世界最古の鉄道駅から"アナログ時計"が消えた…英国の鉄道会社がデジタル化に踏み切った"切ない理由"

世界最古の鉄道駅から"アナログ時計"が消えた…英国の鉄道会社がデジタル化に踏み切った"切ない理由"

18~24歳の2割が時計を読むのに苦労している

駅のコンコースや公共施設で目にする、親しみやすい大時計。だが、手元のスマホで時刻を簡単に確認できる今、そのあり方が問われている。日本では経費削減のために撤去の動きがある一方、イギリスでは「世界最古の鉄道駅」でデジタル式にリニューアル。海外メディアは、アナログ時計が消えゆく「切ない理由」を報じている――。

半世紀ぶりのデザイン変更

世界最古の鉄道駅のひとつであるロンドンブリッジ駅のコンコースに、直径1.8メートルの巨大な時計が姿を現した。

10月16日、イギリスの鉄道網を運営するネットワーク・レールは、新しい統一時計デザイン「レール・クロック(Rail Clock)」の実物版となるこの大時計を初披露。黒と赤を基調とした文字盤は円形となっており、アナログ時計を思わせる。だが、時針も分針も一切存在しない。文字盤全面をLEDディスプレイとし、時刻を数字で表示するデジタル時計だ。


文字盤の中央には、24時間表記の数字を大きく配置。数字は専用フォントの「レール・アルファベット2」を採用し、遠くからでも視認性が高い。文字盤の外周部では、同社のロゴにも使われている赤いダブルアロー(二重矢印)が周回。互いに反対方向へと動きながら円周を巡り、秒を表現する。

伝統的なブリティッシュ・レール(British Rail)のアイデンティティを受け継ぎながら、明快でモダンな印象を与えている。1974年のデザインマニュアル策定以来、実に半世紀ぶりにデザイン一新。「駅の大時計といえばアナログ式」の常識を覆し、現代風のデジタル表示と高品質のLEDディスプレイを搭載した。

このデザインは同社のデザイン標準として、他の駅の時計やスマホアプリでも共通して展開される。ロンドンブリッジ駅に登場した大時計だけでなく、同社の標準デザインがアナログからデジタルに移行した。

アメリカの若者「アナログ時計は教科書で見たけど……」

もっとも、卓越性だけを意識するならば、従来どおりアナログ時計とし、装飾面で格式を高めれば事足りる。なぜネットワーク・レールは伝統をうち捨て、デジタル表示を採用したのか。

同社は理由の詳細を発表していないが、背景のひとつに、若者たちの習慣の変化がありそうだ。傾向はイギリスでもアメリカでも共通しているのだが、まずはアメリカの番組による街頭実験が興味深い。

NBCの情報番組「トゥデイ(TODAY)」が2019年5月の放送で、深夜トーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!(Jimmy Kimmel Live!)」の一幕を取りあげている。番組がアメリカの街頭でアナログ時計を読めるか調査したところ、取材に応じた10代から大学生までの若者たちは、明らかに困惑した様子だった。

ある女性は時計を見せられた瞬間、「ああ、だめです。無理」と音ねを上げている。次の女性はたっぷり10秒近くをかけ、2時52分の時計を「2時……(あんぐり口を開けて停止)……45分……じゃなくて……」とかなり手こずっている様子だ。

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