【小児科医監修】冬に流行りだす子どもの病気の種類

【小児科医監修】冬に流行りだす子どもの病気の種類

登園停止期間やホームケア

2018.12.04

Profile

眞々田容子

眞々田容子

クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

冬はさまざまな病気が流行りだす季節です。また冬に流行る子どもの病気の多くは保育園や幼稚園の登園停止が定められています。そこで冬に子どもがかかる病気を一覧化してご紹介。冬に流行する病気の予防策やホームケアについても小児科医クローバーこどもクリニック院長、眞々田先生の監修をもとに解説します。

冬にかかりやすい子どもの病気

冬は寒さで体が冷え、免疫力が落ちやすくなります。また、空気が乾燥し、鼻やのどの粘膜も乾燥しやすくなります。粘膜が乾燥していると、ウイルスへの抵抗力も低下します。

室内で過ごすことが増える冬の時期は、ウイルス感染も広がりやすく、病気にかかりやすい環境です。また冬に流行る病気は、保育園や幼稚園の登園停止が定められているものも少なくありません。

冬に流行りだす、注意が必要な子どもの病気について解説します。

だんだん咳が激しくなっていく「マイコプラズマ肺炎」

発熱や頭痛などの症状が3~4日続いたあとに、乾いた咳が出るのが特徴です。咳はだんだんひどくなると、痰が絡むようになり、血痰が出る場合もあります。熱が続いたり、下がってとしても3~4週間程度咳が続きます。


症状

・発熱
・全身倦怠感
・頭痛
・咳


潜伏期間

2~3週間程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、「発熱や激しい咳が治まっていること」となっています。

【小児科医監修】マイコプラズマ肺炎の治療法。安静にするなど看護やホームケア

【小児科医監修】マイコプラズマ肺炎の治療法。安静にするなど看護やホームケア

乳幼児がかかりやすい呼吸器の病気「RSウイルス」

基本的に2歳までの乳幼児にかかることが多い病気です。38~39℃程度の発熱や鼻水、咳の症状が数日続いたあとに喘息のような呼吸器の症状が出ます。

症状は約7~12日くらいで落ち着きますが、乳幼児は肺炎などの合併症にかかる可能性もあるため注意が必要です。


症状

・鼻水
・咳
・発熱


潜伏期間

4~5日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、「呼吸器症状が消失し、全身状態が良くなるまで」となっています。

【小児科医監修】RSウイルス感染症の治療とは?検査や薬、予防法などについて解説

【小児科医監修】RSウイルス感染症の治療とは?検査や薬、予防法などについて解説

のどの痛みとイチゴ舌が特徴の「溶連菌感染症」

溶連菌感染症は、手足や身体に小さな赤い発疹が出ます。舌がイチゴのようにブツブツになるのが特徴です。溶連菌感染症は、風邪と似たような症状が表れますが、咳や鼻水などの症状が出ないところが風邪とは違います。


症状

・38~39℃程度の急な発熱
・のどの痛み
・発疹
・舌に赤いブツブツ(イチゴ舌)


潜伏期間

2~5日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、「抗菌薬内服後24~48時間経過していること」となっています。

【小児科医監修】溶連菌感染症の原因と症状、治療法や登園基準

【小児科医監修】溶連菌感染症の検査や感染症状、対応など知っておくべき5つのポイント

高熱で全身症状が表れる「インフルエンザ」

38℃以上の高熱を伴い、関節痛や筋肉痛、倦怠感などの全身症状が急速に強く表れるのが特徴です。


インフルエンザウイルスは感染力が強いので、保育園や幼稚園で集団感染することもあり、出席停止が決められている病気です。感染したときには、登園停止期間に注意が必要です。
インフルエンザの治療には、抗インフルエンザウイルス薬が有効的です。


症状

・38℃以上の発熱
・頭痛
・関節痛、筋肉痛
・悪寒
・のどの痛み


潜伏期間

1~3日程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで(幼児にあっては、3日を経過するまで)」となっています。

【小児科医監修】A、B、C型と複数の種類があるインフルエンザの予防法

【小児科医監修】インフルエンザの治療方法や薬。ホームケアや注意しておきたいこととは

こちらの記事も読まれています

耳下から顎が腫れて痛みを伴う「おたふくかぜ」

耳下や頬が腫れることが特徴のおたふくかぜ。一般的に片側から腫れてくることが多く、押したり、食べ物を噛んだりすると痛みを伴います。腫れは3~4日程度続き、すべての症状が1~2週間で落ち着きます。


症状

・耳の下から頬、あごの腫れ
・発熱(ない場合もある)


潜伏期間

2~3週間程度


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、「耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹が発現してから5日を経過するまで、かつ全身状態が良好になるまで」となっています。

おたふく風邪の前兆と症状は?登園許可の目安とホームケア方法

【小児科医監修】保育園や幼稚園でおたふく風邪が流行る季節。注意点やホームケア、予防法

水疱が全身にできる「水疱瘡」

頭や口の中など、全身にかゆみを伴うこともある水疱ができる水疱瘡。発疹のなかにはウイルスが入っていて、つぶれると感染が拡大するので要注意です。発疹は、だんだんと乾燥してきてかさぶたになり、かさぶたになるまで約1週間ほどかかります。


症状

・水疱
・発熱


潜伏期間

10~21日程度(2週間)


登園停止期間

保育所における感染症対策ガイドラインによると、「すべての発しんが痂皮化してから」となっています。

【小児科医監修】水疱瘡で保育園を休む期間は何日?登園許可や治療法、ホームケアなど

【小児科医監修】水疱瘡で保育園を休む期間は何日?登園許可や治療法、ホームケアなど

感染経路

それぞれの病気は、どのようなことが原因で感染するのでしょうか。


飛沫感染

咳やくしゃみに含まれるウイルスが飛び散るとうつる「飛沫感染」。外出時にはマスクを着用し、人ごみはなるべく避けるようにしましょう。


接触感染

ウイルスに感染した人が触ったドアノブや手すりなどに触れた手で目をこすったり手を舐めたりする「接触感染」でもうつります。子ども同士、おもちゃの貸し借りをして遊ぶときにも注意が必要です。


糞口感染

病気の症状が治まっても2~4週間程度は便からウイルスが排出されています。赤ちゃんのオムツ替えのときは、便を触ってウイルス感染する「糞口感染」に注意しましょう。

冬の病気の予防法

うがいをする女の子
© ucchie79 – Fotolia

子どもが病気にかからないために日常できる予防法をご紹介します。


手洗いうがい

外出から帰ってきたときや食事の前、トイレのあとは石けんを使って手洗いうがいをしてウイルスの侵入を防ぎましょう。


おもちゃの洗浄、消毒

おもちゃやドアノブや手すりなどにウイルスがついているところから感染する場合があります。おもちゃを洗浄したり、手がよく触れる場所はこまめに洗浄・除菌をすることが大切です。


湿度の保持

空気が乾燥すると、免疫力が下がって病気にかかりやすくなります。乾燥を防ぐために、加湿器などで部屋の湿度を保つことも重要です。


規則正しい生活

栄養バランスのとれた食事や、十分な睡眠で免疫力をつけることも大事です。規則正しい生活で、病気に負けない体作りを心がけましょう。


予防接種

おたふくかぜ、インフルエンザ、水疱瘡などは予防接種が受けられます。予防接種があるものは受けておくと、病気にかかりにくくなり、万が一かかったときにも症状が重症化せず済む場合が多いです。

ホームケア

予防をしていても、流行りの病気にかかってしまったときにはどのようなホームケアが必要でしょうか。


水分

高熱や痛みのある発疹が舌にできることから、食事や水分を十分にとれないこともあります。こまめな水分補給で脱水症状を防ぐことが大切です。
乳児用のイオン水や経口補水液は吸収が早いのでおすすめです。


タオルや食器の共有を避ける

ウイルスに感染している人とタオルを共有することで病気に感染する場合があるので、洗面所のタオルは家族間でもあっても共有せず分けるようにしましょう。

食事のときの食器も大皿から取り分けるのではなく、1人ずつのお皿に食事を用意するなどの配慮が必要です。


オムツ交換

便から排出されるウイルスから感染する可能性があります。赤ちゃんのおむつ替えをする際や、子どものうんちを拭いたりするときにはじかに触れないように気をつけましょう。


加湿

部屋が乾燥した状態だとウイルスが繁殖しやすく病気にかかりやすくなります。暖房をつけすぎず、加湿器や適度な換気で部屋の乾燥を防ぎましょう。


医療機関を受診

冬の感染症は受診して処方薬を服用しないと治らない病気がほとんどです。空気も乾燥しているので更に感染力も強まります。

病気によっては保育園や幼稚園の出席停止が定められているものもありますので必ず受診をするようにしましょう。


お世話する人も予防を

子どもの病気を看病しているママやパパにうつることもあります。うつってしまうと子どもに十分な看病をしてあげられなくなります。病気に感染している子どものお世話をするときには、マスクを着用するなど十分に配慮しましょう。

流行りの病気を知り、正しい対策をしよう

雪で犬と遊ぶ幼児の男の子
 IVASHstudio/Shutterstock.com

冬は空気が乾燥しやすく、寒さから免疫力が下がって病気にかかりやすくなる時期です。保育園や幼稚園など集団生活では、誰か1人が感染すると一気に感染が広がるので、より一層の配慮が必要になります。

冬に流行る子どもの病気を知り、手洗いやうがい、ドアノブ、手すりの除菌、おもちゃの管理などを含めて、規則正しい生活で免疫をつけるなど病気にかからないように対策をすることが大事です。子どもが冬の流行りの病気にかかったら正しいホームケアをしましょう。

出典:2012年改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン

監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)

Profile

眞々田容子

眞々田容子

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

※記事内で使用している参照内容は、2018年11月30日時点で作成した記事になります。

トラブルカテゴリの記事

天才はどう育ったのか?幼少期〜現在までの育ちを解明

天才の育て方

この連載を見る
メディアにも多数出演する現役東大生や人工知能の若手プロフェッショナル、アプリ開発やゲームクリエイターなど多方面で活躍する若手や両親へ天才のルーツや親子のコミュニケーションについてインタビュー。子どもの成長を伸ばすヒントや子育ての合間に楽しめるコンテンツです。ぜひご覧ください。
てぃ先生が見守る!卒園生たちの”チャレンジダンスプロジェクト”

入園当初にコロナ禍となりリアルイベントが少なかった園児たちが、卒園を迎えるシーズンとなりました。園児たちのかけがえのない思い出を作りたいという想いから、”チャレンジダンスプロジェクト”が始動。子どもたちが「卒園ダンス」に取り組む様子から、てぃ先生に子どもの成長を促進するコミュニケーションを教えていただきます。コナミスポーツクラブの全面協力のもと、ダンス未経験の園児たちが一生懸命取り組み、イベント当日を目指す様子を密着取材しました。