だから法科大学院制度は沈没寸前になっている…法曹志望者を5分の1に激減させた「政府の大失策」
司法試験合格率3%→40%超のカラクリ
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弁護士や裁判官を目指す人が激減している。東京大学名誉教授の内田貴さんは「法曹資格を得るために、旧司法試験には多くの優れた人材が集った。しかし、新司法試験は致命的な欠陥を抱えているために優秀な人材の進路選択から外れつつある」という――。 ※本稿は、内田貴編著『弁護士不足』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。
弁護士や裁判官の人気低下が深刻なワケ
近年、法学部の人気が凋落しています。同時に、司法試験をめざす人の数も減っています。
日本では、明治時代以来、文科系の優秀な若者が法学部をめざすという時代が一世紀にわたって続きました。大学入試の偏差値も法学部が一番高かったのです。それがバブル経済のあと、つまり1990年あたりから変化します。
これは、日本社会の変質という点で興味深い現象です。とはいえ、現代の日本で、優秀な若者がみな法学部をめざす必要はありませんから、法学部の人気が下がること自体はたいした問題ではありません。
しかし、司法試験をめざす人の数が減っているのは由々しき事態です。なぜなら、人材の質は、それをめざす人たちの潜在的な数の大きさに依存するからであり、志願者の減少は、将来の司法制度を支える法曹(弁護士・裁判官・検察官)の質の低下をもたらす可能性があるからです。
たとえば、多くの少年少女がサッカー選手に憧れサッカーで遊ぶようになれば、やがてプロサッカー選手の質が上がっていきます。逆に、そんな子供たちの数が減少すれば、プロの質も低下します。
同様に、司法試験を受けて弁護士や裁判官・検察官といった実務法曹をめざそうという人の数が減ることは、将来の法曹の質の低下をもたらす可能性があるのです。それは、日本の司法制度を支える人材の質が低下するということですので、深刻な事態といわざるを得ません。





























