教えて、てぃ先生×高濱先生! 小手先の勉強ではなく生涯役立つ力の育み方

教えて、てぃ先生×高濱先生! 小手先の勉強ではなく生涯役立つ力の育み方

子育てに関するママパパのさまざまなお悩みに、現役保育士のてぃ先生とKIDSNA編集長・加藤が赤裸々にトークするKIDSNA TALK。今回はスペシャルゲストとして花まる学習会代表の高濱正伸先生との対談が実現!教育をテーマに「コロナ禍で子どものためにできること」「生涯にわたって役立つ力の育み方」について、てぃ先生と熱くトークします。

KIDSNA TALK
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加藤
最初のテーマは少し前にニュースで話題になっていたのですが、コロナ禍で子どものIQが心配されているそうです。

高濱先生は、子どもの体験に関わることをたくさん実施されていますが、どう感じておられますか。
高濱先生
今まさにすごくホットな話題。先日久しぶりに授業をおこなったんですが、いろいろな意味で不安が蔓延していて、行きたくないと泣く子やちょっと忘れ物をしただけで号泣する子もいました。不安がすごくいっぱいあるのをヒシヒシ感じて、影響は深刻です。

ひとつは、子どもの感染リスクに対する不安や、先の見えない心細さといったお母さん自身の気持ちが子どもにもうつっているなと感じます。

IQの話も納得する部分はあります。ある年中さんが「帰る!」と泣き出して、「帰ってママとYouTube見たい。ママとYouTube見ることだけが楽しみだったんだ」と言うんですよ。

多くの子が、今年の夏も外出はあまりできず、外で自由に遊んだり、何かを集めたりすることはできなかったんですよね。子どもたちは家の中だけで過ごして、何かにのめり込むことが難しい状況ではある。
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加藤
コロナ禍であまり外出ができない中で、子どもの脳に刺激を与えるためにどんなことができますか?
てぃ先生
家の中だけに限定しないで、公園に行くだけでもずいぶん違うと思いますけどね。教育業界だとよく言われますが、家の中にいるより、外に一歩出たほうが五感をフルに刺激されるからいいんです。雨の日でも、傘をさしたりレインコートを着たりすればいいわけだし。
高濱先生
雨は雨で、子どもはめちゃくちゃ楽しいですよね。別に公園じゃなくても、ちょっと散歩するだけでも発見はありますね。

何も「大自然」を求めなくてもいいんですよ。家の外にはいろいろな生き物がいるし、四季折々で葉っぱの色や雲の形、においの変化に気付いたり、外に出るだけで子どもの脳はさまざまなことを感じます。だから小さい頃は公園にたくさん連れて行くだけで十分。
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てぃ先生
おうちの中でも五感が使えるような遊びはありますよ。たとえば袋の中に、スポンジ、フォーク、熊のぬいぐるみという素材の異なるおもちゃを2、3種類くらい入れて、「中を見ないでスポンジを出して」ってやると、視覚と聴覚に頼らずに触覚をすごく使います。五感を刺激するような遊びを取り入れていくといいと思いますね。
高濱先生
こういうアイデアが過不足なくパッと出るてぃ先生、素晴らしい!

家でできることも工夫次第でいっぱいありますね。てぃ先生がパパだったら無限にいろいろしてくれるでしょうね。影絵とか。
てぃ先生
宝さがしとかもいいですよね。
加藤
うちの娘は中学生なんですが、最近すごく影絵にハマっていて、YouTubeで調べて家の中でやってます。
高濱先生
ちなみに、影絵は算数的に「投影図」というものだからすごく意味があります。平面の図から立体を想像しないといけない。丸いから球体かと思ったら、筒状だったり。
てぃ先生
苦手だった~!サイコロが10個くらい並んでいて、後ろには何個サイコロがあるでしょうとかも、ほんと苦手でした(笑)。
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加藤
でも単に問題として図で見るより、実際に自分がやっていくほうが学びにはなりますよね。
高濱先生
サイコロや積み木があれば、単純にどこまで積めるか挑戦するだけでもものすごく集中力を必要としますし、それをパッと見て「何個ある?」とクイズにするのもいいですね。クイズ形式でやれる遊びはとくにいいですよ。
てぃ先生
いいですね、親子で一緒にやると子どもも楽しいですし。
高濱先生
あとは料理もすごくおすすめ。栄養素的なことを知るだけじゃなく、塩や砂糖は人間に絶対必要だけれど、多すぎたらまずくなるので加減をみる必要があるし、もっとおいしくなるためにはどうするかを考えなければいけない。

ゼロから作らなくても、いろいろな惣菜を準備して、一番キュートに盛り付けられるのは誰か家族で競うとか。ちょっとした工夫や遊びを入れるとなんでも面白くなります。

理科的ならたとえば、お風呂にホースで水を溜めて、蛇口に繋いだホースが抜けると逆流することで気圧や圧力を学べる。

僕自身、真っ暗な廊下に立って洋服と下着の間に化繊系の静電気がバチバチと出る瞬間や、表面張力を最初に習った日のことをすごく覚えてます。日常の中に驚きも学びもいっぱいあるから。
加藤
こうして聞くと家の中にもヒントはたくさんあって、心配ばかりしていないで、違う方向に目を向けたら、いくらでも子どものためにできることってありますね。
高濱先生
無限に考えられますよね。しかも子どもは絶対に熱中する。
てぃ先生
身近なものだったら、子どもってスマートフォンが好きだけれど、YouTubeやゲームだけじゃなく、たとえばカメラを起動して「青のものを10個撮ってきて」って言ったら喜んで撮ってくるんじゃないですか。
高濱先生
花まる学習会でもやっているのが、アップで写真を撮って「これはどこだ?」というクイズ。3歳くらいからできるし、めちゃくちゃ盛り上がりますね。大きさが分からないと意外と難しくて、「これは何の部分だろう?」って観察力も身に付きます。
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加藤
次はちょっと壮大なテーマになります。これから先、小手先の点数アップのための勉強だけではなく、生涯にわたって活かせる力を育む学習が必要になってきますが、そのためには何にどのように取り組めばよいでしょうか。
高濱先生
このテーマだけで90分講演になります(笑)。前回もお伝えしましたが、読み書き計算、それに姿勢がいいとか、嘘をつかないとか、宿題をコツコツするみたいな部分は基盤なんですよ。やれなきゃいけない部分だけれど、誰でもやれる部分でもある。

そのうえで、ものすごく数学が得意だったり、ロボットが作れたり、自分の武器になる力がこれからの学力と言われています。

STEAM教育はScience、Technology、 Engineering、Art、Mathematicsの略ですが、面白いのはいろいろな科目を押しのけて算数が入ってること。
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高濱先生
てぃ先生みたいに感性が豊かで、子どもへの愛が人一倍あって自分の道を作る人もいるから、一概には言えませんが、これからは、一般的に何を目指すにしても算数を好きで損はない時代。

経済だけじゃなく、心理学をやるにしても、統計学が分かっていなければ明確なことは言えないし、笑われてしまうでしょう。

証券、宇宙、ロボット、プログラミング、今後、グローバル化がさらに進む世界で戦うためにも、理数系の力を大好きにしておいてあげると、やれることの幅はかなり広がるといわれています。単純な計算の練習というより、先ほどの立体や影絵から想像する思考力のほうですね。
加藤
算数から数学に変わる時に、かなり難しくなりますよね。
高濱先生
一般的に女性のほうが算数が苦手というイメージがありますが、僕の教え子で医学部や東大の理系に行った女性もいます。

小学生時代は普通の子でしたが、自分の分からないところの振り返りを復習ノートで徹底的にカバーしていたんです。

重要なことは、大人からやらされてやるのではなく、自分で考え続けること、興味を失わないこと。そしていろいろな経験をしておくこと。算数を好きになるために、パズル、囲碁、将棋などは、かなり具体的な力になります。

もちろんアートや人間力で勝負する世界などもありますから、それぞれ得意分野を活かすことが重要です。わが子の基礎の力の上にくるのがどんな力かイメージしてみてください。

てぃ先生みたいな人間力のある人は食いっぱぐれないので間違いありません。AIが全部やってくれる時代になるからこそ、「あの先生に習いたい」「あのお店で買いたい」って思うわせるようなものが生き残ると言われています。
加藤
自分の子の適正をどう見極めるのかが難しいですよね。
高濱先生
それもよく言われるんですけど、自然となっちゃうものだから。

僕自身も3年生の頃の先生に言われた「このパズル解けたのは高濱君だけだったよ」の一言が成功体験になって「俺はパズルが得意だからこっちで行こう!」と決まりましたから。

てぃ先生を見て、「保育士になりたい!」と憧れを持つ子もいるでしょうし、大人は子どもの適正を見極めようとばかりしないで、まずは経験や憧れを与えていきましょう。
加藤
たくさんやらせた中で、一番子どもがキラキラしているのは何か、ですね。
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てぃ先生
保育園で教えることも、結局本人にとって本当に必要なものじゃなければ忘れちゃうんです。そういう意味では、「自分のために勉強」と言われても、子どもはあんまりピンとこないのかもしれません。

たとえば折り紙を「自分のために作品を作ろう」と言うより、「今日覚えた折り紙をおうちに帰ってママに教えてあげてね」と言うと、途端にやる気になって覚えるんですよね。

つまり「人に見せる」とか「人に教える」という経験が、ひとつの動機になるのかなと。お受験とかでうまくいきやすい子も、親は単に子どもにお勉強をさせるんじゃなくて、「学んだことをパパママに教えてね」と言うそうです。本人にとっても振り返りになるし、さらに人にアウトプットする力を養っていける。

なので、個人で勉強するだけじゃなく、チーム学習や、教え、教えられみたいな関係も必要なんだろうなと思います。
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高濱先生
まさに、教育の世界ではすでに「教える」ことが一番伸びるといわれています。人に分かるように教えようと思ったら、まず自分が本当に理解していないとできないし。

考え方の要点を教えられるかどうかは、すごくポイントなんですよね。教えることは損じゃなく、教えた側こそ伸びるんですよ。
加藤
親ができないと、子どもも喜んで「じゃあこの問題は?」とかどんどん出してきますよね。そうするときっと子どもも教える楽しさを感じられる。
てぃ先生
ママもパパも忙しいと、片手間で「ふーん」って言ったりしていますよね。
加藤
私は娘の学習内容が自分の時代と変わっていることが多くて、「何それ?」って子どもに聞くことが多いですね。
高濱先生
そういう親の反応も大事ですよ、「初めて知った!」とかオーバー気味にリアクションをとってあげる。「教えて教えて」ってどんどん聞いてみてください。
次回の更新は9/29(水)予定です。お楽しみに!

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2021年09月22日

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