行くのは大変ですよね。種類の異なるワクチンを同時に接種するのはよいのでしょうか。
接種が定められているワクチンは種類が多いため、同時接種は可能です。
同時接種により副反応が増えたり、効果が弱まることは無いと考えられています。同時とはだいたい同時刻に別々の場所に注射をすることで、混ぜて打つということではありません。
副反応が気になる場合には、どの組み合わせで同時接種をするのがよいか、予防接種前にかかりつけ医を受診しあらかじめ相談しておくとよいでしょう。
予防接種の副反応
副反応とは
薬を飲んだときに、薬の効果以外の症状が出る場合がありますよね。これを、薬の副作用といいます。ワクチンを接種したあとにも、熱が出たり注射をした部位がはれたりするなどの反応が出ることがあり、副反応といいます。
日本脳炎ワクチンの副反応
日本脳炎ワクチンの副反応は主に、発熱がみられるようです。ほかには、咳、鼻水、注射を打った場所が赤くはれるなどの事例があり、これらの副反応は接種後3日までにみられることが多いようです。
なかには、関節痛の症状が出る子もいるようです。ごくまれに脳炎のような症状がでることもあります。予防接種から数日以内に、赤ちゃんにいつもと違う様子がみられるときは、安静にして早目に受診をして対処しましょう。
こんな副反応がでたら病院へ
予防接種で以下のような症状があらわれたら、直ちに病院での対処が必要です。
・じんましん
・呼吸困難
・手足の麻痺
・けいれん
・意識の混濁
・運動障害
こういった症状は、合併症を引き起こして重症化する可能性があるため緊急を要します。すぐに病院に行きましょう。
予防接種後の過ごし方
予防接種は身体に抗体をつけるため、菌を体内に取り入れます。予防接種後は基本的にはいつも通りの生活で大丈夫ですが、下記のようなことを意識しておくとよいでしょう。
病院で様子をみる
予防接種後の副反応が気になるママやパパもいるでしょう。
急速に全身に症状が出るアナフィラキシーショックを起こさないか様子をみるために、30分程度は病院で待つように指示される場合もあります。
また、普段と変わった症状が出たときにすぐに病院でみてもらえるように遠出はせず、予防接種を受けた場所の近くにいるようにしましょう。
安静にする
予防接種のあとは、激しい運動は避けるようにしましょう。外遊びや身体を使った遊びはなるべく控えて、絵本を読んだり、パズルやブロックなどの室内遊びで子どもの様子を見ながら過ごしましょう。
お風呂について
予防接種後にお風呂に入ってよいのか迷うことも多いようですが、予防接種した日にお風呂に入るのは大丈夫です。ただし注射を打った箇所をこすったり、もんだり、ゴシゴシ洗うことは控えましょう。
予防接種で十分な免疫をつけよう
日本脳炎は、予防接種を受ける期間や回数が決まっている定期接種です。
予防接種を受けないと日本脳炎にかかったときに重症化し、意識障害を引き起こしたり、障がいが残ることもあります。赤ちゃんのうちから予防接種を受けておけば、将来大人になったときまで、日本脳炎にかかる可能性を減らせたり、日本脳炎に感染しても重症化を予防できます。
日本脳炎は、1期の接種から、2期に接種するまで間隔があいてしまいますが、子どもの健康のためにも予防接種の回数を守り、スケジュールをしっかり立てて受け忘れのないようにしましょう。予防接種で十分な免疫をつけておくことが大切です。
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※記事内で使用している参照内容は、2018年1月18日時点で作成した記事になります。