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子どもの「好き」を伸ばす、Twitterで話題のなみそ流全肯定育児とは
Twitterで3人のお子さんとの楽しい日常を発信し、大人気のなみそさん。子どもの「好き」を見つけて伸ばしていく、なみそ流全肯定育児の秘訣について伺いました。
前回のなみそさんインタビュー記事
この記事の登場人物
なみそさん
お姉ちゃん(11歳)
KENさん(9歳)
扇風機坊ちゃん(6歳)
子どもの「ちょっとやってみたい」に全力で付き合う
ーー前回のなみそさんのインタビュー記事にはとても大きな反響がありました。その中に「子どもの『好き』の見つけ方が知りたい」「どうしたらこんな素晴らしいマインドで子育てできるんだろう」といった声があり、今回はその辺りを伺っていけたらと思っています。
はい、よろしくお願いします。話したいことはいくらでもあります(笑)。
ーーありがとうございます! 前編のこの記事では、子どもの「好き」の見つけ方を伺っていきます。保護者の方の中には、「うちの子は何をやっても続かない」「何にも興味を示さない」と悩む方がいます。なみそさんのお子さんはそれぞれが好きなことにまい進されていますが、子どもの「好き」を見つけるために心がけていることはありますか?
まずは、子どもが何かしている時の集中力や笑顔に気づくことですね。好きの熱量は目に見えるんです。好きなことに取り組んでいる時の集中力は、普段とは比べ物にならないし、好きなことをしている時の笑顔はきらっきらしてる。
長男のKENは猫の絵ばっかり描いていて、次男は扇風機をいじり始めたらずっとやめない。お姉ちゃんの場合は、私が料理してる時に作り方や道具の使い方を聞いてくる。そういう姿に気づくところから始まるのかなと思います。
ーー普段の生活にヒントがあるわけですね。
KENがこないだ、切り絵がとっても上手な年上の女の子と知り合って、ものすごくくやしがって半泣きだったんです。だけどそれは一生懸命切り絵をやってるからこその涙ですよね。好きだからこそ、負けたくない気持ちが出る。そういう子どもの一喜一憂を見逃さないことは大事かなと思います。
あと、子どもが何かを見て「かわいい」「おもしろそう」「ほしい」と言ったら、それを絶対に聞き逃さないようにしています。
中でも最強の言葉は「ちょっとやってみたい」。
ーー最強の言葉! お子さんから「ちょっとやってみたい」と言われた時、なみそさんはどうしていますか?
その時に抱えている仕事を全部いったん置いておいても、子どものやってみたいことに付き合うようにしてます。
ーー仕事よりも子どもを優先して向き合うと。
そうですね。例えば私が親子丼を作っていて、それを見た娘が「私もそれ作ってみたい」と言うとしますよね。そしたらその時に同時進行で進めようと思っていたあれこれを「ええい!」と全部止めて、作り方を教えることに全振りするんです。
それに今までは、18時にはご飯、19時にはお風呂、20時には寝かさないといけないって決めてそれを守るようにしていたけど、そういう「こうするべき」って考え方よりも、目の前にいる子どもに全力で向き合うほうが大事なんじゃないかって思うようになって。
ーーその心境の変化には、何かきっかけがあったのでしょうか?
はい、それにはもう明確な理由があります。まだ他では話していないことなんですが、後編の記事で詳しく説明します!
ーーわかりました、のちほどじっくりお聞かせください!
途中で飽きてもすべてが無駄になるわけじゃない
ーー保護者の方からは「色んな習いごとをさせてみたけど、どれも続かない」という声も聞かれます。なみそさんは、子どもが何かに興味を持つ最初のきっかけを意図して作ることはありますか?
そういうこともありますね。だけど、そういう場合もあくまで提案という感じで、例えば、英会話に行ったらいいと思う時でも、「英会話行きなさい」じゃなくて、「友だちいっぱいできると思うからよさそうだけど、どう?」って。「お母さんはこう考えるけど、君はどう思う?」って聞いてみる。提案はするけど、決めるのはあくまで子ども。親としての理想はあっても、強制はしないようにしています。
例えばみんなで美味しいいちごを食べたら、KENはいちごが美味しかった思い出をもとに切り絵を作るし、料理が好きな娘は次の週末にいちごパフェを作る。下の息子は赤い羽根の扇風機を持ってきて、「お母さん、いちごを撮るんやったら、この三菱の扇風機の羽使っていいよ。そのほうが映えるやん」って。そういうふうにそれぞれの「好き」にどんどん派生させていってますね。
ーーその姿を見るのも楽しそうです。扇風機坊ちゃんのお話が出ましたが、おうちには大量の扇風機がありますよね。
今は、通常の扇風機と、卓上扇風機にハンディファンも合わせると、100台以上あります。
ーーものすごい数! 子どもの「好き」は時に気まぐれと言いますか、急に興味をなくすこともあると思うのですが、そういった不安はありませんか?
普段はあまり考えないですね。そう聞かれたときだけ「たしかにそういうこともあるよなぁ」って思い出します(笑)。
というのも、もし急に扇風機に興味をなくすようなことがあっても、それまでが全部無駄だったとか、そういうふうには思わないんです。前の取材でもお話ししたけれど、私自身大学でプロダクトデザインを学びましたが、デザイナーにはなりませんでした。だけどその時に学んだことは、今子どもを育てる中で大いに役立っています。
最近娘がデッサンをやってみたいと言うので、鉛筆削り機ではなくカッターで鉛筆を削るところから教えているんですが、まさにこれはずっと私が習っていたことなので、その経験が活きています。だから人生に無駄なことはないし、この道で良かったと思う。それはきっと子どもたちにとっても同じで、もし扇風機坊ちゃんが、扇風機とは関係のない職業に就いても、扇風機の羽やモーターをたくさん知ったこと、身についた色彩の感覚が、その後の人生で何かしら役に立つ日が来ると思います。
もし急に扇風機に飽きて処分する日が来ても、例えば羽だけ残してオブジェみたいに飾るなり、羽を砕いてシーグラスみたいにコンクリに混ぜて玄関の土間に敷き詰めるなりして、最後の最後までネタにする(笑)。こっそり終焉させるんじゃなくて、全部Twitterで昇華させます!
褒める時も叱る時も子どもに伝わる言葉で
ーーお子さんの「好き」を伸ばすために、意識して使っている言葉はありますか?
とりあえず大げさに褒めちぎる! 「それ最高やね!」「そんなん誰も思いつかん!」「素晴らしい!」「色がいい!」みたいに、瞬発的に分かりやすい言葉で伝えるようにしています。
「好き」を伸ばすこと以外にも、なんでも基本的に褒めるところから始めると思うんです。そうじゃないと、子どもはいろんなことを話してくれなくなる。もし何か悪い報告があったとしても、最初に「お母さんに話してくれる気持ちになったんやね」「もう~えらい! 私安心した!」」って返して、話しやすい関係性を作ることは大事なんじゃないかなって。
ーー肯定は安心感につながりますね。一方で、学校や園の友だち、先生や他の子の親など、家の外でのかかわりの中では、時に子どもの「好き」を否定する言葉が投げつけられることもあるかと思います。そういう場合、なみそさんはどう対処していますか?
「好き」を直接否定とまではいかなくても、やっぱり世の中にはいろんな「世間体」とか「普通」がありますよね。「男の子だから青! 女の子だからピンク!」「普通の子どもなら、アンパンマンやトミカやろ!」みたいな縛りは私自身苦手です。
その子が「こっちの方が好き」と自分の意思で選んでるのに、なんで大人の勝手な偏見で矯正するの? って思う。そんなことしたら子どもの個性もなくなるし、子どもの目がキラキラすることを「世間体」や「普通」を重視した大人が歪ませたらダメじゃないかなって。
私が子育てに対して一方的なアドバイスを受けた時は、その場では「そうですね~ 」と笑って会話を変えます。前に「変だね」とからかわれて「僕って変なん?」と半泣きで言った息子の気持ちを考えると、大げさだと思われるかもしれないけど、私は今でも涙が出ますね。「なーんも変じゃねぇ!! キミを育ててるお母さんが大丈夫って言ってるんだから、なーんも心配いらんよ!」と伝えました。
ーー外で嫌な目に遭っても、家で守ってくれる存在がいることは本当に心強いと思います。そんなやさしいなみそさんでも、お子さんを叱ることってありますか?
ありますあります、それはもちろん! 悪口を言うだとか乱暴するだとか、人としてしちゃいけないことをしていたら、めちゃくちゃ説教します。
例えば、意図して誰かに嫌なことを言ったとして、「それだめやろ!」だけじゃ何がだめかわからないから、「そんなこと言ったら傷つくやん。私だったらすごい泣く」って。こういうときは、6歳の末っ子にも分かる言葉で説明してます。
でも、ご飯をこぼす、みたいな不注意で起きてしまうことに対してはあまり怒らないですね。「大人も疲れるときがあると~。子どもも一緒やね~」って。
面倒なことが起きても、それをネタに変える発想の転換が好きなんです。だから牛乳がこぼれても「わっ、猫のかたちになった~!」って楽しんでTwitterのネタにできるから、「むしろこぼしてラッキー、万々歳!」って気持ちになれる。
ーーすばらしくポジティブです! 後編の記事では、なみそさんが全肯定マインドに行きつくに至った経緯などを伺っていきたいです。
はい、後編もよろしくお願いします!
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<取材・執筆>KIDSNA STYLE編集部 <写真提供>なみそ