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【小児科医監修】子どもの咳が止まらない。長引く咳を止めるホームケアや方法
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クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
子どもが咳の出る病気にかかるとなかなか止まらないものです。今回は咳をともなう幼児がかかりやすい病気を、熱が出る、熱が出ない、にわけてご紹介します。子どもの咳を止めるホームケア方法や受診の目安、子どもの咳が続くときの注意点をクローバーこどもクリニック院長の小児科医、眞々田容子先生に伺いました。
子どもに多い咳をともなう病気
私たちの身体の中でのどや気管、気管支はとてもデリケートな部位です。咳は、気管支にウイルスが付着したり、刺激を受けたりしてでるものです。特に子どもの気管支は大人に比べて細く、よりいっそう敏感なため、何か病気を発症すると咳の症状が長引いたり、ひどく出ることが多いようです。
また子どもに多い咳の病気のなかには熱が出る病気と熱がない病気があります。子どもがかかりやすく、咳をともなう病気にはどういったものがあるか、熱が出る、出ないで分けて見ていきましょう。
熱が出る咳の病気
急性上気道炎
急性上気道炎とは、一般的にいう風邪のことです。咽頭炎など、のどにウイルスや細菌などが付着することにより炎症を起こし、咳や発熱などの症状がみられます。
症状が喉の赤みや痛みのみの場合は、うがいやマスクなどで保湿をして様子を見てもいいでしょう。発熱を伴うときはかかりつけ医の診察を受けてください。
急性気管支炎
気管支にウイルスや細菌が入り、炎症を起こします。普通の風邪や咽頭炎が悪化したときに見られることが多く、痰がからんだ湿った咳をするのが特徴です。発熱や喘鳴、肺炎につながることが多いでしょう。
インフルエンザ
毎年冬に大流行するインフルエンザウイルスが原因で引き起こされる病気です。38℃以上の高熱と頭痛、咳などを伴います。インフルエンザの咳も人によっては症状が強く出るため、肺炎などの合併症が出ることもあります。
RSウイルス
RSウイルスが原因で、38~39度くらいの発熱と、鼻水、咳を伴う病気です。ほとんどの子どもが2歳ぐらいまでに一度はかかるといわれており、1~2週間程度で治りますが、悪化すると、細気管支炎や喘息様気管支炎、肺炎などの合併症が出ることもあります。
喉頭気管支炎(クループ症候群)
クループ症候群はアレルギー性気管支炎、咽頭炎や風邪などの咳の症状が悪化して発症することが多いようです。主に3歳以下の小さな幼児に見られる病気です。クループ症候群自体では高熱を伴うこともあります。
ケンケンというような犬の遠吠え、もしくは「オンオン」とオットセイの鳴き声のような咳が出るのが特徴です。呼吸をするたびにのどの下が「ぺこっ」とへこむこともあります。重症化すると呼吸困難になることもあるので、症状が見られたら呼吸が苦しそうだったら、すぐに医療機関を受診しましょう。
肺炎
激しい咳と肺の炎症が起こる病気です。咳以外に38℃前後の発熱を伴います。なかでも子どもの間にはマイコプラズマウイルス感染によるマイコプラズマ肺炎にかかるケースが目立ちます。
肺炎では抗生剤を服用して治療していきますが、乳幼児の場合や薬の効きが芳しくない呼吸状態が悪いときは入院して治療するケースもあります。
熱が出ない咳の病気
後鼻漏
鼻水がのどの奥に流れ込み、のどに刺激となって咳が出る疾患です。鼻水が原因なので、吸引したり、鼻をよくかむことが大切です。鼻水がおさまり、のどの奥に流れなくなると、自然と咳も止まります。上手に鼻をかめない小さな子どもは注意して様子を見たり、鼻水吸引機を使ったりして早目に解消できると咳が治まるのも早いでしょう。
喘息様気管支炎
風邪をひいたとき、咳といっしょに喘息のように「ゼーゼー」という音がする疾患です。
気管支が細くてデリケートな0~1歳の乳幼児に多く、呼吸が荒くなったり、夜、咳とゼーゼーが苦しくて頻繁に起きてしまうことも。
成長するにつれてだんだん発症する頻度も減るのが特徴ですが、なかにはそのまま本当の喘息になってしまうケースもあります。
小児喘息(アレルギー性気管支炎を含む)
喘息では風邪や咳をしていなくても呼吸のたびに喘鳴が聞こえたり、走ったり、冷たい空気を吸い込んだり、したときに咳が止まらなくなる発作を繰り返す病気です。幼児の喘息である小児喘息は風邪や大気汚染などさまざまな理由が原因として考えられますが、ダニやハウスダストなどのアレルギー物質への反応であることが多いようです。花粉症から喘息につながる場合もあります。
小児喘息のような症状が見られたら、アレルギー検査の必要があるか、などかかりつけ医と相談しましょう。
子どもの咳のホームケアと注意点
子どもの咳は、夜間や夜中に止まらなくなったり、ご飯が食べられないほど激しく出ることがあります。咳をすること自体も幼児の身体には負担がかかります。早く咳を止めるためのホームケアを眞々田先生に聞きました。
咳が3日続けば必ず受診
子どもの咳が苦しそうなときは早めに受診しましょう。咳が止まらない期間が最長でも3日以上続く場合は必ず受診しましょう。咳をすることで別の病気を合併したり、クループ症候群や肺炎といった重い合併症を引き起こすことがあります。
さらに子どもの場合は症状が急変することが少なくなりません。場合によってははげしい咳から呼吸困難に陥り、数時間足らずで悪化していくケースもあります。
・呼吸が苦しそう
・肩を大きく上下に揺らして呼吸をしている
・首の前やあばらが大きく動くような呼吸
・はげしくせき込んで息ができない
・いつもと違って顔色が悪い、動かない
などの症状が見受けられたら、速やかにかかりつけ医に連絡をしてください。
咳がひどいときは嘔吐に注意
幼児の喉は嘔吐反射が強いため、激しい咳をしたタイミングで嘔吐をすることがあります。ただし
“
咳と必ず一緒であれば、嘔吐はあまり 心配ないと思います
出典: AskDoctors
という、専門家の意見もあります。
一方、嘔吐してしまうほど咳がひどい、止まらないという状態は子どもによってもつらいでしょう。早めに受診をすることはもちろん、嘔吐物でのどを詰まらせてしまうことがないよう咳の症状が出ている間は子どもから目を離さないようにしましょう。
部屋の湿度を50~60%に保ち、温度もあげる
室内が乾燥状態だと、のども乾燥して咳が出やすくなります。また、窓などをあけっぱなしにしておくと、室内に冷たい空気や花粉が流れ込み、それが刺激となって咳が出やすくなることも。
乾燥する季節には室内の温度を暖かくし、濡れタオルや加湿器などで部屋の湿度を50~60%に保ちましょう。
充分な水分補給を心がける
痰がでやすくなる重要な条件のひとつが水分です。のどが渇き切らないように充分な水分補給を心がけましょう。
ただし、一度にたくさん飲ませると、むせてしまったり、咳を誘発する可能性があるので、少量を頻回に与えましょう。
マスクを活用
マスクをすると、のどや気管支に刺激となるものが体内に入るのを防具だけでなく、口内の湿度を保ち、咳を止めたり炎症を鎮める効果があります。大人だけでなく、幼児にももちろん同じ効果がありますので、咳が出るときには周囲への予防対策だけでなく、咳止め効果や改善を狙ってマスクをさせてください。
子どもがマスクをするのを嫌がる場合は、まずはママやパパがマスクを着用し、その後に「お揃いにしよう~!」と、声かけをしてみてください。ちょっと楽しく変装するような感覚で誘ってみるといいかもしれません。
寝るときは上体を少し起こした姿勢で
咳がひどいときや、喘鳴を伴う呼吸のときは、上体を少し起こした姿勢で寝ると、呼吸がラクになります。ベッドの場合は背もたれを活用したり、クッションや枕、毛布などを活用して上体を起こしてあげてください。
子どもがまだ小さくすぐに寝相が変わってしまう、というときは、仰向けより横向きに寝かせるだけでもよいでしょう。
背中を優しくトントン
子どもが痰を絡んだ咳をするときは子どもの背中をさすったり、やさしくトントンと触ってあげてください。痰が出やすくなり、咳がおさまる場合もあります。またとくに夜間の咳の場合、子どもによってはママやパパに優しくトントンされると一時的にでも治まることもあるようです。
普段から規則正しい生活を
咳はアレルギー物質への反応としても起こる症状です。幼児だけでなく大人も普段から栄養バランスのよい食事や十分な睡眠をとることで免疫をあげることでウイルスやアレルギー物質に負けないように心がけることも大切です。
万が一、咳が出る病気にかかっても、規則正しい生活を送ることで、咳が軽度で済んだり、早くに咳が止まったりということが期待できます。
子どもの咳を止めるために適切なホームケアを
咳は、のどや気管、気管支にウイルスや刺激が与えられることで出ます。子どもによっては止まらなくなったり、夜間に発作を起こすこともあります。
また、幼児の止まらない咳の病気としていくつか知っておくべき種類をご紹介しました。発熱のありなし、を含め、特徴を知って、早めにかかりつけの小児科医や医療機関を受診しましょう。さらに、ママやパパができるホームケアで止まらない咳を改善したり、呼吸をラクにしてあげることができます。加湿、マスク、規則正しい生活といった手軽にできるホームケアで子どもの咳の病気と闘いましょう。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
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