週末が変わると、平日も変わる。子どもとの遊び方第2弾「家事をワクワクに変換する」

週末が変わると、平日も変わる。子どもとの遊び方第2弾「家事をワクワクに変換する」

日々のルーティンワークである家事ですが、子どもにとっては大好きなママやパパといっしょにできる「楽しいこと」かもしれません。でも、つい大人がやった方が早いと考えてしまいがちではないでしょうか。それをちょっとした心がけで「子どもといっしょにワクワクできること」に変換できると提案するのは、子育てに関する著書やメディア出演などで活躍中の久留島太郎さん。コラム第2弾です。

子どもも本当は手伝いたい?

幼稚園で働いていた時に保護者面談で「(うちの子が)料理のお手伝いをしたいと言うのですけれども、包丁は危ないし、忙しいのに時間はかかるわで、させてやれないんです」という保護者の声を聞くことがありました。

しかし、親が悩むのと同じで、子どもも悩んでいるのです。担任をしていたクラスの子どもからは「お手伝いしようと思ってるんだけど、台所に来ちゃダメって言われるんだよね。どうしてだろうね」と相談を受けたことがあります。

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子どもたちは大好きなママやパパがしていることをいっしょにしたいし、少し大きくなると力になって手伝いたいと願っているのです。

しかし、そんな思いを十分感じていても、子どもたちと一いっしょに料理をすると、洗濯をすると、掃除をすると、倍以上の時間と労力がかかってしまうというのも事実です。

ワクワクするための「プレイフル」という概念

しかし、そこにひとつの言葉を変換キーとして考えることで、出来ない理由探しのため息ではなく、出来る方法探しのワクワク感に変換することが出来ます。それは「プレイフル」という言葉です。

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科の上田信行教授は「プレイフル」という言葉の概念を次のように説明されています。


「プレイフル」とは、物事に対してワクワク・ドキドキする心の状態を指す言葉で、仕事を楽しむためのエンジンとして考え出した概念です。自分の行動や考え方を多角的にながめ、状況に応じて自らをコントロールすることができれば、仕事をより楽しく豊かにすることができます。


上田信行(2009)「プレイフル・シンキング」宣伝会議

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親子シェフでキッチンへ

家事は毎日繰り返される作業のひとつです。

今回の記事では、「料理」について考えてみます。忙しい平日は難しくても、まずは週末に「親子シェフでキッチンへ!」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


「できない」から「できる」への変換

「できない料理」から「できる料理へ」の変換です。「子どもたちにはさせてやれない」を「どうやったらさせてやれるか」とママやパパが子どもたちといっしょに考えながら「プレイフル」の概念を適用してみるのです。

そうすれば、子どものできないことを探すよりも、出来ることを見つけていくことのほうが楽しくなります。そしてそんな時間を過ごすことができた子どもは「任されること」の喜びや、「できること」が増えたことに満足感を味わうでしょう。

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パパ料理研究家が提唱する「子手伝い(こてつだい)」

ただ、ガイドもないまま0から考えるのは大変です。そこで,パパ料理研究家の滝村雅晴氏が提唱している「子手伝い」というヒントを紹介します。


お手伝いにならなくてもOK。
親子で料理するのが楽しいんだ。
―それが“子手伝い”―


そして、「子手伝い」に「殿様囲む(とのさまかこむ)子手伝い」という覚えやすいキャッチフレーズもあります。それは以下のようなものです。


とる
(枝から豆を、プチトマトのへたを、えびの背綿などを)

のぞく
(なべの様子を、電子レンジを、あさりの塩ぬきの様子などを)

さわる 
(いかを、魚を、ゴーヤなど食材全般の感触、手渡す)

まわす 
(野菜水きり器、溶き卵など)

かう  
(いっしょに買い物など)

こねる 
(餃子、ハンバーグ、ピザなど)

むく  
(皮など)

パパ料理研究家 滝村雅晴 オフィシャルブログ

さて、ここまでくれば「親子シェフへの道」が見えてくるのではないでしょうか?例えば、メニューを子どもの好きなハンバーグだとします。

まずは仕入れ。いっしょに食材を買いに行きます!市場に行く感覚で!【かう】。

次に下ごしらえ。玉ねぎの皮をむく【むく】。サラダ用のプチトマトのへたを取る【とる】。レタスを口に入る大きさに千切る【さわる】。玉ねぎをヘラを使って炒める【まわす】。玉ねぎの色が変わってくるのを見る【のぞく】。ひき肉と玉ねぎを炒めたものをいっしょに揉む【こねる】。
 
なんか楽しく思えてきませんか?できない理由を探すよりも,出来る方法を探す。それが「プレイフル」なのです!

家族で楽しくシェフごっこ

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ぜひ家族でシェフになって遊びませんか。週に1度でもそんな機会があると子どもたちもきっと大満足ですし、何年かしたら本当のシェフになって家の台所で活躍してくれるかもしれません。

台所は大人の背の高さ向けなので、小さい子どもには手が届かなかったりします。そんな時には踏み台を準備すればよいのです!せっかくなので「子手つ台(こてつだい)」という踏み台を作ってもおもしろいです。(このD.I.Y.の話はまたの機会にしたいと思います!)

それではよい週末を!

執筆:久留島太郎

Profile

久留島太郎(植草学園短期大学准教授)

久留島太郎(植草学園短期大学准教授)

植草学園短期大学准教授。私立幼稚園、国公立幼稚園、公立小学校の教諭を経て現職。「NPO法人タイガーマスク基金」理事。社会福祉法人房総双葉学園理事。「NPO法人ファザーリング・ジャパン」元理事。4人の息子の父親としての立場、保育にかかわる教員としての立場、社会的養護を必要とする子どもたちと接する立場から、子どもたちが育つ「環境」を考えることをフィールドとしている。著書に『新しいパパの教科書』(学研)、『3歳までの子育ての教科書』(アスコム)。

2017年06月23日

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