幼児期からの英語教育と日本語への影響。2020年英語教育改革に向けて知りたいこと

幼児期からの英語教育と日本語への影響。2020年英語教育改革に向けて知りたいこと

英語教育は幼児期から始める方がいいと言われても、まず多くの人が不安に感じるのは、日本語に影響はないのかということかもしれませんね。今回は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が、さまざまな事例から、この不安にお答えしたいと思います。

何か国語も話せるヨーロッパの人々

ヨーロッパの人々は、何か国語も話せる人が多いということを、お聞きになったことはありませんか?国が陸続きなので交流が盛んであることや、ラジオやテレビから隣国の放送が常に流れてきて、


ごく自然に外国語を聞く環境にあるからです。


実際筆者の知り合いのドイツ人は、ドイツ語以外に英語とフランス語が堪能でしたし、フランス人の友人は、英語とスペイン語が話せると言っていました。彼らによると、それは自分の国では別に珍しいことではないと言っていました。

筆者も彼らに「常に外国語が聞こえてきて混乱することはない?」と聞いたことがあります。その時の彼らの答えは「まったくない!」というものでしたし、そんな話を聞いたこともないと言っていました。

何か国語も耳に入る環境で、何か国語も話せるようになっているヨーロッパの人々でさえ、母国語には全く影響はないと言っているのです。

インターナショナルスクールに通うハーフの子ども達

勉強する子ども

筆者が住む神戸にインターナショナルスクールがあります。筆者が知る生徒達は、英語圏の父親と日本人の母親というケースが多かったのですが、彼らは完璧な英語と、完璧な日本語を話していました。


むしろ、日本語は日本人の子どもよりきれいだと感心したものです。


もちろん親の姿勢にもよりますが、バイリンガルだからこそ、きれいな日本語を身に付けさせる努力をしたのだと思います。彼らもまた、英語と日本語で混乱することなどないと言っていました。

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筆者の英語スクールの生徒

現在筆者のスクールでは、3歳から6歳までの子ども達が、毎日ほぼ英語づけの生活をしています。「ほぼ」というのは、30分の日本語タイムを取っているからですが、


レッスンはもちろん遊ぶ時もランチタイムも英語で話すことになっています。


生徒はすべて日本人で、彼らはスクールでは英語を、家庭では日本語を話すという環境です。卒園時には英語での日常会話には全く困らないという状態になっていますが、そんな子ども達が、小学校や中学校で、日本語学習に障害が出ているという話など一度も聞いたことがありません。

筆者の懸案事項は、むしろ日本にいながら、身に付けた英語力をいかに維持するかということです。

幼児期に英語を聞き取れる耳を作る

ママと子ども

筆者は子どもの英語教育を携わってもう30年以上になりますが、この不安には、「まったく心配いらない」というのが答えです。

幼児期にはたとえ英語学習などしていなくても、変な日本語になることはあります。例えばテレビをテビレ、チョコレートをコチョレート、エレベーターをエベレーターと言ったりしますよね。

幼児は、英語も日本語と同じように単なる言葉と捉えているので、たまたま日本語の中に英語が入り込んで来たりすると、英語学習のせいで混乱していると思われてしまうのです。

幼児期に、一時的に変な日本語を使ったりしても、


日本に住んでいる限りまったく心配はいりません。


たとえ間違っても、間違いに気付く機会も修正する機会も山ほどあるからです。

ヨーロッパの人達のように、何カ国語もとは望まなくても、耳の柔らかい幼児期のうちに、せめて世界共通語である英語を聞き取れる耳を作っておいてあげませんか?


執筆:平川裕貴

平川裕貴

元日本航空CA。外資系英語スクールマネージャーを経て、1988年子ども英語スクールを開校。現在、英語プリスクールで、3歳から6歳までの子ども達を、幅広い視野と思いやりを持ったバイリンガルに育てている。また、スクール経営の傍ら、長年欧米文化に触れてきた経験から、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱する幼児教育研究家として活動。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』 に子ども教育評論家として出演。また、英語やしつけに関する記事を多数執筆。著書に『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』(アマゾン)

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2017.08.01

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