なぜ英語に「夫婦」という単語がない?結婚に対する、欧米と日本のちがい

なぜ英語に「夫婦」という単語がない?結婚に対する、欧米と日本のちがい

2017.07.03

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平川裕貴

平川裕貴

幼児教育研究家

英語プリスクール「リリパット・リトルキンダー」経営者、「日本・欧米いいとこどり育児」を提唱する幼児教育研究家。経営者としての視点と教育者としての視点から、子ども達が生きる未来の社会を見据えて教育に取り組んでいます。 保育士、英語教師資格保有。

『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身につけさせたい-しつけと習慣』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱している平川裕貴です。筆者は、長年欧米文化に触れてきて、文化の違いに驚き、考えることが多々ありました。そんな筆者に、今回はとても面白いテーマをいただきましたので、それについて書いてみたいと思います。「英語にはなぜ夫婦という単語がないのか」という疑問です。

「夫婦」という単語はどんなときに使う?

そもそも夫婦という言葉はどんなときに使うでしょうか?

日本では、恋愛して、またはお見合いして、結婚して夫婦になるというのが自然な流れと考えられています。集団の和を大切にする文化なのですが、それは言い換えれば、周りのことを気遣ったり気にする文化とも言えます。

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そのため、大人の男女がいっしょにいると、夫婦なのかと、悪気なく詮索されることも多いですね。

農耕が中心で耕作機械などなかった昔は、近隣の人たちが集まって、協力しあって植え付けや刈り入れを行っていました。でも、男たちは畑仕事、女たちは食事の支度と、別々に作業します。

ですから、誰と誰が夫婦なのか、確認しなければわからなかったかもしれません。

今でも、例えば2世代3世代など大家族で住んでいる家では、誰と誰が夫婦なのかわからないこともあります。

このような状況からも、日本では、「ご夫婦ですか?」と尋ねたり尋ねられたり、「私たちは夫婦です」などと説明したりすることが、日常結構ありますね。

なぜ英語には「夫婦」という単語がないのか?

日本ではよく使う「夫婦」という単語。では、英語でどう言うのでしょうか。早速辞書でひいてみると


married couple

man(husband) and wife

Mr, and Mrs.〇〇


などが載っています。 family や parents というように一言で言える英訳は載っていません。

なぜ夫婦という単語が英語には存在していないのか?その答えを一言で言うと、


必要のない単語だから


です。

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欧米では「夫婦」という単語の必要性がない?

「必要性がない」とはいったいどういうことなのでしょうか?

欧米では一般的に子どもは成人したら家を出ます。結婚すれば夫婦だけで(いずれ子どもができますが)住む核家族。成人した親兄弟が同居して住むなんてことはほぼないのです。

住宅地の普通の家に大人の男女が住んでいれば、まず夫婦だろうと考えられ、わざわざ確認されることもありません。

また、欧米の人はパーティ好きですが、出かける時は夫婦で出かけます。会社などのパーティでも夫婦で出席するのが基本です。

夫は常に妻をエスコートしますので、「あの二人が夫婦(カップル)」だと一目瞭然。

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周りの人に、「私たちが夫婦です」などとわざわざ説明しなければならない場面など、ほとんどないのです。

しかも、欧米では、日本と違ってプライベートなことを詮索するのは良しとされませんし、プライバシーの侵害として嫌がられることの方が多いです。

男女がいっしょにいても、単にカップルと思われるだけで、恋人同士なのか夫婦なのかは、ほとんど気にされないというわけです。

言葉は必要性に迫られて生まれるもの

というわけで、日本語の「夫婦」にあたる英語は、欧米では必要性のない言葉だと言えるのです。

ちなみに、「夫妻」という言葉は、まさしく英語のhusband and wife   Mr. and Mrs.〇〇ですね。でも実は、これらの言葉も、筆者は近いうちに使われなくなるのではと思っています。


その理由は、結婚というものの認識が大きく変わってきているからです。


これまでの結婚とは、男女がいっしょになることでした。ところが現在欧米では、男同士とか女同士の結婚も認められ始めています。するともう man and wife とは言えませんよね。

また、欧米では若いうちは結婚という形式を取らず、同棲しているカップルも多いのです。いっしょになるのが男女でなくてもよくて、結婚という形式を取らなくてもよいとなると、残る言葉は couple くらいでしょうか。

言葉は必要性がないと生まれてきませんし、使われない言葉は、淘汰されてなくなっていきます。

言葉の必要性は、その国の文化や習慣、社会的な風潮や人々の意識に、深くかかわっているということですね。


執筆:平川裕貴

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元日本航空CA。外資系英語スクールマネージャーを経て、1988年子ども英語スクールを開校。現在、英語プリスクールで、3歳から6歳までの子ども達を、幅広い視野と思いやりを持ったバイリンガルに育てている。また、スクール経営の傍ら、長年欧米文化に触れてきた経験から、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱する幼児教育研究家として活動。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』 に子ども教育評論家として出演。また、英語やしつけに関する記事を多数執筆。著書に『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』(アマゾン)

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英語プリスクール「リリパット・リトルキンダー」経営者、「日本・欧米いいとこどり育児」を提唱する幼児教育研究家。経営者としての視点と教育者としての視点から、子ども達が生きる未来の社会を見据えて教育に取り組んでいます。 保育士、英語教師資格保有。

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