日本の性教育はスタートが遅い?国際基準から考える、幼児期からの性教育の必要性
スマホやタブレットが普及した昨今、予期せぬタイミングで子どもが性について触れてしまうこともあります。では、子どもの性教育は何歳からはじめるのが適切なのでしょうか。性教育のスタートについて日本と世界の基準を比較。実際に、性教育を実施している保育園を訪れ、幼児期からの性教育の必要性について伺いました。
ユネスコが発表した性教育の指針「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、セクシュアリティ教育の枠組みとして、8つのキーコンセプトと4つの年齢グループが設定されています。8つのキーコンセプトは、それぞれの年齢グループごとに学習目標や学習内容が異なり、段階を経て性について学べる内容となっています。
年齢グループは5~8歳からスタート。キーコンセプトの「人間のからだと発達」では、内性器・外性器の基本的な機能や、精子と卵子が結合し、子宮に着床して妊娠がはじまるといった生殖のプロセスなどを学んでいきます。
このように、世界で定められている指針では、性教育のスタートは5歳が基準。幼児期から性にまつわる体の仕組みについて、具体的に学んでいくことが目標となっているのです。
一方、日本の教育課程では、中学1年生で受精について学ぶことになっているため、国際基準とのギャップは非常に大きいといえます。
性教育のスタートが比較的に遅い日本でも「どろんこ会グループ」が運営する保育園では、就学を控えた5歳児を対象に性教育を実施。絵本を通して、プライベートゾーンや自分の命は自分で守るということを学んだり、人体パズルを使って男女の体の違いや仕組みを知ったりと、子どもが自然と興味を持つような工夫がされています。
園長先生は性教育について、こう語ります。
「幼児期の性教育は、これから先、子どもたちが戸惑うことなく『生まれてきてよかったな』と感じながら成長していくための入り口です。
性について、はじめのうちは恥ずかしがる子ももちろんいます。でも、『大切な話なんだよ』ときちんと説明すると、真剣に聞いてくれて素直に受け取ってくれます。性の話題はタブー視されている風潮が今も残っていますが、間違った情報を正しいと認識し続けて成長することの方が怖い。
素直に聞き入れることができる幼児期に、正しい知識を学ぶことは大切だと感じています。そして、自分の体は自分で守るという危機感を持つことの必要性を、今の時代を生きていく子どもたちに伝えていきたいですね」
スマホやタブレットを使って簡単に情報を得ることができるいま、インターネット上では、幼いうちから簡単にアダルトコンテンツに触れられる機会があふれています。SNSを通じて性犯罪へ巻き込まれる危険性もあることから、自分で自分の体を守ることができるように、正しい性の知識を学び危機感を持つことが大切でしょう。性について歪んだ情報を得る前に、早期に性教育をはじめる必要があるのではないでしょうか。