文部科学省が学習指導要領で推進しているアクティブ・ラーニング(能動的な学習)。その根底にあるのは「21世紀型スキル」の育成だと言われています。これからの時代に必須になるとされる「21世紀型スキル」とはなにか、それを幼児教育にどう取り入れたらいいかをご説明します。
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」。
これは、アメリカのデューク大学のキャシー・デビッドソン教授が、2011年8月にニューヨークタイムズ紙のインタビューで語った言葉です。従来の学校教育で育成されてきた能力だけでは通用しない、現代のグローバル社会を生き抜くための力、それが「21世紀型スキル」という概念です。
「21世紀型スキル」は、仕事観の変化に対応しようとする価値観でもあります。これまでは「一度就職したらずっと同じ会社で専門性を積み上げていく」仕事のやり方が主流で、教育カリキュラムもこれに合わせて組まれてきました。
しかし、21世紀に入り「仕事の内容は常に変化し、キャリアもそれに応じて変えていく」という価値観にシフトしつつあります。この変化に対応するためのスキルが「21世紀型スキル」なのです。
マイクロソフトなどの多国籍企業や、アメリカやオーストラリアなどの政府が運営する多国籍NPO法人「ATC21S」は、子どもたちが将来必要とするスキルを学校教育にどう取り入れるかといった研究をしています。その中で「21世紀型スキル」を以下の4つに分類しています。
・Creativity and innovation
創造力と革新
・Critical thinking, problem solving, decision-making
批判的思考、問題解決、意思決定
・Learning to learn / metacongnition (knowledge about cognitive processes)
学びを学習すること、メタ認知(認知プロセスの知識)
・communication
コミュニケーション
・collaboration
コラボレーション
・Information literacy
情報リテラシー
・Information and communication technology(IT) literacy
情報と通信技術(IT)リテラシー
・Citizenship-local and global
ローカルでグローバルな市民性
・Life and career
人生とキャリア
・Personal and social responsibility - including cultural awareness and competence
個人的、社会的な責任(文化的認識と能力)
前述の4つの「21世紀型スキル」を身につけるためには、まだ鉛筆が持てないほど小さいころから読み書きを学ぶ......といったやり方は必ずしも有効ではないかもしれません。それよりむしろ、遊びの中からコミュニケーションやコラボレーションが自然と身につくのではないでしょうか。また、幼児教育にITを取り入れる方法も考え直したほうがいいかもしれません。
計算や文字の読み書きといったわかりやすい成果が出るものを取り入れがちですが、もう少し長期的な視点を持って何を選ぶかがが重要になりそうです。つみ木やクレヨンと同じ場所にスマホやタブレット端末があるという環境があれば、それを道具として使いこなす力が身につくかもしれませんね。
「21世紀型スキル」のなかでも、いまの教育だけで十分身につけるのが難しいと言われているスキルが「働くツール」としての情報リテラシーやITリテラシーです。すでに情報やITは生活や仕事に切り離せない存在ですが、子どもたちが大人になるころにはますます欠かせないものになるでしょう。
今後、教育現場にどのようにITを導入するのかも議論され始めていますが、家庭でどのように取り入れていくかについても考えていく必要がありそうです。
「21世紀型スキル」を知ることを通して、子どもに必要な教育はなにか、ということを考えるきっかけになったと思います。園や習いごとの教育内容はもちろん大切ですが、家庭での教育方針や遊びの方法にも「21世紀型スキル」の価値観を取り入れてみてはどうでしょうか。
子どもがこれからの時代を生き抜くためのスキルを身につけるための基盤を幼児期にしっかりと作ってあげられたらいいですね。
2016年09月26日
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