小中一貫校とは?小中一貫教育が必要とされる背景や子どもたちへのメリットと注意点

小中一貫校とは?小中一貫教育が必要とされる背景や子どもたちへのメリットと注意点

未就学児や小学生・中学生のお子さんを持つパパ・ママであれば「小中一貫校」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。小中一貫校は小学校・中学校が一体化した学校のこと。この記事では、小中一貫校が必要とされる背景や子どもたちにとってのメリット・注意点などを紹介します。

小中一貫校とは

小学校の6年間と中学校の3年間は、いずれも義務教育。9年間の義務教育を一貫して行うのが「小中一貫校」と呼ばれる学校です。さらに、小中一貫校は次の3種類に分けられます。


【義務教育学校】


教員組織はひとつで校長先生もひとり。系統性を確保した教育課程を編成・実施する学校で、学年の区分は1年生から9年生とされる。


【併設型小中一貫校】


独立した小学校・中学校が一貫した教育を行う形態の学校のうち、施設の設置者が同一の学校。教員組織は小学校・中学校それぞれにあり、両方に校長先生がいる。


【連携型小中一貫校】


独立した小学校・中学校が一貫した教育を行う形態の学校のうち、施設の設置者が異なる学校。併設型と同様に、教員組織は小学校・中学校それぞれにあり、両方に校長先生がいる。


出典:小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引て/文部科学省

小中一貫校が必要とされる背景とは?

小学校の教室
eggeeggjiew-iStock

小中一貫校が必要とされることには、どのような背景があるのでしょうか。代表的な理由の例を見ていきましょう。



進学時の接続をスムーズにするため


小学校・中学校の教育を一貫することで、教員同士の連携が取りやすくなります。学習指導・生活指導が統一されるため「小学校と中学校で方針が違う!」といった混乱を避けることにつながるのではないでしょうか。


また、生徒・児童の課題を十分に共有できるため、ひとりひとりの課題を長きにわたってフォローしやすくなるでしょう。


児童・生徒の身体的発達が早まっているため


2010年の小学5年生・中学1年生の身長は、1945年の児童・生徒の2. 3年上級に相当するそうです。


児童・生徒の身体的発達が早まっている現代に合わせて、ふさわしい教育や生活指導を行うことも重要な課題です。小中一貫教育にすることで、身体と心のバランスが崩れやすい年ごろの子どもたちをサポートしやすくなるのかもしれません。


出典:今、なぜ小中一貫教育なのか/埼玉県


「中1ギャップ」を埋めるため


「中1ギャップ」とは一般的な小学校から中学校に上がり、環境が大きく変化することで子どもが感じやすいギャップのことです。


「新しい環境で学習に集中できない……」「対人関係が複雑になった……」といったことで悩み、つまずく生徒も少なくないでしょう。


環境に大きな変化がなく、小学生時代の苦手な科目などをフォローしやすい小中一貫教育は、中1ギャップを埋めるための施策でもあるのです。


出典:小中連携、一貫教育の推進について/文部科学省

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小中一貫校に通うことのメリットと注意点

小中一貫校に通うことによって、子どもたちにはどのようなメリットがあるのでしょうか。押さえておきたい注意点と併せて見ていきましょう。


メリット


メリットとして上げられるのは、慣れ親しんだ環境で安心して学校生活に臨みやすいことや、小中一貫校ならではの経験ができることです。詳しく見ていきましょう。


【進学時の環境変化が少ない】


前述の通り、小中一貫校では中学校に進学する際に環境が大きく変わることがありません。親しい友人と離れてしまったり新しい通学路に慣れなかったりといった負担が少ないため、学習や部活動に集中しやすいのではないでしょうか。


精神的に落ち着いた状態で学校に通えることは、大きなメリットといえるでしょう。


【充実した設備・備品が使えることがある】


小中一貫の中には、小学校と中学校で使える予算を合わせている学校もあるようです。小学校・中学校ではそれぞれの予算で設備や備品をそろえることが一般的ですが、小中一貫校では予算を合わせて、質の高い設備や備品を導入していることも。


例えば「小学生も中学生と同じ野球の道具が使える」といったことが、お子さんのモチベーションアップにつながる可能性もあるでしょう。


【年齢の違う相手と関わる機会が多い】


「中学に上がった途端、上下関係が難しくなった……」という思い出を持つパパ・ママは多いのではないでしょうか。


小中一貫校には「年齢の離れた子ども同士で交流する機会が多い」という特徴があります。「先輩・後輩」という立場にとらわれず、お互いを認め合う関係性が育ちやすいかもしれません。


【学習や生活面のフォローが受けられる】


前述の通り、小中一貫校の目的のひとつは「9年間の教育を一貫する」ことです。中学生になっても、小学生のころの苦手科目や生活面での課題などをフォローしてもらえることはメリットでしょう。


また、なじみのある先生が近くにいることも心強いはずです。


注意点


一方、小中一貫校に通う子どもを見守るパパ・ママには押さえておきたい注意点もあります。こちらも詳しく見ていきましょう。


【対人関係の変化が少ない】


小中一貫校に入学すると、転校しないかぎりは小学校〜中学校までほぼ同じメンバーで過ごすことになります。安心感があることはメリットですが、新たな人間関係を作る機会は少ないかもしれません。


また、1度人間関係がこじれると後々まで影響することもあるでしょう。子ども同士だけでなく先生との関係に悩むケースも考えられます。


【小学校高学年がリーダーシップを発揮しにくい】


一般的な小学校において、学校のリーダーを務めるのは5年生や6年生ではないでしょうか。その点、小中一貫校では中学生がリードすることが多い傾向にあるようです。


小学生時代に「下級生をフォローする」という経験が少なくなりがちかもしれません。


【合同学習の内容に物足りなさを感じることも】

小学生と中学生が合同で授業を受けたり、活動したりする機会を設けている小中一貫校もあります。合同授業や合同活動では、小学生にレベルを合わせることが一般的。


中学生の中には、物足りなさを感じて合同授業に取り組むモチベーションを保ちにくくなる生徒もいるのではないでしょうか。

小中一貫校への入学にはパパ・ママのフォローも重要

中学生
mapo-iStock

小中一貫校は「時代に合った合理的な教育現場」といえるかもしれません。子どもたちには学習面でも生活面でもメリットがあるはずです。その一方で小中一貫校ならではの注意点があることも覚えておくとよいでしょう。


お子さんが小中一貫校に入学するのであれば、本人の性格や長所をふまえて学校生活をフォローしてあげてくださいね!

2024.04.30

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