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【小児精神科医監修】子どものメンタルを強くするには?実践方法や注意点、おすすめの習い事
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小児科医/小児精神科医/医学博士
小児科医/小児精神科医/医学博士
青山学院大学 教育人間科学部教授。小児科医、小児精神科医、医学博士。日本小児精神神経学会常務理事、日本小児科学会学術委員、日本発達障害連盟理事、日本知的障害福祉協会専門員なども務める。著書に『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』『教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題』(ともに光文社新書)などがある。
子どものメンタルを強くするにはどうしたらよいか悩む方もいるのではないでしょうか? 子どもが打たれ弱かったりすぐ泣いたりすることが多いと、将来的に大丈夫か心配になりますよね。今回は、メンタルが強い子と弱い子の違い、メンタルが強いことによるメリットや強くする方法、強くする際の注意点、おすすめの習い事やスポーツ、ママたちの体験談をご紹介します。
メンタルの強さとは?
「メンタルが強い」とは、何か困ったことがあっても心が折れずに、立ち向かえる強い精神力があることをいいます。
一般的に、メンタルは弱いよりは強いほうが良いと言われますが、メンタルの強さは生まれ持った性格や気質、育った環境などによって左右される可能性があります。
例えば、敏感な性質の子どもの場合だと、他の子と比べて繊細でとても傷つきやすいことがあります。
そのような子どもに対して、メンタルを強くさせようとしても無理が生じてしまうため、まずは自分の子どもの特徴をよく理解しましょう。そのうえで、しなやかで折れない心を育ててあげるという点を大切にするとよいかもしれません。
メンタルが強い子、弱い子の特徴
明確に分けにくい部分もありますが、メンタルが強い子どもと弱い子どもの一般的な特徴についてご紹介します。
メンタルが強い子の特徴
メンタルが強いというのはつまり、自分を受け入れて自信が持てるということです。「まずは挑戦してみようというチャレンジ精神にあふれており、多少の困難でも諦めずにやり抜こうとする努力ができます。
また、初対面の相手などでも自然に臆せず話すことができ、交友関係を広く構築することができるでしょう。
メンタルが弱い子の特徴
メンタルが弱いというのは、自分に自信が持てないことです。そうすると、何かに挑戦することを避けたり、少しでも壁にぶつかるとすぐに諦めたりする傾向があります。
また、悲観的なことを考えやすく、傷つくのを恐れて交友関係も広げようとしないことが多いのも特徴です。
子どものメンタルが強いことによるメリット
子どものメンタルが強いとどのようなメリットがあるかご紹介します。
ストレスや緊張に強く、やる気や集中力が続く
強いメンタルがあると、発表会や試合、試験といったプレッシャーを感じるような場面でも、ストレスや緊張に強くなりやすいでしょう。
また、いつもとは違う場所でも集中して自分を見失わず、冷静に判断できるでしょう。目の前の問題にしっかり向き合うことができるため、本来の実力を発揮しやすいと言えます。
コミュニケーションが上手く取れる
メンタルを強くすると、自分と他者との違いを前向きに受け止められるようになり、周りの意見に流されなくなることもあります。
そのため、相手がどのような人でも特にストレスを感じることなく、円滑なコミュニケーションをとりやすくなります。
可能性が広がる
強いメンタルによって、何かを継続する力や失敗しても立ち直る自信があれば、初めてのことや困難なことでも積極的に挑戦していきます。
その結果、色々な友達と仲良くすることができたり、学校の部活や受験、就職活動にどんどんチャレンジすることができたりするので、自分の可能性や人間関係が広がりやすいでしょう。
子どものメンタルを強くする方法
子どものメンタルを強くする方法についてご紹介します。
自己肯定感を高める
メンタルを強くする方法としてまずは、子どもの自己肯定感を高めてあげるとよいでしょう。自己肯定感が低いと、メンタルも弱くなってしまうと一般的に言われています。
自己肯定感を高めるには、例えば、子どもの行動や努力の過程を褒めてあげます。
周りの人が気づかないような場所でも頑張っていることなどに気づき、そのことを褒めると、「自分をよく見てわかってくれている」と感じ、愛情として伝わりやすく、結果的にそれが自信へとつながります。
適切に叱りストレス耐性もつける
メンタルを強くするには、自己肯定感のほかにストレス耐性も大切だと言われています。
自己肯定感を高めようと、なんでも褒めてばかりで叱らずにいると、子どもがストレスに耐えたり乗り越えるための耐性が下がり、心が折れやすくなることもあるようです。
だめなことはだめときっぱり教え、約束やルールを守らない場合は適切に叱りましょう。
ポジティブな考え方をする
普段から家庭で「あなたなら大丈夫!」「きっとうまくいく」など、ポジティブな言葉で子どもに声かけするようにしましょう。
子どもの性格は、周りの環境によって大きく変化するとも言われており、「どうせ無理だ」などネガティブな言葉ばかり使われている環境では、積極的でメンタルの強い子にはなりにくい可能性もあります。
子どもが何かにチャレンジしようとしている時も、「あなたならきっとできる」とポジティブな言葉をかけ応援してあげましょう。色々と挑戦するうちに自分にもできると感じられ、前向きで強いメンタルが育まれていくはずです。
規則正しい生活をして、ストレス発散する
心と身体は相互関係にあります。気持ちが前向きであれば体調を崩しにくく、身体が健康であればメンタルも安定しやすいという説もあるほど。
規則正しい生活を送り、姿勢を正して目線を上げるだけでも精神的に良い影響を及ぼすでしょう。
勉強や遊びに夢中になったり、悩みがあれば早めに誰かに聞いてもらったりして、こまめに精神的な疲れが溜まらないようにすることも大切です。
子どものメンタルを強くする習い事やスポーツ
子どものメンタルを強くするためには、習い事やスポーツを始めることも効果的。
精神面へのアプローチが期待できる習い事についてご紹介します。
野球やサッカーなどのチームスポーツ
野球やサッカー、バスケ、バレー、ラグビーなどの球技を中心としたチームスポーツは、きびしい練習やチームワーク、ライバルとのレギュラー争い、先生や先輩を尊敬する気持ちなどを通して精神面が強くなるでしょう。
特にラグビーでの、ボールを持っている相手選手の前進を阻止するプレー“タックル”は、恐怖心に打ち勝つ強い精神力を必要とするため、メンタルはかなり強くなりそうです。
剣道や柔道、相撲などの武道
剣道や柔道、相撲、弓道、空手道、合気道、少林寺拳法といった武道も、強い精神力を身に付けられる競技として有名です。
武道では主に、相手の精神的な隙を狙って技を仕掛け合います。
精神力が弱いと相手に隙を与えやすいため、受け身や型といった基礎的な練習はもちろん、体と体を向き合わせた長時間の組み手など、きびしい練習が必要とされることが多いでしょう。
そろばんや習字
そろばんや習字も、子どもがメンタルを強くするのにおすすめです。
そろばんでは、緊張感のある空間で計算をするために高い集中力が必要となり、習字も集中力が無くては良い字は書けません。
また習字は、美しい字を書きたいときは清く凛とした気持ちで、力強い字を書きたいときは強い気持ちでなど、自分の心の状態をコントロールして精神に抑揚をつける練習になるでしょう。
ピアノなどの楽器やダンス
ピアノやバイオリンといった楽器や、ダンスやバレエなどの発表会がある習い事も、目標に向かって日々練習することで成長できたり、人前に出て堂々と披露することによって度胸が身につくこともあるでしょう。
また、発表会は一発勝負なので、本番に強くなるメンタルが強くなれば将来、受験や面接を受けるための予行演習にもなります。
和太鼓
和太鼓も、メンタルを強くするのに良いとされています。
和太鼓には音階がなく、ただ皮の面を叩くシンプルな楽器のため、精神状態がそのまま音となって表れます。
強い精神力がないと良い音にはならないため、自分の心をぶつけながら練習し続けることで精神力が磨かれていくことにも期待が出来ます。
子どものメンタルを強くする時の注意点
子どものメンタルを強くする場合の注意点についてご紹介します。
子どもの意思を尊重する
子どものメンタルを強くするために習い事など何かを始める際は、子どもの意思を尊重して無理強いしないようにしましょう。
親が無理にやらせたがっても、親のために嫌々やっているだけでは子どもの自主性は育ちにくいでしょう。
夢や目標に向かって自ら動くことができ、壁にぶつかっても自分で乗り越えられるようになるには、子どもの内側から湧き上がるやる気を高めてあげることが大切です。
なるべく子ども自身に考えさせるようにして、親は目標設定を考えて日々やることを明確にしたり、努力したことを評価するだけでもよいでしょう。
初めから高いハードルを課さない
勉強や習い事、スポーツなどで、達成するのがむずかしい課題をいきなり子どもに課すことには注意が必要です。
達成できないことが続くと、子どもが自信をなくしてしまい、その結果伸び悩んでしまうことも。
世間の常識で求められているものではなく、まずは確実に子どもが達成できそうなハードルを設定しましょう。小さな成功体験を繰り返し味わうことで、モチベーションが育つはず。
結果にとらわれずプロセスを大切にする
習い事やスポーツなどでもし子どもが負けたり挫折した場合、「勝たなければ意味がない、残念だ」といった結果優先の声かけをすると、子どもの意欲が下がってしまうことも。
「最後まで頑張ったね」「今日のために一生懸命準備したね」「結果はどうであれベストを尽くせて良かった」など努力を褒めてあげることでプロセスに価値を見い出せれば、子どもの意欲が維持され成長にもつながるかもしれません。
子どものメンタルを強くする体験談
子どものメンタルを強くすることについてママたちに体験談を聞いてみました。
幼児期に、兄弟それぞれサッカーとダンスの習い事をさせていました。集団スポーツ独特のルールや舞台に立つ度胸など、習い事で経験できたのはよかったと思います。
長男はまだ小学一年生ですが、そのうち武道を習わせてあきらめない心や立ち向かう心、みたいなものは身につけてほしいなとは思っています。
5歳の娘は、アニメのヒーローや警察官などの強い人たちが好きで、自分も強くなりたいと憧れを持って普段からクールな服装のおしゃれをしたり、最近では空手にも興味を持ったりしています。
親が鍛えようとしなくても、子どもが自分でメンタルを鍛えようとしていることがわかり、『強くなってママを守ってあげる』と言ってくれた時もあって、とても頼もしく思えました。
無理なく子どものメンタルを強くしよう
子どものうちからメンタルを強くするようにしておけば、多少のストレスには負けずさまざまなことに挑戦でき、自分の可能性や人間関係も広がりやすいでしょう。
今回ご紹介した習い事やスポーツに挑戦するほか、親がいつもなるべくポジティブでいる、子どものチャレンジ精神を尊重し失敗しても責めずに肯定することなども、子どものメンタルが安定するために大切なことでしょう。
家族で協力し合いながら一緒に、子どもの強いメンタルを育んでいけるとよいですね。
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古荘純一
青山学院大学 教育人間科学部教授。小児科医、小児精神科医、医学博士。日本小児精神神経学会常務理事、日本小児科学会学術委員、日本発達障害連盟理事、日本知的障害福祉協会専門員なども務める。著書に『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』『教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題』(ともに光文社新書)などがある。
子どものメンタルを強くしようと思ったことはあまりないです。でも、結果的に習い事がメンタルを強くすることにつながったのかな? と感じることはあります。