JAでも卸売業者のせいでもない「コメ価格高騰」の真犯人が判明…現役農家が明かした「コメが消えた本当の理由」

JAでも卸売業者のせいでもない「コメ価格高騰」の真犯人が判明…現役農家が明かした「コメが消えた本当の理由」

生産現場が直面する「気候変動」と「農業統計」二つの大問題

コメの価格高騰が止まらないのは、なぜなのだろうか。車中泊で全国各地の農家を取材している農業ライターの鈴木雄人さんは「記録的な猛暑の影響でコメの収量は大幅に減っている。さらに、国が発表する統計と現場の実態との間に大きなズレがあり、それが“見えないコメ不足”を引き起こし、価格高騰に拍車をかけている」という――。

記録的な猛暑でコメの生産量は3.5割減少

「農協が悪い」「誰かが隠し持っている」。近年の米不足と価格高騰を受け、私たちの食卓を支える主食をめぐって、様々な憶測が飛び交った。市場からはコメが消え、価格は高騰。この「令和のコメ騒動」ともいえる事態は、多くの国民に不安を与えた。

しかしその裏で、生産現場は気候変動という巨大な敵と静かに戦っていた。青森県十和田市で約80haもの大規模な稲作を手掛ける「十和田アグリ株式会社」の代表取締役社長、竹ヶ原直大さんは、当時の窮状をこう語る。

「記録的な猛暑は、収量そのものを激減させるだけでなく、米の品質を根底から破壊しました。高温障害による『白未熟粒(お米が白く濁ってしまう現象)』が多発し、米の等級を決定する『一等米比率』は著しく低下しました。現場では、これまで1反あたり11〜12俵(約660〜720kg)獲れていた田んぼが、7〜8俵(約420〜480kg)しか獲れない、という声が私の周りでも数多く上がっていました」

農家ができる対策は「田んぼの水を絶やさず、常に新しい冷たい水を流し続ける」といった対症療法。自然の猛威の前では、個々の努力は限界に達していたのだ。

昨年、米価は例年の1俵あたり1万5000円前後から2万5000円前後へと高騰したが、それは異常気象による減収と表裏一体の現象に過ぎなかった。問題の核心は、誰かの意図的な操作などではなく、現実の生産量と、国が把握する統計上の数値との間に生まれた、致命的な乖離にあったのだ。

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2025.11.05

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