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【保存版】保活でやるべきことやコツ、点数などを徹底解説
子どもが産まれても仕事を続けていきたい。そのために子どもを保育園に預けることは必須。しかし「保活」には大変なイメージがあって不安という人も多いでしょう。保活はいつからどのように進めるのか。認可保育園と認可外保育園の違いは何か。実際に保活をした保護者の経験談も踏まえ紹介します。
保活とは
保活とは、「子どもを保育園に入園させるために、保護者が行う活動全般」のことを指す言葉です。厚生労働省によると、2017年には26,081人だった全国の待機児童は2020年には12,439人と、人数自体は減ってきています。しかし、子どもを預けられないために働けない人が未だ大勢いる現状です。
入園するまでには情報集めから始まり、園見学や「保育の必要性の認定」の申し込みなど、手続きを進めなくてはいけません。保育の認定が下りない、もしくは認可保育園の入園選考に落ちた場合は、認可外保育園などの検討も必要になるでしょう。
保活はなぜ必要?
厚生労働省の2020年のデータでは、全国の保育所等定員数は約296万人に対し、利用している児童は約273万人であることが分かっています。この数字だけを見ると、利用児童よりも保育所の数が多いので、定員数には余裕があるように感じるかもしれません。しかし実際は保育所は多いけれど児童が少ないエリア、児童は多いけれど保育所が少ないエリアなど、地域による偏差があります。
出典:②保育所等関連状況取りまとめ(令和2年4月1日)/厚生労働省
厚生労働省は待機児童解消のための「新子育て安心プラン」で保育の受け皿を4年間で約14万人を増やすことなどを掲げています。しかし、保活に失敗し子どもを保育園に預けられないことで、職場への復帰が叶わず退職をすることになった方や、キャリアを諦めざるを得ない人がまだまだ多いのも現状です。そのため特に待機児童が多い自治体では、事前に情報収集や準備を行い万全な保活をすることは必須となっているのです。
認可保育施設と認可外保育施設の違い
保育園は大きく分けると認可の保育施設と、認可外の保育施設の2つの種類があります。認可の保育園の中には、「認定こども園」も含まれています。認可外の保育施設には、「認証保育園」「企業主導型保育園」など様々な形態の保育園があります。それぞれの違いや特徴を見てみましょう。
認可保育園
認可保育園とは国が定める基準に基づき、各都道府県知事が認可をしている保育園のことを指します。基準の内容には、敷地の面積、保育士など職員の人員配置、設備、衛生管理、防災管理などが設定されています。保育料は自治体によって定められており、認可外保育園に比べると安価であるのが一般的です。
認可保育園の中にも、運営母体によって以下のような種類があります。
- 公立保育園
- 私立保育園
- 公設民営保育園
公立保育園は各自治体によって運営されており、保育士は公務員となります。私立保育園は、社会福祉法人や株式会社などが運営している保育園です。公立に比べ自由度が高く、保育園ごとに独自の特色があったり、教育に力を入れている保育園もあります。公設民営保育園とは、自治体が設立した保育園の運営を民間が担っている形態のことを指します。
後ほど詳しく紹介しますが、認可保育園への入園手続きは各自治体へ申請をします。また就労をしていることや勤務時間を証明するために、各自治体に対し定期的に就労証明書を提出する必要があります。
認可外保育園
認可外保育園は国の基準は満たしておらず、各都道府県で定めている基準に基づき知事からの認可を受けて運営されています。保育料は保育園ごとに自由に設定ができ、認可保育園に比べ高価な場合が多いです。
保護者にとっては、「保育の必要性の認定」の必要はなく、希望する園に直接申し込むことができるのも特徴です。認可保育園に比べ制約が少ないため、保育方針が自由でユニークな園が多かったり、認可保育園に比べ保育時間が長い園もあるため、あえて認可外保育園を希望する保護者もいるようです。
認証保育園
認可保育園は国の基準に基づき制定されていますが、敷地面積や定員数など、都市部では満たすことが簡単ではない要件が含まれています。そのため、東京都で独自に定められた基準に基づき設置されているのが「認証保育園」です。
認証保育園は、原則として13時間以上開園していること、0歳児から入園できることが特徴です。保育料の設定は各園で行うことができますが、月7~8万円という上限が設定されています。
横浜市が独自で制定している「横浜保育室」も、東京都の認証保育園と同様に、横浜市が独自に設けた基準を満たすことで、市の認定を受けて運営経費の助成を受けている保育施設になります。
認定こども園
認定こども園とは0歳から5歳までの子どもを預かり、幼稚園と保育園の機能や特徴を一体化した施設です。保護者は就労の有無にかかわらず、子どもを預けることが可能です。子どもの年齢や就労の有無によって、申し込み先が保育園もしくは各自治体のどちらかになるため、事前に確認が必要です。
企業主導型保育施設
企業主導型保育施設とは、企業が従業員の子供を預かるために設置した保育施設のことを指します。定員の半数までであれば、従業員以外の子どもを受け入れることができます。保護者にとっては、遅い時間や夜勤がある場合でも勤務形態に合わせた保育を受けることが可能であったり、週に数回のみの利用など柔軟に利用することができることが特徴です。
2019年10月より「幼児教育・保育の無償化」がスタートし、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳~5歳クラスの子どもは、原則として利用料が無料となりました。認可外保育園を利用する3歳~5歳クラスの子どもの場合は、保育の必要性の認定を受けている人を対象に、利用料は無料(上限:3万7千円/月)となります。
保育園を上手に選ぶコツ
認可保育園か認可外保育園か
一般的に、認可保育園の方がよい保育を受けられるとイメージしている人も少なくないかもしれません。しかし、認可保育園だけにこだわらずに、まずは幅広く探してみることをおすすめします。認可保育園・認可外保育園の両方に預けたことがある保護者の中には、認可外保育園の対応の方が丁寧だと感じる人もいるようです。認可保育園だけがよいと先入観を持たずに、広い視野でリサーチすることがポイントのひとつです。
家や職場からの距離
保育園を選ぶうえで、家や職場からの距離は重要なポイントです。登園・降園のイメージを具体的にするとよいでしょう。例えば歩いて行くのか自転車で行くのか、雨の日はどうするのか、弟や妹が産まれたらどうするのかなど、色々なシチュエーションを想像してみるのがおすすめです。
見学のときに見るポイント
保育園の見学では、以下のようなポイントをよく確認するとよいでしょう。
- 電話対応はしっかりとされているか
- 保育士同士の雰囲気がよく、連携が取れていそうか
- 園長先生の人柄はどうか、何かあったときに相談をしやすそうか
- 園児がいきいきとして過ごしているか
- 給食は手作りか外注か、美味しそうかどうか
入園できる保育園の地域
保護者の中には他の自治体との境目に住んでいる人や、他地域にある勤務先の周辺で保育園を探している人もいるのではないでしょうか。他の自治体でも定員に空きがあれば申し込みできますが、原則としてその地域に住んでいる家庭が優先されます。
住んでいる地域外の認可保育園を希望する場合でも、入園申し込みは住んでいる自治体で行います。入園が決まった場合は、住んでいる自治体の基準で保育料が計算されます。
保育の必要性の認定と指数の計算方法
保育の必要性の認定とは
認可保育園の入園を希望する場合は「保育の必要性の認定」を受け、認定区分の2号・3号を取得しなければいけません。「保育の必要性の認定」は、自治体が必要に応じた保育・教育サービスを提供していくために、保育の必要性や必要量を判定するための制度です。
保護者の就労形態、妊娠・出産、疾病、親族の介護状況や、保育の必要な時間などから判定をして、1号・2号・3号のいずれかに区分し、利用できる施設と利用時間を決定します。満3歳以上で幼児期の教育を希望する児童は1号認定を支給され、幼稚園や認定こども園に通うことができます。保育の必要性が認められた3歳以上には2号認定、3歳未満児には3号認定が支給され、認可保育園を利用できるようになります。
また、認可外保育園を利用する際には認定を受ける必要はありませんが、「幼児教育・保育の無償化制度」を利用する際は認定を受けることが必須です。
指数の計算方法
認可保育園に申し込むには、保護者が共働きである、親の介護をしている、病気療養中である、など保育を必要とする理由があることが前提となります。そのうえで、勤務時間や雇用形態、兄弟の有無などによって指数が加点・減点され、指数が多い順に希望する保育園に入園することができます。
指数の計算方法は、父親の利用調整基準指数+母親の利用調整基準指数+調整指数が一般的です。自治体によって指数のルールや計算方法が異なるため、東京都大田区の利用調整基準を例に、計算方法など見てみましょう。
基本指数の最高点数は1人あたり11点で、これは「8時間以上の就労を常態」、もしくは「ひとり親家庭」などの状態であれば取得できます。つまり夫婦でフルタイム勤務もしくは、ひとり親家庭でフルタイム勤務であれば22点取得できます。
育児による時短勤務を選択する場合、勤務日数を減らさず1日あたり2時間以内の短縮であれば、8時間勤務と同様に見なされるので、復帰後しばらくは時短勤務を選ぶ方も多いようです。
加点となるのは、ひとり親世帯や、兄弟姉妹が在園中などが代表的な項目です。たとえば、大田区内の認可保育園に通う兄弟姉妹がいた場合、2点の「調整指数」が加点されます。保護者が既に就労していて、子どもは認可外保育園に通っている場合は、月2万円以上の保育料を払っている場合は2点、月2万円未満の場合は1点の加点がつきます。そのため、認可保育園に入れるために、まずは認可外保育園に入れる保護者も多いようです。
認可保育園の入園までのスケジュール
保活のスケジュールは概ね図のようになります。前提として0歳~2歳で入園を希望する場合、保育園に入園することができるのは、大半が4月のタイミングです。なぜなら、年度の途中で定員が空くことはほとんどないためです。運が良ければ引っ越しなどの理由で退園する園児が出るかもしれませんが、期待はしない方がベターです。4月入園を目標にして、保活を進めましょう。
また、認可保育園に入園するまでのスケジュールを立てつつも、同時進行で認可外保育園の見学やリサーチをすることをおすすめします。もし認可保育園に落ちてしまった際に、そこから認可外保育園の見学や申し込みをするのはとても大変です。万が一に備え、認可外保育園の入園も視野に入れながら準備を進めましょう。
スケジュールや手続きの下調べ・見学(4月~9月)
自治体によって保育園申し込みのスケジュールが異なりますので、まずはお住いの自治体での申し込み時期や、必要となる書類を調べておきましょう。また、自宅と勤務先から通いやすい保育園をリストアップしておきましょう。見学は一年中いつでも受け入れている保育園が多いです。まずは電話して聞いてみるとよいでしょう。
申し込み(10月~12月)
4月入園の申し込みは、ほとんどの自治体で前年の10月~11月に始まり、12月を締め切りとしています。締め切り間近になると役所が混雑したり電話がつながりにくいこともあるため、余裕を持って申し込みをするとよいでしょう。就労証明書や内定証明書などは父親・母親双方のものが必要ですので、漏れがないように気を付けましょう。
入園準備(2月以降)
認可保育園への入園が決まると入園前の面談や健康診断、オリエンテーションなどがあります。面談は、保育園の先生たちが子どもの特徴や生活習慣などを把握しスムーズに保育を進めるために行うので、不安なことがあれば伝えておくとよいでしょう。
保育園の入園準備でいちばん大変なのは持ち物への名前付けかもしれません。お名前スタンプやアイロンシールなどを上手に活用し、余裕をもって済ませましょう。また衣類に関しては各保育園が独自で設けているルールもあります。フードやボタンがついている衣類は禁止されていることも多いので、オリエンテーションの際によく確認しておくとよいです。
自治体や保育園によって対応は異なりますが、生後57日以降であれば入園することができる保育園もあります。そのため12月に設定されていることの多い一次締め切り時点では、まだ出産前というケースも。臨月や産褥期に保活をするのは身体的にも大変ですが、早く仕事に復帰したい方は、出産前や出産直後でも申し込みが可能なことを覚えておくとよいでしょう。
保育園に入れなかったときの対応は
一般的に、4月入園の選考可否は2月に通知されることが多いようです。もし選考で落ちた場合でも、認可保育園の二次募集や認可外保育園もありますので、諦めずに保活を続けましょう。
まずは職場に相談を
認可保育園に入れなかったときは、まずは職場に相談してみましょう。職場によっては難しいケースもあるかもしれませんが、仕事を継続したい意思を伝え、時短勤務やパートへの転向、在宅勤務の可否など、職場とともに打開策を見つけていけるとよいでしょう。
育休の延長
育児休業は原則的に1年間ですが、保育園に入れないなどの事情がある場合には、最長で子どもが2歳になる前日まで延長ができます。育休の延長は、会社にとって人員確保等で調整が必要になってくるため、早めに連絡をしましょう。
ベビーシッターやファミリーサポートなどの活用
認可保育園に比べると高価ではありますが、ベビーシッターやファミリーサポートを利用しながら、認可保育園に入るまでの期間をしのいだという家庭もあります。自治体によっては、一定期間のベビーシッターの利用は、認可保育園入園申し込みの際、加点対象になることがありますので、その際は子どもを預けていることを証明する「受託証明書」を必ずもらうようにしましょう。
保活体験談
保活を経験した保護者から、どのようなことが大変だったのか、どういった点に注意をしたのか、体験談を集めました。
アナログで情報収集がしづらい
東京都/20代/1児のママ
東京都/30代/3児のママ
役所ではメールやwebでの問い合わせを受け付けておらず電話問い合わせをする必要がありましたが、赤ちゃんと生活していると電話をするタイミングがなかなかなく、ひと苦労でした
情報が一か所にまとまっていないことや、情報管理がアナログなことにやりにくさを感じた保護者が多いようです。
見学や申請だけでも大変
東京都/3児のママ/30代
保育課が混むので、申請するだけで大変です。赤ちゃんを抱っこしているママで長蛇の列になっているのを見かけたこともあります。必要な書類もたくさんあるので、夫婦で分担して記入や申請をおこなうことをおすすめします。保育園に預けるのは妻だけのためではないですからね……。
北海道/1児のママ/30代
自宅や会社の近くにある保育園は電車や徒歩でひととおり見学に行ったのですが、小さい子どもを連れて寒い時期に出歩くのは大変でした。また、魅力を感じる保育園でも入れなかったらどうしようもないので、入りやすそうな保育園をママ友から聞き、希望順位を調整していました。
兄弟加点や認可外加点が必須
東京都/3児のママ/40代
長女は運よく0歳児から保育園に入ることができましたが、1歳児から入園した子のママたちに話を聞くと、「加点を貰うために、0歳児の年度途中からは認可外保育園に入れていた」と口をそろえて話していました。両親フルタイムで働いているだけでは入園が難しく、兄弟加点、認可外加点などが必要な厳しい状況でしたね……。
育休延長のために申し込む人も……
東京都/2児のママ/30代
区のホームページで申し込み倍率が公開されていたので、人気の保育園を避けて申し込みをしました。本当は人気の保育園に通わせたかったのですが、どうしても仕事に復帰したい事情があったので、泣く泣く人気がなく受かりやすそうな保育園を選びました。人気の保育園には、育休の延長をする人が意図的に申し込むケースもあると聞いたことがあり、複雑な思いがありました
育休を延長するためには、保育園に申し込みをしたけれど入園できなかったことを証明しなくてはいけません。そのため、育休を延長したい人が、人気が高く入れないであろう保育園に意図的に申し込みをすることもあるようです。子どもを預けて働かなくてはいけない人からすると、やるせない気持ちになるかもしれませんね。
その他の保活にまつわる体験談
その他にもこんなエピソードが集まりました。
埼玉県/3児のママ/30代
長男は幼稚園に通っていましたが、第二子が1歳で保育園に入れたことで同じ保育園への転園を考えるようになりました。ホームページで空き状況をこまめにチェックしていたところ、9月頃に空き枠を見つけ、無事転園することができました。1歳や2歳ではなかなか空きは出ないですが、4歳児クラスでは保育園から幼稚園に転園する人がいるため空きが出やすいようです
神奈川県/1児のママ/30代
我が家は保育園激戦区ということもあり、20ヵ所申し込みしました。ママ友の中には近隣の区も含めて70ヵ所申し込んだ人もいました。駅から近い人気の保育園では100人以上の入園待ちが出ているくらい保活が大変な時期だったので、夫はA4用紙にびっしりと保育園に入らないといけない理由を書き、申請書類に同封していました
焦らずに穏やかな気持ちで保活を進めよう
保育園は子どもが一日の大半を過ごす場所。一番大切なのは、子どもが安心して過ごせることではないでしょうか。子どもに合った保育園選びはもちろんですが、保育園に通いたいと子どもが思えるように、保護者が声をかけてあげるとよいでしょう。
保活は大変ではありますが数年前に比べると施設数が増え、受かりやすくなっているのも事実です。適度に息抜きをしながら、楽しく保活を進められるとよいですね。
移動中にもサクサク読める!
▼今すぐアプリをDL!!▼
区などのホームページを見ても情報量が多すぎたり、表記も分かりにくく、どのように調べたらよいのか困惑してしまいました。認可外保育園では貼り紙で公開される情報があったり、とてもアナログだと感じました