みなさんは子どもを褒める時、どんな言葉を使っていますか?子どものどういう部分を褒めていますか?褒めることは「その子の可能性を信じて伝えてあげること」だという、おへそ保育園園長の吉村直記さん。連載第4回目の記事をお届けします。
1985年8月11日佐賀市生まれ。
社会福祉法人みずものがたり 理事
小規模認可園「おへそ保育園」・幼保連携型認定こども園「おへそこども園」・放課後学童クラブ「おへそ学道場」 統括園長。
自ら考え、学び、行動し、情熱を持って社会に貢献できる人づくりを日々研究している。
執筆、講演活動、空手指導、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。
“できないこと”を見るより、“できること”を見てあげた方が、 子どもも嬉しいし、結果的に自分の強みに気づいていきます。「うちの子は勉強ができなくて」と思っていても体を動かすのが得意かもしれませんし、その逆もあります。すぐ泣いてしまう子は感受性が豊かだし、わがままに思える子は実は自分に素直な性格なのかもしれません。
園児の中に友達とうまく関われずに、つい手を出してしまうような子がいました。しかし、その子は幼い子にはとても優しく接することができることを私は知っていました。保護者さんがお迎えに来られた際に「○○君は、人に優しくする力を持っていますね。本当に素晴らしいと思います。」とその子にわざと聞こえるように大きな声で伝えたのです。
その時は聞こえないふりをしていたのか特に反応はなかったのですが、次の日、「先生、僕は優しいんだよ。友達に優しくできる力を持っているんだよ。」とわざわざ言いに来てくれました。その日の様子を見ていると、同世代の友達にも優しくする姿が見受けられました。その子は「優しさ」という可能性を信じてくれたことに応えようとしてくれているように私には感じました。
「最高の子育てベスト55」(トレーシー・カチロー著/ダイヤモンド社)によれば、スタンフォード大学のキャロル・デュエック教授は小学5年生の子どもを集めて無作為に2つのグループに分け、IQテストに取り組ませました。
1番目のグループには、「とてもいいスコアね。あなたは頭がいいのね」と伝え、2番目のグループには、「とてもいいスコアね。がんばって取り組んだのね」と伝えました。
その後、子どもたちへのテストを続けたところ、努力をほめられた子どもは、選択肢を与えられると、難しいテストに挑戦にしたがる傾向がありました。
学習意欲を感じ続けることを好み、問題が難しくなっても自信を保ち続けました。
逆に、頭の良さをほめられた子どもは、簡単なテストを選びたがり、問題が難しくなると自信を失い、スコアを自分で計算されると点数を水増しする傾向も見られたました。
デュエック教授の調査によれば、85%の親が「子どもが上手にできたときには、賢いと感じさせるために能力をほめることが必要だ」という意見に賛成していました。
子どもたちの評価は、結果ではなく、それまでの過程に焦点を当ててあげたいものです。結果が期待通りではなくとも、良い結果を出そうとした挑戦心と努力を認めてあげることで、失敗を恐れない心を身に着けていくのだと思います。
参考著書:いまの科学で「絶対にいい! 」と断言できる 最高の子育てベスト55(著者:トレーシー・カチロー/ダイヤモンド社)
つい私たちは“できないこと”に目を向けてしまいがちです。その子が今持っている能力を評価してしまいがちです。しかし、子どもというのは信じられて育っていきます。
身近な大人に「あなたは優しい」と言われると、「おお、そうなのかな」という具合に言葉に引っ張られて育っていくように思います。例えそれが、その子の中に未だ備わっていない力であっても、その子の可能性を信じて伝えてあげること。
疑われて嬉しい人はいません。「あなたを信じているから」そんな親の姿勢が子どもの可能性を伸ばす秘訣なのかもしれません。
吉村直記
社会福祉法人みずものがたり 理事・おへそグループ統括園長。
1985年8月11日佐賀県生まれ。5歳の時交通事故で父を亡くし、母に兄弟3人の真ん中として女手一つで育てられる。ロータリー財団の親善大使として派遣されメキシコ合衆国へ一年間留学。大学在学中に幼児教育に興味を持ち、関東の保育コンサルティング会社に入社。1年半で50件以上の保育園の立ち上げや運営に関わりながら乳幼児教育を学ぶ。
25歳でおへそ保育園園長に就任。現在、0歳~12歳までの子どもたち、障害を持つ子どもたちが共存する“おへそグループ” を統括。執筆・講演活動、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。
2017年03月26日
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ワンダーファイ株式会社
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