働くママの本質美容「30代からのエイジングサイン、一発逆転できますか?」

働くママの本質美容「30代からのエイジングサイン、一発逆転できますか?」

毎日忙しいママは、自分の美容はおざになりがち。そんななかで、時間をかけてケアをするよりも「効率よく本質的な方法を知りたい」と考える読者も多いでしょう。そこで、自身も子育て中の皮膚科専門医・小林智子先生が美容コラムをスタート。第1回は「コスメや美容医療などによる一発逆転美容は可能か?」がテーマです。

30代からのエイジングサイン……一発逆転できる!?

30代になってから、それまで気にしたこともなかったシミやたるみといったエイジングサインが現れるようになった、という相談を受けることがよくあります。何かしなくては!とつい焦ってしまいますよね。

一方で、エイジングサインが気になり出す30代というのは仕事や出産、子育てなどとにかく多忙を極め、何かしなくてはとは思いつつ、実際はなかなか自分自身に時間やお金をかけられない、という方も多いのではないでしょうか。

実際に、子育てがひと段落したら……と思っているうちにかなり時間がたってしまい、シミやシワも増え、たるみも進行してしまいました……と切実におっしゃる方も大勢いらっしゃいます。

※写真はイメージ(iStock.com/Geber86)
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そんな忙しいママに、いわゆる「一発逆転」美容は可能なのでしょうか

今回は、そもそもエイジングサインがどのように進行してしまうのか、ということを皮膚科学的に紐解きながら、「一発逆転美容」について考えてみたいと思います。

シミは目立つようになってからでも改善可能

シミ、シワ、たるみ……。こういったエイジングサインは、もちろん個人差はありますが、基本的にその成り立ちは同じです。

まずシミは皆さんご存知の通り、紫外線ダメージの蓄積によって起こります。紫外線対策を今はしっかり行なっていたとしても、学生の時にテニス部などの外での課外活動に参加していたり、若いときによく海へ行っていたり、などの経験があるとやはりシミは若い時からできやすい傾向にあります。

シミについては、比較的目立つようになってから皮膚科を受診しても、改善することは可能です。

具体的には、シミに対する美容施術には大きく分けてシミの部分のみにレーザーを照射するやり方と、顔全体にIPLと呼ばれる光を当てるやり方があります。

どちらがより適しているかは、シミの範囲やシミの種類、またダウンタイムといって照射してから通常の肌の状態に戻るまでの期間などを総合的に考慮して決定していきます。

※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)
※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)

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シワは深いか浅いかでアプローチが違う

次にシワ。シワは皮膚に刻まれた「溝」のことを言い浅いタイプと深いタイプによって、アプローチが違います。

まず、浅いタイプのシワは乾燥が関係しています。

そのためしっかり保湿することで目立ちにくくなり、ある程度リカバリーが可能だと言えます。また、最近ではシワ改善を謳う医薬部外品もあるので、そういったアイテムもうまく活用するのもおすすめです。

※写真はイメージ(iStock.com/byryo)
※写真はイメージ(iStock.com/byryo)

一方、「一発逆転」が難しいのが深いタイプのシワ。

シワの形成には皮膚の真皮にあるコラーゲンやエラスチンといった繊維成分が大きく関わっており、このコラーゲンは、25歳を超えたあたりから加齢によって少しずつその量が減っていきます。加齢だけでなくそこに紫外線ダメージが加わるとさらにコラーゲンの質が大きく低下し、より深いシワを作ってしまうことがわかっています。

深いシワには、眉間やおでこ、目尻など一定の表情によって少しずつ深く定着してくるタイプの「表情ジワ」もあります。一度深く刻まれてしまったシワは、あらゆる美容施術をもってしてもなかったレベルに消すことはできません。

つまり、シワは深くなる前に対策をすることが何よりも重要です。具体的には表情ジワに対してはボトックスが有効ですし、それ以外のシワに対しては肌の再生を促すようなレーザーやマイクロニードル、ピーリングなどを行うこともあります。

たるみは状態によって適切な治療が異なる

最後にたるみ。たるみもシワと同様、真皮のコラーゲンなどが大きく関わりますが、それ以外にも脂肪や筋肉といった皮膚より深部のボリュームの変化や靭帯、筋膜の緩みなど、さまざまな要素が関わってきます。

その分、たるみはシワよりもその人のたるみ具合に合わせて適切な治療が異なります。

治療の中には、糸によって重力で垂れ下がった組織の位置を戻すやり方や、フェイスリフトといって余った皮膚を取り除くようなものもあります。これらの治療はある意味「一発逆転」が可能とも言える、ダイナミックな治療にあたるのではないかなと思います。

※写真はイメージ(iStock.com/Nastasic)
※写真はイメージ(iStock.com/Nastasic)

逆転を狙うより予防的エイジングケアを今すぐはじめるべし

さて、ここまでの話を聞いて、どんなエイジングサインでも一発逆転できるというわけではないことがお分かりいただけたかと思います。

では、何をすればいいのか?

実は、シミ、シワ、たるみのエイジングサインに共通するのは「紫外線ダメージ」に直結しているということ。そして、いずれも「紫外線ダメージ」が直結してきます。

そのために重要なのがUVケアです。「UVケアなくしてエイジングケアあらず」、つまり、UVケアをしっかりできていないまま高額なコスメや美容医療を行なってもそれは無意味に等しいのです。まず、このことを頭にばっちり留めておいていただけたらと思います。

※写真はイメージ(tamayura39- stock.adobe.com)
※写真はイメージ(tamayura39- stock.adobe.com)

その上で、これは非常に重要なことなのですが、できれば「一発逆転」しようというマインドは一度捨てていただくことをお勧めします

ここまでの話の流れでこう言うと「えっ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、エイジングサインが進行してしまってから美容皮膚科の扉を叩く方も大勢いらっしゃいますし、美容医療の進化によって、先ほどお話したように「一発逆転」も可能とするような美容施術も中にはあるのも事実です。

ただ、紛れもない事実として、エイジングという言うのは刻々と進行していきます。明らかに進行してから対策を打つ人と、早め早めに予防しつつ対策をしてきた人では、残念ながらシミの数や肌の質感、たるみの具合が大きく変わってくることを私たちは普段の診察の中で身をもって実感しています。

忙しい中でもUVケアを徹底して行うことは意識すれば誰でも簡単にできますし、ホームケアでもできるエイジングケアは他にもいくつかあります。

それにプラスして、たまに美容皮膚科でシワ予防のボトックスを行ったりシミ治療を受けたりするだけでも10年後のエイジングの針の進行具合は大きく変わってくるのです。

ぜひみなさんには、賢いエイジングケア、つまり「早いうちから始める予防的エイジングケア」を意識していただけたらと思います。

Profile

小林智子

小林智子

皮膚科専門医、医学博士。アンチエイジングリサーチセンター研究員。2010年日本医科大学医学部卒業後名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。同志社大学アンチエイジングセンターにて糖化と肌についての研究を行う。また、食事と健康に関してレシピや情報などを医学的な立場から発信するブランド「ドクターレシピ」を監修。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)、『おくすり朝ごはん - 皮膚科医が肌荒れしたら食べる - 』(‎ワニブックス)など。2016年長男、2019年次男をアメリカにて出産。

2021.12.24

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