【調査】「体操着の下の肌着着用禁止」問題。保護者と現役教員の意見

【調査】「体操着の下の肌着着用禁止」問題。保護者と現役教員の意見

2021.04.02

小学校の体育の授業の際の「体操着の下の肌着着用禁止」問題についてSNSやメディアで話題になっている。子どもを持つ保護者はこの話題から何を感じるのか。また、小学校で働く現役教員からは、教育現場の内情を聞いた。

「体操着の下の肌着着用禁止」問題とは

神奈川県川崎市や千葉県船橋市、滋賀県守山市、長崎県内の一部の小学校で「体操着の下の肌着の着用を禁止」という指導がされていることがSNSなどで話題となっている。この件はメディアでも取り上げられ、肌着禁止の理由については「皮膚の鍛錬」や「運動後の汗などによって体を冷やさない等の児童の健康面や衛生管理面の配慮から」などと報道された。またSNSではこのようなルールがあること自体を知らなかったという保護者の声も多くみられた。

保護者は何を感じるか

この話題を受け、実際に子育てをする保護者は何を感じたか、アンケートを実施した。

長男5歳・次男3歳の父親/神奈川県在住
長男5歳・次男3歳の父親/神奈川県在住

ただただ驚きました……。時代は変化しているはずなので科学的根拠があるのかなと思いましたが、腹落ちしない理由でした。

長男6歳・長女2歳の母親/広島県在住
長男6歳・長女2歳の母親/広島県在住

怖いと感じました。衛生面の配慮という理由も分からないですし、一律で禁止にするのがよくわかりません。 

長男5歳の母親/神奈川県在住
長男5歳の母親/神奈川県在住

「皮膚の鍛錬」が理由とは…時代に合っていないと思いました。「胸の成長が確認できたら着てもよい」という学校もあるようで、鳥肌が立ちました。とても気持ち悪いと思いました。

長男8歳・長女6歳の父親/東京都
長男8歳・長女6歳の父親/東京都

我が家にも娘がいるので、あり得ない発想だと思った。女子が高学年になっても肌着着用をしないというのは考えられないし、こんなことは学校指導の枠を超えていると感じる。

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自分の子どもが肌着禁止となったら…

「もし自分の子どもが同じことを禁止されたら、どう対応しますか」という問いに対しては、下記のような意見があげられた。

長男5歳の母親/神奈川県在住
長男5歳の母親/神奈川県在住

なぜそんなことをするのか学校に確認します。子ども本人にもどう思うかを聞き、イヤだと思っているのなら、禁止されていても「肌着を着てもいい」と言います。

長女7カ月の母親/東京都
長女7カ月の母親/東京都

まずは学校に連絡し事実を確認したうえで、弁護士を通じて学校を告訴します。子どもには嫌な気持ちはなかったか、メンタルのケアをしたうえで、肌着の着用をするように伝えます。学校がすぐに対応してくれなかった場合には、その授業には参加させないようにし、転校も視野に入れます。

長男中1・長女小5の母親/埼玉県在住
長男中1・長女小5の母親/埼玉県在住

間違いなく学校に抗議します。そういう決まりごとって保護者に文書で通知されるわけではないので、親の耳に入らなかったりするんですよね。子どもの学校でも低学年は男女一緒に着替えていますが、低学年から男女で分けるべきだと思ってます。

また、既に同じ経験がある小学生の母親もいました。

長男10歳・長女7歳・次男5歳の母親/東京都
長男10歳・長女7歳・次男5歳の母親/東京都

このニュースが話題になる以前に、小1の娘から「体育の際に自分だけ肌着を着ているが、いいのか不安」と相談を受けたことがありました。なぜ肌着を着ることが大切なのかを、衛生の観点と発育の観点から話しました。また、娘にはもし先生に注意されたらすぐにママが連絡するから教えて、と伝えました。

学校や保育園のルールで変だと感じたこと

子どもの学校・保育園などで「変だな」と思うルールを聞いてみたが、下記のような回答があった。

長男5歳の母親/神奈川県在住/公立保育園
長男5歳の母親/神奈川県在住/公立保育園

真冬でも半袖の着用を推奨されていました。園内は床暖房が暖かいことと、今回のニュースと同様に「皮膚の鍛錬」のような理由でした。

長男・長女の父親/東京都/公立中学校
長男・長女の父親/東京都/公立中学校

病気により体育を見学すると、成績が下がること。

長男7歳・長女0歳の父親/茨城県/公立小学校
長男7歳・長女0歳の父親/茨城県/公立小学校

問題を事前に防止するために作られたルールには違和感があります。例えばクラスの友人をニックネームなどで呼ぶのは厳禁で、全員「さん」付けが義務付けられています。

これらの意見に対し、学校や保育園、または行政の保育課に対して意見を言うことでルールが改善されたという声もあれば、今後の関係性を考えると言いづらく不満を飲み込んだ、という意見もあった。

また、下記のような意見を持つ人が現実には多いのかもしれない。

長男6歳の母親/東京都/公立保育園
長男6歳の母親/東京都/公立保育園

最初違和感があったことでも次第に慣れてしまうので、現在は思い浮かびません。

現役小学校教員の意見は…

小学校教員をしている2名の女性へ、今回の話題を受け何を感じたのか、また教育現場での実情はどうなっているのかをインタビューした。

東京都の公立小学校教員を勤める30代女性は下記のように話してくれた。

東京都の公立小学校教員/30代
東京都の公立小学校教員/30代

「ああ、やっと世の中に現状が知れたか…。」と思いました。私のいる小学校にも同様のルールがあり常に違和感を持っていたので。

意見をあげたこともあったのですが、賛同してくれる先生はとても少なかったですね。特にベテラン教員や男性教員は「そういうものだから」と、気にしていない人が多かったです。

若手教員が「変だなぁ」と思うルールがあっても、ベテラン教員が長年慣れ親しんだものは現場からは変えられない風潮が根強いので、世論に晒されることで状況が変わっていくことは良いことだと感じます。

神奈川県の公立小学校で勤務する30代女性はこう話す。

神奈川県の公立小学校教員/30代
神奈川県の公立小学校教員/30代

私の勤めている小学校でも、低学年は肌着着用禁止というルールがありましたが、数年前に撤廃しました。

毎年数名の保護者から気になるという声が上がってきていたものの、小学校の現場では日々色んなことが起こる中で、誰かが「絶対に変えなきゃ」と強い意思で訴えない限り、変えることは難しかったですね。

数年前、学校の決まりごとを振り返る会議で、「このルールは削除しよう」と誰かが言いだし、特に反対する人もいなかったのでなくなりました。

学校という枠組みの中では、強い意志をもって訴えを起こさない限り、なかなか既存のルールを変えられない現状があるようだ。

また子ども自身が「ルールだから」と黙って従ってしまったら、保護者には見えてこない問題もありそうだ。家庭でも子どもとのコミュニケーションを密に取り、おかしなことがあったら気付けるようにしておくことが必要かもしれない。


【調査概要】
・対象:保護者に向けてアンケート調査を実施
・調査期間:2021年3月30日~2021年3月31日
・回答数:13人


<執筆>KIDSNA編集部

2021.04.02

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