創造力・想像力を育てるシュタイナー教育のおもちゃとは

創造力・想像力を育てるシュタイナー教育のおもちゃとは

ひとりひとりの個性を尊重し、身体・心・頭をバランスよく育てることを大切にしているシュタイナー教育。この教育法で用いられるおもちゃは、一般的なおもちゃとは少し違うようです。どのような種類のおもちゃがあり、特徴や遊び方はどう違うのか。また、シュタイナーのおもちゃを取り入れた保護者の体験談などを紹介します

シュタイナー教育とは

※写真はイメージ(iStock.com/South_agency)
※写真はイメージ(iStock.com/South_agency)

シュタイナー教育とは、ひとりひとりの子どもが能力を最大限に発揮できるよう、個性の尊重を重視した教育法です。

哲学者であるルドルフ・シュタイナー博士が提唱し、ドイツを中心にヨーロッパやアメリカなど世界60カ国において1000校以上が実践し、約100年もの歴史を持ちます。

日本においては、1980年代に不登校児童が通うフリースクールの先駆けとして取り入れられましたが、現在はシュタイナー教育を実践する幼稚園や小中高等学校も増えています。

教育の特徴としては、0~7歳までは身体、8~14歳までは心、15~21歳までは頭を育てるとしています。

シュタイナー教育のおもちゃの特徴

シュタイナーの教育理論では、0~7歳の子どもは、周りの人や物を無意識に真似するとし、この時期に与えるおもちゃはなるべく自然なものに近い素朴なものが望ましいとされているようです。

そのため、教育現場で用いられるおもちゃは自然素材(木や布など)のおもちゃ、本物の楽器など。シュタイナー教育に基づいたおもちゃは、子どもたちの想像力や創造力を育てると言われています。

代表的なおもちゃ

シュタイナー教育で用いられる代表的なおもちゃを紹介します。


蜜ろう粘土

※写真はイメージ(iStock.com/recep-bg)
※写真はイメージ(iStock.com/recep-bg)

蜜ろう粘土とは、ミツバチの巣を構成しているロウを精製した「蜜ろう」から作られた粘土。常温では固く、遊ぶときには手で温めてからでないとうまく扱えません。粘土の感触に集中することで、想像力を働かせ、感覚を研ぎ澄ませる時間を過ごします。

また、蜜ろう粘土は粒子が細かいため、普通の粘土よりも緻密な作品を作ることが可能です。さらに時間が経つと固まるため、気に入った作品を保存できる点でも他の粘土とは異なります。


木のつみき

シュタイナー教育では、木を切りっぱなしにしたような自然を活かしたつみきが用いられることが多いです。もちろん本当に切りっぱなしなわけではなく、ケガなどがないようにオイルを塗って仕上げられています。ニレ、ブナ、白樺などさまざまな素材を使ったものがあります。

木目や木の皮が自然そのままなので、同じものはどこを探してもなく、つみきのひとつひとつに愛着がわくのかもしれません。


プレイクロス

シルク素材のプレイクロスにはさまざまな使い方があります。たとえば、ごっこ遊びの中で、腰に巻いて衣装にしたり、肩に巻いてマントにしてみたり。製作遊びでは、青い布は海、緑の布は山などに見立てて使うこともできます。

また、季節ごとの飾り付けに使ったり、リトミックに使用したり、発想次第で使い方は無限大です。


ウォルドルフ人形

※写真はイメージ(iStock.com/FatCamera)
※写真はイメージ(iStock.com/FatCamera)

ウォルドルフとは、ドイツでシュタイナー学校として最初に開校した「ウォルドルフ学校」からきている言葉です。

一般的な人形と比べ、目や口が小さく表情が分かりにくい特徴があります。そのため、子どもは想像力を働かせ人形の感情を想像したり、人形に対して働きかけをすることができるようです。


楽器

シュタイナー教育では音楽に合わせて身体を動かし、表現することで他者との調和を大切にしています。特に「ライアー」「グロッケン」など本物の楽器を用いて、感性を育んでいます。

また、それらの楽器だけではなく、身近なものを使って楽器を手作りして演奏を楽しむこともあります。

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コストを抑えるには?

シュタイナー教育のおもちゃは天然のよい素材を使っていることが多く、購入しようとすると高価であるため、一般的なものに比べるとハードルが高いと感じる保護者もいるかもしれません。また、子どもが気に入ってくれるか分からないから、いきなり高価なものを買うのはためらう、という人も少なくないでしょう。

そこで、コストを抑えながら、シュタイナーのおもちゃで遊ぶ方法を紹介します。

※写真はイメージ(iStock.com/sanjeri)
※写真はイメージ(iStock.com/sanjeri)

木製のつみきやおままごとのセットなどは、手作りをする保護者もいるようです。その際の注意ポイントは、

・角がないように、よくやすりをかけること

・天然のオイルを塗って劣化を防ぐこと

・自然の色合いを大事にするため、過度な装飾はしないこと

などがあげられます。

パパやママが作ってくれたおもちゃは、子どもも特別に気に入ってくれるかもしれませんし、簡単なものは親子でいっしょに作ってみるのも楽しいでしょう。

特におままごとやお店屋さんごっこは、身近なもので手作りしたり、家にあるもので代用がしやすいです。

・白や黄色の毛糸を切って、麺に見立ててみる

・木の実や落ち葉を拾ってきて、お店屋さんごっこに使う

・青いハンカチを海に見立ててお人形で遊ぶ

などをやってみるとよいかもしれません。ママ・パパよりも子どものほうが柔軟な発想で、遊びを次々に発展させていくことでしょう。

高価なものを使う必要はありません。100円均一ショップの手芸コーナーにある材料や、公園に落ちている葉っぱなど、工夫次第でどんなものでも楽しむことができるでしょう。

体験談

子どもをシュタイナー教育のおもちゃで遊ばせた経験のある保護者から話を聞きました。

2児のママ
2児のママ

娘は普通の保育園・小学校に通っているので教育として取り入れたことはほとんどありません。ただ、有名人が紹介していたことからシュタイナー教育に興味を持ち、シュタイナーのおもちゃではよく遊ばせていました。

ウォルドルフ人形はなんともいえない温かみがあり、今でも自分の分身のように気に入っているようです。木のつみきなどは小さいうちはよく遊んでいましたが、大きくなるほど他に刺激の強い遊びを選ぶことも増えたように思います。

想像力や創造力を育むと言われていますが、今の段階では何とも言えません。目に見えるような結果というのはわかりにくいと思いますが、なにかよい影響をもたらしていたらいいなと思っています

1児のママ
1児のママ

シュタイナー教育の幼稚園にプレ入園で通わせています。本当に素朴なおもちゃや遊び方が多く、子どもと一緒に遊んでいると私もホッとしたような気持ちになります。

たとえば編み物で細長い紐を作って、それで遊んだり。最初は「これで楽しめるの?」と少し疑問でしたが、子どもは引っ張ったり、他のおもちゃをぶらさげたり、形を作って遊んだり。子どもの柔軟さを目の当たりにしました。

想像力・創造力を育てるおもちゃを取り入れてみては

※写真はイメージ(iStock.com/klaptoman)
※写真はイメージ(iStock.com/klaptoman)

幼児教育にはさまざまな考え方があるので、ママ・パパたちは我が子や自分に合った方法を選択していくことでしょう。その中で、「素敵だな」と感じたことがあれば、部分的に取り入れることもよいかもしれません。

シュタイナー教育のおもちゃの素朴さ、想像力・創造力を育てる点は、気になる保護者もいるはず。今回紹介したように、高価なものを購入しなくとも身近なものでも楽しめるので、是非取り入れてみてはいかがでしょうか。


<執筆>KIDSNA STYLE編集部

2022.08.04

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