子どもと野外遊びへ【第3回】親子でいっしょに「火」を学ぶ

子どもと野外遊びへ【第3回】親子でいっしょに「火」を学ぶ

子育てに関する著書などで活躍中の久留島太郎さんのコラムです。子どもと野外遊びシリーズ、今回のテーマは「火」です。子どもたちが本物の火を見る機会が少なくなっている現代、親子で楽しく火について知り、学ぶ方法について書いていただきました。

人間にとって大切な「火」

火の使用は、人類最大の発明ともいわれています。石器時代に人類が火を作ることができるようになり、それが人類の進化を加速させたという説もあるほどです。

石器時代に人類が火を作ることができるようになり、それを使って調理するようになったことで、タンパク質や炭水化物の摂取が容易になったからだそうです。

火を見る機会が減った現代

現在では条例で焚き火や野焼きが禁止されている地域も多く、日常的に屋外で火を見る機会は少なくなってきました。

しかし、火を囲みながら歌ったり踊ったりするお祭りもあれば、正月のどんど焼き等、火を囲んだ年中行事などもいまだ文化として残っています。

人類の進化と密接な関係にある「火」ですが、最近では、電気調理器の普及や、暖房機器の安全対策によって、身の回りから直接「火」が見えるものが少なくなってきました。

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小さな子どもたちの中には生まれてから火を見た経験がないという話を聞くこともあります。

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「火」を学ぼう

そこで、大人の出番です。子どもの頃にダメといわれた「火遊び」ですが、大人なので堂々と。ただ、いきなり焚き火は危険です。そこでスモールステップで火を楽しんでいきましょう。


ろうそくの灯りで食事

まずはろうそくの火から。食事をする時に電気を消してろうそくの炎を灯りにして夕飯を食べてみることをおすすめします。

いつもと同じ茶碗にいつもと同じご飯がよそわれているのに、ろうそくの火で照らされる食卓はいつもと違った感じがします。いつも見ている顔が、いつもと違った感じがします。

そんな雰囲気の中で食事をすると、火が団欒の中心にあった人類の歴史を感じることができるかもしれません。

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子どもにとっても火が明るさのもとになるということ、熱をもつということに出会う機会になるかもしれません。しかし、ワクワクしながら食べることができるのが一番です。

火の役割を感じながら、安全にも気をつけることができるようになる小さなろうそくの火を「火」に親しむスタートにしてみるのはいかがでしょうか。


災害時にも役立つコンロ

次のステップはガスコンロです。火を持ち出すことができるカートリッジ式のガスコンロは、現代の私達にとって身近な火の1つです。主に室内で使われることが多いので、今回はガスコンロを外に持ち出します。

玄関先やベランダにテーブルと椅子を出して、ガスコンロで「焼き物」を楽しみます。今の時期ならガスコンロの火に手をかざしながら、暖かを感じることができます。

家にあるフライパンでも大丈夫ですが、せっかくなので煙が出るおもしろさも味わえる「網焼き」もいいですね。

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手羽先やソーセージなど手軽に焼けるものだと子どもたちも大喜びです。大人はどうぞ好きなものを!子どもと焼きマシュマロなども楽しいかもしれません。

ガスコンロは災害時にも役に立ちます。ぜひ家庭に1台ガスコンロを!(ガスの予備もぜひ備えておきましょう)


炭火を楽しむ

慣れてきたところで、次のステップとして炭を使った焚き火にチャレンジ。ホームセンターには七輪だけではなく、最近では焚き火台なども手頃な値段で売られているのを見ます。

マシュマロ
Smit/Shutterstock.com

これまでのステップで、子どもたちも火に慣れ、火への畏敬の念をもつことができているはずですので、ぜひ子どもと一緒に炭火の時間を作りましょう。

小さな炭火であればベランダでも楽しめます。ご近所さんに声をかけながら玄関先で炭火を楽しむこともできます。

火を囲んで特別な時間を

私の家の近所に、週末になると道路に面した駐車場に焚き火台を出して炭火をおこしてくれる仲間がいます。息子と飲み物と焼くものをもっていき、炭火を囲んでの楽しい週末が始まります。子どもたちは遊びながら、大人は火を囲みながら団らん。

パパたちも火を囲みながらだと仕事の話だけでなく、子育ての話で盛り上がります。パパも出番を作ることができる楽しい火遊び、ぜひお楽しみください。


執筆:久留島太郎

Profile

久留島太郎(植草学園短期大学准教授)

久留島太郎(植草学園短期大学准教授)

植草学園短期大学准教授。私立幼稚園、国公立幼稚園、公立小学校の教諭を経て現職。「NPO法人タイガーマスク基金」理事。社会福祉法人房総双葉学園理事。「NPO法人ファザーリング・ジャパン」元理事。4人の息子の父親としての立場、保育にかかわる教員としての立場、社会的養護を必要とする子どもたちと接する立場から、子どもたちが育つ「環境」を考えることをフィールドとしている。著書に『新しいパパの教科書』(学研)、『3歳までの子育ての教科書』(アスコム)。

2018.03.01

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