ドイツは月15万円給付されるが日本はゼロ…社会学者が指摘「弱者ケアを"無償奉仕"させる国の未熟」
愛情を"人質"にして介護を家庭に押し付ける社会の罪
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長寿社会の老後破綻を防ぐために、何が必要か。家族社会学者の山田昌弘さんは「高齢者が自立して100歳を全うできる社会基盤をつくること。それに、尽きる」という――。 ※本稿は、山田昌弘『単身リスク 「100年人生」をどう生きるか』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
弱者ケアを家族に依存した社会の罪
本稿では、「単身リスク」に備える提言をお伝えしたい。ポイントは「高齢者が自立して100歳を全うできる社会基盤をつくること」、これに尽きる。
本書では、経済的に自立できない若者たちが就職氷河期に多数生まれ、多くのニートやパラサイト・シングル、さらには中高年化する引きこもりを生み出してしまったことを詳述してきた。
それとまったく同じ構造が高齢者にも当てはまる。もちろん高齢者だからもはや「ニート」や「パラサイト・シングル」「引きこもり」といった用語は当てはまらない。だが日々の収入を得るのがむずかしく、生活の基本部分を家族に頼らなくてはならない状況は似ている。
これは高齢者が悪いわけでも、家族が悪いわけでもない。ただひたすら経済的・身体的に弱ってしまっている人のケアを、「家族」に依存し続けてきた社会の側に責任がある。
だからこそ私が主張したいのは、「脱家族」のススメである。成人した人が、子どもや配偶者や親に頼り切らなくても生きていける仕組みを国が整えること。これを目指したい。





























