「ブルーライトカットで眼精疲労軽減」は全くのウソ…多くの人が勘違いしている目の"常識"を眼科医が解説
むしろ子供が使うと近視になる悪影響が
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目の健康のために、どういった行動をすべきなのか。眼科医の栗原大智さんは「例えば、よく言われるブルーベリーには視力が改善する根拠はない。また、ブルーライトカットのメガネは子供が常用すると、近視リスクを高める恐れがある」という――。(第1回) ※本稿は、栗原大智『眼科専門医が教える最新知識 スマホ時代の「眼」のメンテナンス』(高橋書店)の一部を再編集したものです。
Q.緑を見ると視力は改善する?
答えは…×
緑を見ると心が落ち着くかもしれないが、視力が改善することはまれ
「遠くの緑を見ると視力が上がる」
いつから言われるようになったかは分かりませんが、これを「緑色を見ると視力が上がる」と記憶している人がいます。たしかに、緑色は目に優しい色とされていて、目にかかる負担が少ないと考えられます。
そのため、目の疲れによって視力が一時的に下がっている方は、緑色を見ると疲れが取れて、見え方が良くなるかもしれません。しかし、緑を見ても視力が良くなるというわけではありません。大事なのは遠くの景色をぼーっと眺めることです。
昔は遠くの景色に緑色の木々が多かったので、そこに「緑」というフレーズが加わったのでしょう。ところで、患者さんから「どれくらい遠くを、どれくらいの頻度で見れば良いのか分からない」と言われることがよくあります。
僕の外来では、「20分に1回、20秒間、20フィート(約6m)離れたところを見るようにしましょう」と説明しています。これは20‐20‐20ルールと言って、アメリカ眼科学会も推奨している方法です。

連続して20分間デジタル端末の画面を見たり、文章を読んだりしたら、20フィート(約6m)離れたところを20秒間見るというものです。
日常生活で意識しないと20分はすぐに過ぎてしまいます。目の疲れを自覚している方はこの20‐20‐20ルールを取り入れて、定期的に目を休ませる時間を作りましょう。
Q.ブルーベリーで視力は改善する?
答えは…△
視力が改善することはほとんどなく、効果があっても目の疲れが取れたり、暗いところで目が慣れやすくなったりする程度
「ブルーベリーが目に良い」という話を信じている方には残念なお知らせです。
実は「ブルーベリーに含まれるアントシアニンが視力を改善する」という科学的な根拠はあまりありません。目の疲れが軽減するか、暗いところで目が慣れるまでの時間(いわゆる「暗順応時間」)が多少短縮されるかもしれないというくらいが実際の効果です。
そもそも、ブルーベリーが目に良いと言われ始めたのは、第二次世界大戦中です。当時のイギリス空軍が敵軍をかく乱させるため、「毎日、アントシアニンという成分が豊富なブルーベリーを食べているから、私たちは夜も目がよく見える」というニセ情報を流した、と言われています。
この情報が正しいとしても、目の疲れが軽減したから、よく見えただけかもしれません。いずれにせよ、残念ながらブルーベリーで視力が改善するという根拠はありません。





























