働くママの「本質美容」 「子どもの肌がカサカサ」この保湿ケアは正解?

働くママの「本質美容」 「子どもの肌がカサカサ」この保湿ケアは正解?

自身も子育て中の皮膚科専門医・小林智子先生が、忙しいママたちに贈る美容コラム連載。第4回のテーマは「子どものスキンケアについて」。大人と子どもとの違いや適切なケアの方法を知り、繊細な子どもの肌をしっかりと守りましょう。

小林智子
普段から外来で「子どもの肌がカサカサしていています」と相談を受けることがよくあります。

乾燥に対してなんとなく保湿クリームを塗ってみたりするものの、これでいいの?と感じている親御さんも多いのではないでしょうか。

小さい子どもの肌はまだ未熟な状態です。そのため乾燥しやすかったり、「あせも」や「かぶれ」など、ちょっとした肌トラブルを起こしやすかったりする傾向にあります。肌トラブルを抑えるために、どのようなケアを意識したらいいのでしょうか。

今回はそんな子どものスキンケアをテーマにお話ししたいと思います。
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※写真はイメージ(iStock.com/eldemir)

子どもの肌に「保湿」が重要な理由

まず、そもそもなぜ子どもの皮膚は乾燥しやすいのでしょうか。

その理由は、子どもの皮膚の特徴にあります。子どもの皮膚が大人と大きく異なるのが「バリア機能」です。

バリア機能とは、外的な刺激から肌を守ったり、からだの中から水分が蒸発するのを防いだりするのに重要な役割を果たしています。このバリア機能が低いとちょっとした刺激や環境の変化などによって肌トラブルを起こしやすくなってしまいます。
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※写真はイメージ(iStock.com/Kwangmoozaa)
もう少し詳しくお話しすると、子どもの皮膚は大人と比べて薄く、具体的には皮膚の最も表面にある表皮は新生児の場合大人の約8割、表皮の中でもさらに最も外側にある角層は約7割程度の厚さだと言われます。

表皮には元々バリア機能を担う保湿成分(天然保湿因子や細胞間脂質)が備わっていますが、子どもの皮膚では表皮が薄いことに加え、そういった保湿成分も少ないため、皮膚の中で水分を保持する力が低くなってしまいます。そのため子どもの肌は乾燥しやすいのです。

このように、小さい子どもの肌はバリア機能が未熟でちょっとしたことでも刺激を受けやすい状態です。

このバリア機能を高めるために大切なのが「保湿ケア」です。

つまり、保湿ケアを行うことによって乾燥による湿疹を防いだり、外からの刺激に対して肌の防御力を高めたりといった効果が期待できるのです。
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※写真はイメージ(iStock.com/comzeal)
それだけでなく、保湿によってバリア機能を高めることは、アレルギーの発症を予防する効果もあると考えられています。

アレルギーとはアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、喘息など多岐にわたりますが、これらは実は密接な関係にあり、アトピー性皮膚炎の発症を皮切りに他のアレルギーも次々に発症するということがわかっています(これをアレルギーマーチと言います)。

そして肌のバリア機能を高めることでアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症を抑える可能性があるということもこれまでの研究で報告されています。

保湿ケアはただ肌の状態をよくするだけでなく、アレルギーを予防するためにも大切なスキンケアの一つだということがお分かりいただけたかと思います。

「なんとなく」ではなく「適切」な量を塗る

さて、難しい話はここまでにして、ここからは実践編に移りたいと思います。

「保湿ケア」というと、やはり保湿剤を塗ることが大切。この保湿剤とは、医薬品から市販品まで広い意味での保湿アイテムを指します。
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※写真はイメージ(iStock.com/simarik)
ただ、何となく塗るのとポイントを押さえた上で塗るのでは、その効果は大きく変わってきます。

保湿効果を高めるポイントにはいくつかあります。

まず、「塗る量」です。保湿剤の剤型にもよりますが、適量として一つ目安になるのは、チューブタイプの軟膏やクリームは、人差し指の第一関節から指先までの量です。これで、大人の両手のひら分の面積分をカバーできます。

ただ、それが目安だと言っても、いちいち量を計算するのは面倒かと思います。保湿剤の量は多くても問題ありません。むしろ、乾燥した肌に先ほどの適量の2〜3割多く塗るとさらに保湿効果が高まるという報告もあります。

つまり、保湿剤は「多すぎるかな?」と思うくらいが正解。肌がテカテカするくらいのイメージで十分量塗ってあげましょう。
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※写真はイメージ(iStock.com/Hakase_)

選び方のポイントは「保湿力、テクスチャ―、塗りやすさ」

次に、「何を」塗るかです。

保湿剤にはさまざまな種類があります。市販のものでも、ローションタイプから軟膏タイプまで手に入れることができますが、一般的に軟膏タイプの方が保湿力は高いことが多いです。

では絶対に軟膏タイプがいいか、というとそういうわけではなく、「テクスチャー」や「塗りやすさ」も重要です。

保湿剤はお風呂上がりの状態が最も塗りやすいタイミングですが、この時さっと簡単に塗れるのはローションなどの剤型です。
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※写真はイメージ(iStock.com/Pilin_Petunyia)
実際私は息子にまずお風呂上がりにローションをさっと広範囲で塗って、それから乾燥しやすい首から肩、腕、腰部などは諸々落ち着いた後にクリームや軟膏を重ねて塗っています。季節によって使いやすい保湿剤を使い分けるのもおすすめです。

この保湿テクニックは子どもだけでなく大人でも有効です。

前回のコラムでもお話しましたが、お風呂上がりに乳液のような伸びのよいアイテムでささっと保湿して、後からクリームやワセリンを乾燥が気になるところに重ねて塗ると、保湿力も高まります。ぜひ忙しい方は試してみてください。
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※写真はイメージ(iStock.com/NadyaPhoto)
クリニックでは「ヘパリン類似物質」と呼ばれる有効成分が配合された保湿剤が処方されるケースがあります。

ヘパリン類似物質は天然保湿因子を増やしたりバリア機能を修復したりすることで高い保湿効果を発揮します。最近では市販の保湿剤でもヘパリン類似物質が配合されたものもあります。

保湿剤は必ずしも医薬品でなくてはならない、ということはまったくありませんので、先ほどお話したように塗りやすいものを十分量塗ってあげる、ということをまずは意識するようにしてみてください。

「朝晩、数カ所に分けてムラなく」が効果的

最後に「塗り方」も保湿ケアのポイントとなります。

まずは塗る回数。乾燥が特にひどい時は、夜のお風呂上がりだけでなく朝も塗ると保湿力が高まります。

そして塗るときは、手に取った保湿剤をそのまま塗り広げるのではなく、何カ所かに分けてから塗り広げると、塗りムラが少なく効率的です。

ちょっとしたことですが、これだけでも保湿効果は変わってきますので、ぜひ押さえておきましょう。
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※写真はイメージ(stock.adobe.com/Africa Studio)
ちなみに、使う保湿アイテムに厳密なルールというものはありません。

子ども用の保湿アイテムは、一般的にシンプルな処方で刺激が少ないように作られている傾向にあります。大人が使うものを子どもに使用するのもNGではありませんが、場合によっては美容成分などが刺激となる可能性もあるので、敏感肌用のものや子ども用のものの方が無難かと思います。

思春期に差し掛かると、ニキビで悩むお子さんも増えてきます。ニキビについて詳細は今回割愛させていただきますが、ニキビの場合でも、適切な洗顔、そして保湿が大切です。

思春期以降、ホルモンバランスの変化によって男性も女性も皮脂の分泌は増加します。その程度は性別以上に個人間で異なります。

そのため性別によってアイテムを分ける必要はありません。どの程度保湿が必要かはあくまで肌質に応じて。皮脂が多い肌に余計な油分は必要ありませんので、オイルフリーやノンコメドジェニックと書かれた、ニキビになりにくい保湿アイテムを選ぶといいでしょう。

特に乾燥しやすい幼児期はもちろん、皮脂の分泌が増える思春期でも、さまざまな肌トラブルを抑えるために保湿は一年を通して必要です。

今回お伝えした保湿ケアのポイントをしっかり押さえていただき、お子さんの健やかな肌作りをサポートしてあげましょう。
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小林智子

小林智子の記事一覧

皮膚科専門医、医学博士。アンチエイジングリサーチセンター研究員。2010年日本医科大学医学部卒業後名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。同志社大学アンチエイジングセンターにて糖化と肌についての研究を行う。また、食事と健康に関してレシピや情報などを医学的な立場から発信するブランド「ドクターレシピ」を監修。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)、『おくすり朝ごはん - 皮膚科医が肌荒れしたら食べる - 』(‎ワニブックス)など。2016年長男、2019年次男をアメリカにて出産。

2022年02月11日

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