足腰の力でもなく、記憶力でもない…50代以降に一気にヨボヨボ化が進む"長生きに欠かせない筋肉"
テレビを見ながら、スマホを見ながらの食事はNG
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老後を健康に過ごすためにはどんなことに気を付ければいいのか。管理栄養士の関口絢子さんは「スマホやテレビを見ながらの食事はやめたほうがいい。」という――。(第3回) ※本稿は、関口絢子『食が細くなってきたら! 少食でもちゃんと栄養がとれる食べ方』(アスコム)の一部を再編集したものです。
「噛む力」は健康に必要不可欠
50代以降になると、歯の健康トラブルが起こりやすくなります。そのために「硬いものを噛むのが億劫」「咀嚼そしゃくがしにくい」と感じるようになる方も少なくありません。
そうした方は、お肉や野菜のような歯ごたえのあるものを避け、パンのようなやわらかいもの、お茶漬けや麺類のようなスルッと食べられるものばかりに偏ってしまうようです。ですが、「噛まない食事」が続くのはよいことではありません。噛むことから遠ざかると食がどんどん細くなり、結果的に低栄養やフレイル状態に陥るおそれがあるからです。
噛む力が衰えると「噛むための筋力が落ちる」「唾液の分泌量が減る」といった、口腔内の機能低下=口腔フレイルを引き起こします。また、食事の選択肢が狭まるうえ、味を感じにくくなるので食を楽しめなくなります。
さらに、食べ物や唾液を飲み込みにくくなる(嚥下障害)という問題も生じるので、誤嚥ごえんを引き起こしやすくなって食事への恐怖心が生まれてしまい、食欲が低下しがちになります。その結果、たんぱく質やビタミンなどの栄養素が不足する→噛む筋力がさらに低下する→全身のフレイルが加速する→さらに食べなくなる、という悪循環に陥ってしまうのです。
「噛む」ということは当たり前のようでいて、じつは健康のためにとても大切な動作だということがおわかりいただけたでしょうか?





























