「自分の家族が好きじゃなくても」結婚や家族をあきらめなかった理由【漫画家おぐらなおみと子育て中のママが語る】

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「家族サービス」にどんな印象をお持ちでしょうか? 時代遅れなイメージも強い言葉ですが、一方で数か月前、X(旧Twitter)でトレンド入りしていたときには好意的な意味合いで取り上げられていたことも。そこで、KIDSNAでは「家族サービス」にまつわるアンケートを実施。さらには、漫画家おぐらなおみさんと子育て中のKIDSNAアンバサダー2名をお呼びして「家族サービス」にまつわる座談会を開催しました。全3回中最終回となる今回は、「理想の家族のあり方」について。

「この人がいなきゃ生きていけない」は理想じゃない

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――昭和や平成の時代には普通だった「家族サービス」という言葉が廃れたように、社会もどんどん変化しています。結婚せずに生きることを選ぶ人も珍しくない中で、みなさんの考える「理想の家族のあり方」について伺いたいです。

おぐら 家族全員が自立することが最終目標だと思います。私は子どもがもう大きいので、俯瞰的な視点で話してしまうのですが、ずっと一緒にいればいいってものでもないのかなって。

子どもが小さい時はみんなでリビングにいたけど、子どもが大きくなったら自分の部屋をそれぞれ持って、時々リビングに集まってみんなでご飯を食べる、くらいの距離感が理想かなと思います。

 

――近すぎず遠すぎず、みたいな関係でしょうか。

おぐら そうですね。「この人がいないと生きていけない」みたいな状態よりは、どんどん外に出て楽しいことをして、たまに会って家族仲良く、というのが一番の目標かなって。

――子どもが自立すると寂しくなりそうですが、それからの自分の時間を充実させていくことですよね。

寄田 私は、子どもたちがいずれ独立してたとえば家族ができた時「実家に帰るのやだな」と思われる家にはしたくないって思います。実家に一応帰るけどちょっとしか滞在したくないとか、居心地が悪い、みたいな家族にはしたくないですね。

山本 あぁ、わかります。将来息子が結婚したとして、相手の子がうちに来た時に疎外感を持たないような、フレンドリーな関係性を築けたらいいなって。

 

――子どもが自立してからも、よい関係を築いていけたら幸せですよね。M(編集部員)さんはいかがですか。

M(編集部員) 僕はとにかく、娘が18歳になるまでは解散せずにやっていくことが理想と言えば理想です。それから先のことは、近づいてみてから考えればいいかなと。

――離婚せずに家族を続ける、というそもそもの共通認識って大事ですよね。それにしても、みなさんのお話を聞いていると「家族だからこうすべき」みたいな縛りがあまり強くないように感じます。

家族のイメージは自分の意思で変えられる

――それぞれ前向きに「家族」というものに向き合っていらっしゃるみなさんに、もともと「家族」に抱いていたイメージを聞いてこのシリーズを締めくくりたいと思います。

おぐら 私はあまりよくなかったんです。実家は居心地が悪くて、若いうちに家を出ました。私自身あんまりいい子どもじゃなかったから、今では親も気の毒だったなって……。

夫と子どもと一緒に作ってきた家族は、それに比べるといいなって思ってます。そのことが自分にとって自信にもなりましたね。

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寄田 私ももともとはそんなにいいものだと思っていなかったですね。もう他界しているのですが、私は父があまり好きじゃなかったんです。小さい頃はそんなことなかったけど、大人になるにつれて嫌だなって思いながら結婚して家を出ました。

 

私は一度離婚していて、「もう男なんて好きにならない」と思ったこともあったけど(笑)、このままずっと仕事だけで生きるのは私には合わないと思ったし、子育ては楽しいから誰かと共有したいので再婚することにしました。

 
※写真はイメージ(iStock.com/maroke)

――子育ての楽しみを誰かと共有したいって、素敵な発想ですね。山本さんはいかがでしょう。

山本 私の父は15年くらいずっと単身赴任で海外にいたので、仕事もものすごく忙しかったみたいなんですが、それでも一緒にいる時は全力で遊んでくれるし、旅行とかスキーにも連れて行ってくれて、自分の中にはいい思い出がたくさんあって。

だから、家族っていいな、という思いがありますね。父が私にしてくれたように、それぞれ忙しい中でもコミュニケーションを取って、良い関係性を築いていきたいと思っています。

 

――自分がしてもらったように、子どもたちや夫ともいい関係を作る努力をしたい、ということですね。M(編集部員)さんはどうですか。

M(編集部員) 僕の両親は事実婚で、そのことを友だちに少しいじられたりすることがありました。だけど僕にとっては自分の家族のあり方が普通で、あれでいいんだって気持ちでしたね。

だからこそ、今妻と子どもと一緒に生活する中で「家族なんだから」ってことを言いそうになるけど、やっぱり家族のあり方って人それぞれ違う。お互いが持つ「家族」のイメージを妻とすり合わせるのは大変だけど重要な作業だと思っています。

――もともとの「家族」のイメージがいいものでも、そうではなくても、自分の意思で理想の家族の形を模索していくことができる。希望の持てるお話です。「家族サービス」という言葉から派生して、いろんなお話を伺うことができました。みなさんどうもありがとうございました!

 

Profile

おぐらなおみ

おぐらなおみ

漫画家&イラストレーター。こどもは長女長男のふたり。趣味は散歩というか道草。知らない路地をガンガン歩いてよく迷子になってます。東京在住。著書に『働きママン(シリーズ続刊あり)』など多数。
画像

<取材・構成>KIDSNA STYLE編集部

<漫画>おぐらなおみ

2023.09.27

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