出産費用の平均。医療費控除など自己負担額を軽くする制度

出産費用の平均。医療費控除など自己負担額を軽くする制度

出産を控えていたり、将来的に妊娠を考えたりするときに気になるのが出産費用。子どもを産むときにかかる費用を知り、安心して出産を迎えたいですよね。費用の平均や内訳、出産時に活用したい補助金や制度などをご紹介します。

保険適用されない出産費用

妊娠すると、出産にかかる費用が気になるのではないでしょうか。これから妊娠を希望する人も、出産費用について気になるかもしれません。

妊娠や出産は病気やケガではないため、原則として正常分娩の場合、健康保険が適用されません。一方で、出産費用を補助するための公的制度もさまざま。

出産にかかる平均費用や内訳、出産にかかる費用負担を軽減するための制度などをご紹介します。

出産費用の全国平均は約45万円

厚生労働省の「出産育児一時金について」によると、公的病院の出産にかかる費用平均は、443,776円です。
 
 

都道府県別の平均出産費用

住んでいる地域によって出産費用は異なるようです。都道府県別の平均出産費用について見てみましょう。
 
 
厚生労働省による2019年の「公的病院 都道府県別出産費用」をもとに、ランキング順に見てみましょう。

<出産費用の高い都道府県>
  1. 東京都 (536,884円)
  2. 神奈川県(486,464円)
  3. 宮城県 (473,158円)
<出産費用の安い都道府県>
  1. 鳥取県 (341,385円)
  2. 沖縄県 (342,826円)
  3. 奈良県 (367,467円)
出産費用の最も高い東京都と、最も安い鳥取県の差額は195,499円。およそ20万円の地域差があることがわかります。

特に出産費用の高い都道府県では、出産育児一時金に上乗せする形で自治体独自に助成する制度もあるようです。

出産場所による費用の平均

総合病院のほか、民間のクリニックや診療所など、どこで出産するかによって出産費用は異なります。

公的病院
国公立病院、国公立大学病院、国立病院機構など

私的病院
私立大学病院、医療法人病院、個人病院など

診療所
官公立診療所、医療法人診療所、個人診療所、助産所など

出産場所による費用の平均は以下のとおりです。
 
 

出産費用の内訳

入院から出産を経て、退院するまでの期間はおよそ6日ほど。出産にかかる費用の内訳を詳しく見ていきましょう。

入院料
入院にかかる室料、食事にかかる費用

分娩料
分娩時にかかる費用
新生児管理保育料
検査・薬剤・処置・手当を含め、新生児のお世話にかかる費用

検査・薬剤料
産後(産褥期)も含め、妊婦の検査・薬剤にかかる費用

処置・手当料
産後(産褥期)も含め、妊婦への処置、乳房ケア、産褥指導にかかる費用

室料差額
希望して差額が必要な部屋に入院した場合の差額分
産科医療補償制度
出産時に重度脳性まひとなった場合に補償する制度の掛け金に当たる費用

その他の費用
上記に含まれない文書や材料にかかった費用、お祝い膳などの医療外費用

出産に伴うその他の費用

妊婦健診費用

健やかな妊娠と出産のために、少なくとも毎月1回、妊娠7カ月以降は2週間に1回、10カ月以降は毎週1回の頻度で妊婦検診を受診することが厚生労働省により定められています。

一般的に妊婦健診を受診する回数は14回程度です。厚生労働省が全国1,741の自治体に調査を行ったところ、妊婦健康診査の公費負担額平均は、105,734円でした。

しかし、自治体ごとに妊婦検診の費用を助成する「補助券」の配布があり、自己負担額を抑えることができるようです。

出典:すこやかな妊娠と出産のために/厚生労働省

出典:妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について/厚生労働省

分娩予約金(入院保障金)

病院や出産施設によって、その施設で出産することが決まった時点で、分娩予約金(入院保証金)を支払う場合が多いようです。

費用は施設や分娩方法、直接支払制度の利用有無などによりさまざまですが、5~40万円必要になるようです。

基本的には、分娩予約金は、入院費用に充てられ返金(精算)されます。

マタニティ用グッズ、ベビーグッズ

上記以外で必要になるのがマタニティ用品と、ベビー用品です。

マタニティウェアや、マタニティ用の下着、母乳パッドなどを用意する費用がかかるでしょう。

赤ちゃんのためのグッズは、さらに多岐にわたります。新生児用の肌着やおむつ、おくるみ、哺乳瓶、粉ミルク、ベビーソープ、ベビーオイル、おしりふき、ベビーベッドなど。

生まれたばかりの赤ちゃんが快適に過ごせるようにするためのグッズを揃えるためには、ある程度まとまった費用がかかりそうです。

出産時に活用したい補助金や手当

出産育児一時金

加入する健康保険から、出産育児一時金が支給されます。健康保険や国民健康保険などの被保険者、またはその被扶養者が出産したときに支給される費用です。

支給額は一児につき42万円(多胎児出産の場合は胎児数分だけ支給)、産科医療補償制度加算対象出産ではない場合は、40万4000円支給されます。

<提出先>
直接支払制度:医療機関等(病院・診療所・助産所)
受取代理制度:産科医療補償制度加算対象外の診療所・助産所

出典:子どもが生まれたとき/全国健康保健教会ホームページ

出産手当金

本人が健康保険に加入している場合は、出産日以前の42日から出産翌日以降56日までの間、出産手当金を受け取ることができます。

出産が予定日より遅れたときは、遅れた期間の分支給されます。また、多胎児妊娠の場合は出産翌日以降98日が出産手当金支給の期間となります。

出産手当金の計算式は以下のとおりです。支給開始日とは、最初に給付金が支給される日のことを指します。
 
 
<提出先>
加入している健康保健
(勤務先に申出)
出典:出産で会社を休んだとき/全国健康保険協会ホームページ

高額療養費制度

長期の治療や入院で医療費の自己負担額が高額となった場合、高額療養費制度の対象となる可能性があります。

健康保険が適用されるケースが対象になるため、自然分娩は対象外となりますが、切迫早産や妊娠悪阻による入院、帝王切開などで入院になった場合は、対象になる場合があります。

<提出先>
加入している健康保健
(勤務先に申出)

出典:健康保険高額療養費支給申請書/全国健康保健教会ホームページ

医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に自費で支払った医療費が一定額を超える場合、かかった費用に応じて所得控除を受けられる制度のことを指します。

妊娠してからの定期検診や検査費用、病院に対して支払う入院中の食事代、通院費用(公共交通機関を利用した場合のみ)、出産で入院する際のタクシー代などは、医療費控除の対象となります。

実家で出産するために帰省する交通費は、医療費控除の対象外ですが、出産後の一カ月健診は自費で支払った金額について対象となります。

<提出先>
納税地を所轄する税務署

出典:医療費控除の対象となる出産費用の具体例/国税庁

傷病手当金

つわりや妊娠合併症のため入院したり出社できない場合、本人が健康保険に加入していれば、傷病手当金を受け取ることができるかもしれません。

支給対象期間は、3日連続で出社できない場合の4日目以降(最長1年6ヵ月)の期間で、給与の支払いがないことが条件となります。

支給される傷病手当金の費用の計算式は、出産手当金と同じく以下のとおりです。
 
 
<提出先>
加入する健康保険
(勤務先に申出)
出典:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)/全国健康保健教会ホームページ

所得税の還付金

出産のため年度の途中で退職し、年末調整を受けていない場合、所得税の還付を受けることができます。

確定申告により所得税の還付を蹴ることができますが、確定申告期間とは関係なく、退職した翌年1月1日から5年間提出することが可能です。

<提出先>
納税地を所轄する税務署

出典:中途退職で年末調整を受けていないとき/国税庁

出産費用を確認し、安心して出産に備えよう

iStock.com/paulaphoto
iStock.com/paulaphoto
子どもを産むときにかかる費用は、国公立病院、国公立大学病院、国立病院機構などの公的病院の場合、全国平均で約45万円。私立病院や個人産院の場合は、さらに高額になる場合もるようです。

また、出産費用の平均は都道府県ごとに差があり、自己負担なく出産育児一時金の42万円で足りる地域がある一方で、費用がかさむ地域もあることがわかりました。

いずれにしても、出産費用の負担を軽減する公的な補助や手当があるため、これらを加味しながら出産のマネープランを立てるとよいかもしれません。

事前に子どもを産むときにかかる費用を把握し、安心して出産に臨めるとよいですね。

2021年04月28日

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