令和のコメ騒動の原因はJAでも買い占めでもない…流通の専門家「コメ価格をこんなに高騰させた"真犯人"」
政府の「コメはどこかにある」は間違いだった
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なぜコメの価格はここまで高騰したのか。流通経済研究所主席研究員の折笠俊輔さんは「最大にして明確な『犯人』はわれわれ国民だ。日本人がコメを食べなくなったから、政府も国全体のコメ生産量を減らさざるを得ず、生産者も減ってしまった」という――。
コメの大暴落を防ぐための政策
まず背景として、農林水産省は長らくコメを減らす政策をとってきました。2018年までは減反政策が取られ、それ以降は生産調整という名のもとにコメの量を余りすぎないように需要量に合わせて減らしていく政策を続けていました。
コメが余りすぎると価格が大暴落して農家の経営が苦しくなります。これを防ぐために米価を一定程度維持していく必要があったためです。
そこで、日本の人口減少と、一人当たりのコメの消費量の減少に合わせてコメの生産を絞り、米価を落としきらないようにする調整がずっと行われてきました。

「令和の米騒動」の発端は2024年8月
2024年8月、日本の食卓を支えるコメの供給に異変が生じました。スーパーの店頭からコメが消え、世間を騒がせました。ある意味「第一次・令和の米騒動」です。
要因は二つあります。一つは、南海トラフ地震への懸念から家庭での水や食料の備蓄が急増したことです。日本人は災害への不安が高まると、水やコメ、トイレットペーパーを買う傾向にあるので、家庭用の備蓄が増えてスーパーからコメがなくなりました。もう一つは、ウクライナ情勢の緊迫化による小麦価格の高騰です。この結果、消費が小麦からコメへ回帰したと言われています。一時的に店頭に出ている2023年産のコメがなくなりました。
本来であれば新米が出回る直前のこの時期に、需要が急増したことで市場のコメは枯渇しました。「備蓄米を出してほしい」という地方行政の声もありましたが、政府(農林水産省)は「新米が出れば供給は落ち着く」との見通しを示し、備蓄米の放出には慎重な姿勢を見せました。





























