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土地の相続税評価額とは?地域ごとの評価の仕方や計算方法
両親から土地を相続する場合に気になるのが、相続税額。それにはまず、土地の相続税評価額を計算する必要があります。そこで今回は、土地を相続したときの地域ごとの相続税評価額の計算方法や特殊な土地の相続税評価額の調べ方などを、国税庁の資料を参考に紹介していきます。
土地を相続したときの評価額とは
両親から土地を相続する、もしくは自分の子どもに土地を相続するようなことが将来あるかもしれません。そのようなときにかかるのが相続税です。
相続税とは、被相続人である亡くなられた人から相続などによって金額の大きい財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金のことです。
相続税を計算するうえで土地の評価をする必要がありますが、土地の評価には「路線価」と「固定資産税評価額」というものを使用します。
次に、相続した土地の具体的な評価額を計算するときに使用する「路線価方式」「倍率方式」について詳しく見ていきましょう。
相続した土地の計算方法
相続した土地の評価額の具体的な計算には、国税庁が定めた「路線価方式」「倍率方式」のどちらかが使われます。
「路線価方式」を使った計算方法
路線価方式は、路線価地域にあたる土地の評価方法のことで、次の計算式を用いて算出します。
【路線価×補正率×土地の面積】
路線価とは、道路に面する標準的な土地の1㎡あたりの価格のことです。この路線価を、土地の形状などを考慮した奥行価格補正率などで補正し、最後に土地の面積をかけたものが、その土地の相続税評価額となります。
例えば、その土地の路線価が「300,000円」、補正率が「1.00」、土地の面積「180㎡」だった場合の相続税評価額は以下となります。
【30万円×1.00×180㎡=5,400万円】
ちなみに路線価は、1㎡当たりの価額を千円単位で表示しています。路線価方式は、市街地にある土地や建物の評価額を算出する場合に、用いられることが多いようです。
土地の路線価や補正率の調べ方の詳細については、国税庁のHPに掲載されているので確認してみるとよいでしょう。
「倍率方式」を使った計算方法
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法のことで、次の計算式を用いて算出します。
【固定資産税評価額×国税庁が定めた一定の倍率】
その土地の固定資産税評価額に、国税庁が定めた地域ごとの倍率をかければ、相続税評価額がわかります。路線価方式のように、土地の形状が関係することはありません。
固定資産税評価額が知りたい場合は、都税事務所や市区役所、町村役場で確認できます。倍率方式は、人口が少ない地方や田畑、山林、などの地域に使うことが多いようです。
また地域ごとの倍率は、国税庁のHPに掲載されているので、こちらも気になる方は確認してみるとよいでしょう。
特殊な土地の相続税評価方法
路線価方式を使う地域にある、特殊な形をした土地を相続する場合、標準的な土地の相続税評価とは方法が異なります。国税庁の資料を参考に紹介していきます。
不整形地
不整形地とは、間口からみて奥行きがいびつな形をしており、一定ではない土地のことをいいます。不整形地の価格を計算するためには、まずその土地が不整形でないものとして考えます。
いびつな土地を囲むように、道路に対して四角い土地を想定して価格を計算します。次に、想定した四角い土地の中の不整形な土地以外の部分(かげ地)の割合を求めます。
最後に、不整形の割合に応じて「不整形地補正率表」に定める補正率をかけて算出していきます。詳しい不整形地の相続税評価額や「不整形地補正率表」に定める補正率を知りたい方は、国税庁の資料を確認してみましょう。
間口狭小
間口狭小な土地とは、道路に面する間口が極端に狭い土地のことをいいます。間口が狭小な土地の評価は、まず路線価にその土地の奥行距離に応じて「奥行価格補正率」をかけて計算します。
次に、間口狭小補正率をかけていきます。この間口狭小補正率は間口距離によって変わってきます。普通住宅地区の場合は、間口の距離が8m未満の場合、間口が狭小な土地とされるようです。
さらに、土地の間口から奥行までが極端に長い場合は、間口狭小補正率をかけて出した数字に、奥行長大補正率をかけていきます。最後に、その土地の面積をかけて評価額を算出していきます。
土地の相続について知っておきたいこと
土地の相続は、その土地が持っている特性やさまざまな条件によって評価額が異なるなど、難しいことや気をつけることも多いですよね。
土地を相続する際に少しでも損をしないために、ママやパパが知っておきたいこととは、何があるのでしょうか。
土地を分割して相続する
被相続人の所有していた土地を共同相続人で分割して相続すると、評価額を下げられることもあるようです。
例えば、2本の道路に挟まれていた土地であれば、土地を真ん中で分割すると、それぞれの土地に接している道路は1本ずつになり、二方路線の加算がなくなる場合があります。
共同相続人がいる場合などは、専門家に相談してみるとよいでしょう。
売却
相続した土地を売却しようと考えているママやパパもいるかもしれません。相続した土地は、売却するタイミングによってかかる税金も変わる場合があります。
例えば、土地や建物を譲渡した際にかかる所得税は、売った年の1月1日現在で、所有期間が5年以上であれば15%に、5年以下の場合は30%になります。
さらに相続した土地を相続された日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していれば、相続税が取得費に加算され、譲渡した際にかかる所得税が安くなる場合があります。
売却するタイミングやそのときの状況により、かかる税金も変わってくるので、しっかり売却する前にしっかりと確認しておくと安心です。
私道の相続税評価
私道の相続税評価は、「通り抜け私道」と「行止り私道」について知っておくとよいでしょう。通り抜け私道とは、通り抜けができる私道のことです。
不特定多数の人がその私道を使うので、公共性が高いため相続税評価額は0円となります。一方で行止り私道は、特定の人しか使わないため公共性が低いとみなされるので、通常の相続税評価額の30%で評価されます。
地域ごとの相続税評価額の求め方を知っておこう
土地の評価額を計算する際には、「固定資産税評価額」と「路線価」を使用することがわかりました。
土地を相続したときの具体的な評価額の調べ方については「路線価方式」や「倍率方式」などの計算方法を用いたり、「不整形地」や「間口狭小」など土地の特性に合った評価額の算出方法があることがわかりました。
「相続する土地の地域はどのような方法で評価額を計算するのか」ということをポイントに、家族や専門家などと相談しながら正しい土地の評価額がわかるとよいですね。
※記事内で使用している参照内容は、2019年4月5日時点で作成した記事になります。